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都市再生で再生されるもの

2006-03-02 | Japan
もちろん、お国が違えば、歴史も文化も異なるわけで、同じ「都市再生」という言葉に込める意味や役割も異なって当然ではある。。。とはいえ、こうも違うものかと愕然とする。端的に言うと、日本の都市再生は「再生」という文言をわざわざ使うほどの必然性をあまり感じない。従来の再開発と何が違うのか理解に苦しむ。再生には、「生き返ること」「生まれ変わること」「失ったものを新たに作り出すこと」といった意味がある。都市再生本部の「都市再生基本方針」を読んでみても、失われたものが何で、何を再生するのかがよくわからない。都市再生の目標に掲げられている、コンパクトな都市構造、防災、国際競争力、持続発展といった内容は、かつての日本の都市が備えていた属性というよりは、新たに作り出す必要があるものばかりである。その意味で、日本の場合は、「再生」というワーディングは似つかわしくない。(新しい言葉を使いたい気持ちは良くわかるが、、、)。

そして、何よりも彼我の違いを感じるのは、日本の都市再生が、「経済の再生」について、都市再生を通じて結果する副次的効果のごとき、非常に弱いニュアンスしか与えられていないのに対して、スコットランド/イギリスの都市再生は、まさに経済再生、投資誘致、雇用創出そのものである。また経済的、空間的に疲弊し打ち捨てられた土地を正に再生することでもある。「再生」という言葉がいかにも似つかわしい。その意味で、両国の都市再生を比較すると、切迫感、必然性という点で、日本の都市再生はだいぶ見劣りがする(強いてあげれば防災くらいなものか)。しかし、これはある意味で幸せなことである。ただ、日本の都市再生はあまりにハード整備、ハコモノ重視といった印象が強い。何が再生されたのか、QOLは本当に向上したのか、これからちゃんと評価していかなければならない。

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英国都市再生協会
スコットランド都市再生フォーラム