Sketch of the Day

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英雄と皇帝

2007-11-16 | Media
P.ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィル・ブレーメンによるエロイカと第8交響曲(RCA, 2006)。小編成のピリオドアプローチということで、一聴した印象はなんかスカスカ。とくにエロイカ冒頭の全奏2連発は快速な演奏と相まって、全く迫力に欠けるのだが、繰り返し聴くうちにどんどん味わいと深みが出てくるのはなぜなんだだろうか。こういう演奏が出てきているのに、いまだにフルヴェンのエロイカが最高!とか豪語する連中の気が知れない。思うに、フルヴェンの地位が揺るがないのは、リアルタイムで、あるいは若かりし時分にフルヴェンに心酔したロートルの方々が音楽ジャーナリズムの世界ではまだまだ「ご活躍中」だからじゃなかろうか。ベートーヴェンの音楽はそれ自体が「重く強い」ので、演奏は軽やかに(でも軽すぎるのはダメよ、ベームみたいに)、しかし響きは厚く、というスタイルが個人的には好きである。フルヴェンは、重たい音楽をじつに重たげに演奏してる。まあそれが彼の芸術なんだろうけれど。。。それはそうと、このCDにかんしていえば、僕はエロイカよりも第8番がイイと思う。ヤルヴィというのは、ベートーヴェンの偶数番シンフォニーをじつに魅力的に鳴らせる指揮者である。4番も良かったし。ただ、ヤルヴィ盤については「録音の勝利」という気がしないでもないが。。。

ところで、最近、ルービンシュタイン/バレンボイム/ロンドンフィル、'75年録音の「皇帝」の廉価版(BMG)が出たので買ってみた。オリジナルはピアノソナタとのカップリングだったと思うが、今回は「ピアノコンチェルト4番」との組み合わせ。評価の高い皇帝よりも僕は第4協奏曲がすばらしいと思った。ここでの皇帝の演奏はちょっとノロいので個人的には???。ベートーヴェンのピアノコンチェルトは1番と4番がとくに好きである。1番は、ナガ~い管弦楽の後に颯爽と始まるピアノと、古典的な形式の中にどうしようもなく滲み出してきてしまうベートーヴェンらしさがたまらなくイイ。第4番は第1楽章のピアノの導入と終楽章ロンドの軽やかさにこれまたベートーヴェンの魅力が横溢しているような気がして、ただただ聴き入るばかりである。これがルービンシュタイン85歳の演奏だとは全くをもって信じがたい。お盛んである。

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