壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

四角な影

2011年09月29日 17時31分16秒 | Weblog
        わが宿は四角な影を窓の月     芭 蕉

 『古今集』の
        わが庵は 都のたつみ しかぞ住む
          世をうぢ山と 人はいふなり (喜撰法師)

を契機としたものであろう。また、『毛吹草』に
        月丸し影はすみ入る窓の内     道 二
というのがあって、この発想の原型をなすもののようである。

 「四角な影を窓の月」というのは、窓から射し込む月光がそのまま畳の上に影を落とし、四角に見えているさま。「影」は月光のこと。

 季語は「月」で秋。

    「自分の宿は澄んだ月が窓から射し込んで、小さな部屋の隅々まで明るく
     照らしている。お大尽の家とちがって何の飾りもないが、四角な月影を
     置いたようで、まことに興味深い風情がある」  


      鰯雲しんじつとほき岸田稚魚     季 己