壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

芋がら

2011年09月28日 21時30分53秒 | Weblog
        根は月に枯れて其の芋がらや雪の飯     芭 蕉

 芋がらが保存されて冬の頃、食事の菜に使われるのを見て、月の頃を想い起こしつつ詠むところに、天和風の詠嘆が感ぜられる。
 この句、真蹟短冊にのみ見え、「芭蕉散人」と署名がある。書体・発想ともに天和頃と推定されている。

 「雪の飯」は、雪の頃の飯の意と、白米の飯とを掛けている。

 季語は「芋がら」で秋。「芋がら」は、芋の茎の部分のこと。生のものは芋茎(ずいき)という。乾燥して貯え、和え物にしたりして食べる。

    「根の芋のところは、芋名月に月の供え物として掘りとられて枯れてしまうが、
     その芋がらは貯えられて、時ならぬ雪の頃に飯の菜となることよ」


      谷根千の一言多き木槿かな     季 己