スコットランド観光協会4つ星指定*1のB&Bの朝食は最高だった。4つ星ホテルに泊まったのはたぶん初めてだと思う。ホテルの名はWell View Hotel*2。教員をリタイアした夫婦が古い屋敷を買い取ってホテルにしたもの。調度品、食事、応対等々、随所にこだわりの見られる良いホテルだった。特に食事の味付けがあっさりしていておいしかった。B&Bの後者のBはもちろんBreakfastだが。B&Bと名乗っておきながら朝食をおろそかにしている宿のなんと多いことか。英国人は食事を軽んじる民族である(お茶の時間は大事にするけど)。そんななかでこのホテルのスコティッシュ・ブレックファースト*3は脂っこくなく上品な味付けで好感が持てた。このモファットの町には2年前、亡くなった義妹と夕食のために立ち寄ったことがある。その時夕食に入ったパブに昨日行ってみた。何も変わっていない店内にいると、その日のことがありありと思い出されて、今は亡き義妹がすぐそこにいるような気がした。
M6に入ってカーライル(Carlisle)のサービスエリア(英国ではたんにServiceと言う)で、スコッツマン(Scotsman)*4を買った。一面トップに、女子マラソンに続いて10,000メートルも棄権したポーラ・ラドクリフの記事が写真入りで大きく載っていた。横に積まれていた低俗なタブロイド紙では「普通の女の子に戻ったポーラ」とか、「プア・ポーラ!」とかぼろくそにこきおろされていた。いずこも同じである。M6からA65に入り、ヨークシャーデール国立公園(Yorkshire Dale National Park)の南縁に沿ってスキプトン(Skipton)を越えさらにハワース(Haworth)に出た。
ハワースはかの有名なブロンテ3姉妹の生家がある町である。『嵐が丘』の舞台といったほうがわかりやすいであろう。この町を起点にあるいは貫通して無数のパブリック・フットパス(Public Footpath)が郊外に伸びている。『嵐が丘』に限らないが、文学作品をより深く理解するには、現地を訪れることが大事だ。この町に「嵐」はやはりふさわしいワーディングなのである。でも、文学作品というのは風景をとらえる装置でもあるわけだから、世界中の人々が「嵐が丘」のイメージでのみこの町を見てしまうというのもなんだかスゴイ話である。儲かってるからいいけど。
昨日から久々のカントリーロードを走って。ちょっと目が回ってきた。だって、ほとんど造成していない地形コンシャスな道を平均60マイル(100キロ)以上のスピードでかっ飛ばしていく。信号が全くなくて空いていて、しかも2車線だから流れに合わせて走り続けるしかない。1~2時間脇目もふらずに時速100キロでジェットコースターのようにワインディングロードを走るのは慣れていない者にとって少々きつい。ホントに目が回るのだ。しかも、ジジイにプレッシャーをかけられていたりするから癪に障る。子供を乗せているので、レーシングスピリットを静め、所々に設けられている待避帯で後続車をやり過ごすよ。つきあいきれない。こっちはゆっくりとパストラルな風景を楽しみたいのだ。
ハワースを見学後、一路マンチェスターへ。留学中の日本人I氏宅で1泊させてもらうことになっていたからだ。I氏はマンチェスター大学で1年間研究員として研究中である。妻の同僚だった人物でやはり家族で在英中。ご子息ととうちの息子とも知り合い(といっても互いに4歳と3歳であるが)の間柄である。マンチェスターはでかい町だった。マンチェスターで知っていることといえば、かつて名を馳せた工業都市で英国の帝国主義と近代化を支えたこと。それから、マンチェスター・ユナイテッドくらい(←乏しい知識だ)。I氏とテスコ(TESCO)*5で中華とインディアンとイタリアンの冷凍食品のセットとアルコールを買い出しに行く。たくさん買ったので久々にレジであわてた*6。I氏宅に戻り食事。なかなかイケた。途中韓国人留学生のL氏を交え賑やかな宴は11時過ぎまで続いた。
*1 英国のB&Bは観光協会によりすべてランキング(5段階)されている。このランキングはかなり正確で、当然高いランクほどお値段もはる。あくまで宿泊施設としてのホテルの質が問われ、コストパフォーマンスの善し悪しは問われない(と思う)。例えば、同じ質で宿泊費が安くても高くても星の数は変わらない(と思う)。経験的に。。。日本でランキングをやったらホテル側から間違いなくいやがられるが、英国では星数の少ないホテルが営業危機に陥るというようなことはない。予算に応じた選択を助けるためのユーザー本意のシステムなのである。
*2 スコティッシュ・ボーダーズ(イングランドとの国境付近の行政区域でのどかな田園地帯が広がる美しく麗しい地域。毛織物の老舗「ハリス・ツイード」。その名の元となったツイード川(River Tweed)はフライフィッシングの聖地)の保養地モファット(Moffat)のタウンセンターからクルマで1~2分の小高い丘の中腹にあるホテル。見晴らし良好。フロントヤード、駐車場あり。アドレスは、Ballplay Road, Moffat, dumfriesshire, DG10 9JU。お勧め!
