岩躑躅染むる泪やほととぎ朱 桃 青(芭蕉)
これは躑躅(つつじ)の色を見て、衣の色を連想したものであろう。表が紅で裏が紫の襲(かさね)の色目を「いわつつじ」というので、躑躅の別名の杜鵑花(つつはな)から連想して、杜鵑(ほととぎす)の泪(なみだ)が染めた紅だと興じた発想。
「ほととぎ朱(す)」と書いてあるのもその縁なのである。杜鵑は口中が赤く、俗に、「鳴いて血を吐く」といわれている鳥で、それが心にあったものであろう。
なお、表白・裏紅の色目を「つつじの衣」、表紫・裏紅を「もちつつじ」などという。『増山井』に「つつじ衣」を三月に掲出、「表蘇芳(すおう)・裏青」とある。
「躑躅」は春の季語であるが、この句では「ほととぎす」が季語で、夏季をあらわす。
「“ほととぎ朱”はその名の通り、血の涙によって、あの岩躑躅を真紅に染めたので
あろうか」
夕虹のあとに立ちたる雀かな 季 己
これは躑躅(つつじ)の色を見て、衣の色を連想したものであろう。表が紅で裏が紫の襲(かさね)の色目を「いわつつじ」というので、躑躅の別名の杜鵑花(つつはな)から連想して、杜鵑(ほととぎす)の泪(なみだ)が染めた紅だと興じた発想。
「ほととぎ朱(す)」と書いてあるのもその縁なのである。杜鵑は口中が赤く、俗に、「鳴いて血を吐く」といわれている鳥で、それが心にあったものであろう。
なお、表白・裏紅の色目を「つつじの衣」、表紫・裏紅を「もちつつじ」などという。『増山井』に「つつじ衣」を三月に掲出、「表蘇芳(すおう)・裏青」とある。
「躑躅」は春の季語であるが、この句では「ほととぎす」が季語で、夏季をあらわす。
「“ほととぎ朱”はその名の通り、血の涙によって、あの岩躑躅を真紅に染めたので
あろうか」
夕虹のあとに立ちたる雀かな 季 己