*3 スコティッシュ・ブレックファーストは、トーストにコーヒーもしくは紅茶(いずれもおかわり自由)のほかに、かりかりベーコン、ソーセージ(こいつがうまい)、ビーンズ、マッシュルーム、ベイクド・トマト、ベイクド・ポテト等がワンディッシュに盛られる。たまにハギスのスライスがついたりすることもある。ボリュームたっぷりだけれど、野菜が少ないので、お昼はサラダとかフルーツがいいだろう。朝食の量が多いのでお昼はその程度でも十分だ。ところで、同じメニューがイングランドではイングリッシュ・ブレックファーストと呼ばれ、ウェールズではウェルッシュ・ブレックファーストと呼ばれるからややこしい。特にスコットランドで、間違って「イングリッシュ・ブレックファーストをくれ」なんて言うと、必ず「いや、スコティッシュ・ブレックファーストだ!」と訂正される(笑)
*4 スコットランドのナショナルペーパー。このサービスエリアを過ぎるとイングランドに入るので記念に買った。2年前はブロードシート(いわゆる大判サイズ)だったが、今年、イングランドのデイリーテレグラフ紙に買収されて、タブロイド版になっていた。ちょっと残念。スコッツも複雑な気分だろう。
*5 英国の大型スーパー・チェーン。英国の大型スーパーではほかにセインズベリー(Sainsbury's)、セイフウェイ(Safeway)等が有名。いちおう格式のランクがある。上記三者では、セインズベリー>テスコ>セイフウェイ、といったところか。街中のコンビニのような小さなスーパーでも、ほとんどクレディットカード対応である。ブリティッシュは例えばコーラ1本でもカードで精算することは決して珍しくなく、店員にいやがられることもない。完全なキャッシュレス社会である。
*6 英国のスーパーマーケットのレジでは、まずカゴに入れた商品をぜんぶベルトの上にぶちまける。するとそのベルトが動いて商品が店員さんのほうにズズズと運ばれていく。店員さんは「Hi Ya!」と言って、バーコードセンサーに商品を次々にかざしていく。ここまではまあよい。しかし、この後、日本だと値段が読み取られた商品は店員さんによって再びカゴに丁寧に入れられ(ずいぶんうまく入れるなぁ、なんて感心することもある)のだが、英国の場合はそんなことはしてくれない。値段が読み取られた商品はセンサーの先にある平たいバケットのようなスペースにポイポイとスライドされるだけである(スロープになっていて丸いもの、例えばリンゴなどはころころ転がっていく)。ボーっとしている暇はない、値段チェックの済んだ商品を急いで買い物袋に入れないと、次の客がチェックに入れず待たせることになるのだ。
M6に入ってカーライル(Carlisle)のサービスエリア(英国ではたんにServiceと言う)で、スコッツマン(Scotsman)*4を買った。一面トップに、女子マラソンに続いて10,000メートルも棄権したポーラ・ラドクリフの記事が写真入りで大きく載っていた。横に積まれていた低俗なタブロイド紙では「普通の女の子に戻ったポーラ」とか、「プア・ポーラ!」とかぼろくそにこきおろされていた。いずこも同じである。M6からA65に入り、ヨークシャーデール国立公園(Yorkshire Dale National Park)の南縁に沿ってスキプトン(Skipton)を越えさらにハワース(Haworth)に出た。
ハワースはかの有名なブロンテ3姉妹の生家がある町である。『嵐が丘』の舞台といったほうがわかりやすいであろう。この町を起点にあるいは貫通して無数のパブリック・フットパス(Public Footpath)が郊外に伸びている。『嵐が丘』に限らないが、文学作品をより深く理解するには、現地を訪れることが大事だ。この町に「嵐」はやはりふさわしいワーディングなのである。でも、文学作品というのは風景をとらえる装置でもあるわけだから、世界中の人々が「嵐が丘」のイメージでのみこの町を見てしまうというのもなんだかスゴイ話である。儲かってるからいいけど。
昨日から久々のカントリーロードを走って。ちょっと目が回ってきた。だって、ほとんど造成していない地形コンシャスな道を平均60マイル(100キロ)以上のスピードでかっ飛ばしていく。信号が全くなくて空いていて、しかも2車線だから流れに合わせて走り続けるしかない。1~2時間脇目もふらずに時速100キロでジェットコースターのようにワインディングロードを走るのは慣れていない者にとって少々きつい。ホントに目が回るのだ。しかも、ジジイにプレッシャーをかけられていたりするから癪に障る。子供を乗せているので、レーシングスピリットを静め、所々に設けられている待避帯で後続車をやり過ごすよ。つきあいきれない。こっちはゆっくりとパストラルな風景を楽しみたいのだ。
ハワースを見学後、一路マンチェスターへ。留学中の日本人I氏宅で1泊させてもらうことになっていたからだ。I氏はマンチェスター大学で1年間研究員として研究中である。妻の同僚だった人物でやはり家族で在英中。ご子息ととうちの息子とも知り合い(といっても互いに4歳と3歳であるが)の間柄である。マンチェスターはでかい町だった。マンチェスターで知っていることといえば、かつて名を馳せた工業都市で英国の帝国主義と近代化を支えたこと。それから、マンチェスター・ユナイテッドくらい(←乏しい知識だ)。I氏とテスコ(TESCO)*5で中華とインディアンとイタリアンの冷凍食品のセットとアルコールを買い出しに行く。たくさん買ったので久々にレジであわてた*6。I氏宅に戻り食事。なかなかイケた。途中韓国人留学生のL氏を交え賑やかな宴は11時過ぎまで続いた。
*1 英国のB&Bは観光協会によりすべてランキング(5段階)されている。このランキングはかなり正確で、当然高いランクほどお値段もはる。あくまで宿泊施設としてのホテルの質が問われ、コストパフォーマンスの善し悪しは問われない(と思う)。例えば、同じ質で宿泊費が安くても高くても星の数は変わらない(と思う)。経験的に。。。日本でランキングをやったらホテル側から間違いなくいやがられるが、英国では星数の少ないホテルが営業危機に陥るというようなことはない。予算に応じた選択を助けるためのユーザー本意のシステムなのである。
*2 スコティッシュ・ボーダーズ(イングランドとの国境付近の行政区域でのどかな田園地帯が広がる美しく麗しい地域。毛織物の老舗「ハリス・ツイード」。その名の元となったツイード川(River Tweed)はフライフィッシングの聖地)の保養地モファット(Moffat)のタウンセンターからクルマで1~2分の小高い丘の中腹にあるホテル。見晴らし良好。フロントヤード、駐車場あり。アドレスは、Ballplay Road, Moffat, dumfriesshire, DG10 9JU。お勧め!
*3 スコティッシュ・ブレックファーストは、トーストにコーヒーもしくは紅茶(いずれもおかわり自由)のほかに、かりかりベーコン、ソーセージ(こいつがうまい)、ビーンズ、マッシュルーム、ベイクド・トマト、ベイクド・ポテト等がワンディッシュに盛られる。たまにハギスのスライスがついたりすることもある。ボリュームたっぷりだけれど、野菜が少ないので、お昼はサラダとかフルーツがいいだろう。朝食の量が多いのでお昼はその程度でも十分だ。ところで、同じメニューがイングランドではイングリッシュ・ブレックファーストと呼ばれ、ウェールズではウェルッシュ・ブレックファーストと呼ばれるからややこしい。特にスコットランドで、間違って「イングリッシュ・ブレックファーストをくれ」なんて言うと、必ず「いや、スコティッシュ・ブレックファーストだ!」と訂正される(笑)
*4 スコットランドのナショナルペーパー。このサービスエリアを過ぎるとイングランドに入るので記念に買った。2年前はブロードシート(いわゆる大判サイズ)だったが、今年、イングランドのデイリーテレグラフ紙に買収されて、タブロイド版になっていた。ちょっと残念。スコッツも複雑な気分だろう。
*5 英国の大型スーパー・チェーン。英国の大型スーパーではほかにセインズベリー(Sainsbury's)、セイフウェイ(Safeway)等が有名。いちおう格式のランクがある。上記三者では、セインズベリー>テスコ>セイフウェイ、といったところか。街中のコンビニのような小さなスーパーでも、ほとんどクレディットカード対応である。ブリティッシュは例えばコーラ1本でもカードで精算することは決して珍しくなく、店員にいやがられることもない。完全なキャッシュレス社会である。
*6 英国のスーパーマーケットのレジでは、まずカゴに入れた商品をぜんぶベルトの上にぶちまける。するとそのベルトが動いて商品が店員さんのほうにズズズと運ばれていく。店員さんは「Hi Ya!」と言って、バーコードセンサーに商品を次々にかざしていく。ここまではまあよい。しかし、この後、日本だと値段が読み取られた商品は店員さんによって再びカゴに丁寧に入れられ(ずいぶんうまく入れるなぁ、なんて感心することもある)のだが、英国の場合はそんなことはしてくれない。値段が読み取られた商品はセンサーの先にある平たいバケットのようなスペースにポイポイとスライドされるだけである(スロープになっていて丸いもの、例えばリンゴなどはころころ転がっていく)。ボーっとしている暇はない、値段チェックの済んだ商品を急いで買い物袋に入れないと、次の客がチェックに入れず待たせることになるのだ。
また、勉強しにきます。