壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

翌(あす)も有

2011年09月08日 00時37分56秒 | Weblog
        身の秋や今宵をしのぶ翌も有     蕪 村

                     清輔朝臣
        ながらへば 又このごろや しのばれん
          うしと見し世ぞ 今は恋しき (『新古今和歌集』)
に示された感慨を、過去と未来との逆関係にして、俳句に作り替えたように思える。
 例の、時間をその連続の相においてとらえ、かつ、一点において裁断した性質の句である。
 ただ、この句は未来から裁断点の方向がとられているのが珍しい。また、衰えゆく肉体と同様、なすすべなく朽ちようとする生涯の上へ投げかけられた詠歎でもある。
 「今宵(こよい)」といい「翌(あす)」というのも、「現在の日々」といい「未来の日々」というに等しい。

 秋雑の句。「身の秋」は「秋の身」というに等しい。秋には草木が凋落するように、人間の身の衰えることをいう。ただし、「身」は同時に境遇の意味にも通じ、その不遇を歎ずる気持がこめられている。

    「秋とともに次第に身が衰えてゆき、落魄の感が深まってゆく。今宵しずかに
     考えてみると、一日前の昨日の方が、まだ今の身よりも頼もしかったように
     さえ感じられる。すると沈滞しきった気持である今宵のこの現在さえ、翌日
     の晩には、またより恋しいものとして偲ばれるのかも知れないのである。
     かくては――後々の自分は一体どうなってゆくのであろう」


      来年もまた被るぞとパナマ帽     季 己


 ――「もう、あなたに効果のある抗癌剤はありません」と、主治医から引導を渡されてから三ヶ月近くになる。西洋医学が駄目なら、ということで代替治療を探した。アンテナを立てたとたん、「末期癌でもあきらめるな」という新聞広告が目に飛び込んできた。早速その講演会に参加し、講演終了後、そのS先生に相談した。
 S先生は、「Fという飲料を三ヶ月飲みなさい。必ず元気になります」と言って、飲み方を事細かく書いてくれた。指示通りに飲み始めてから、間もなく一月半になる。
 おかげさまで、「身の秋や」の句とは反対に、昨日よりは今日と、体調は戻りつつあると確信している。だが、癌のヤツはどうなっているかはわからない。ただ、先月の血液検査では、腫瘍マーカーが若干ではあるが下がっていた。抗癌剤治療を受けていても上昇しつづけた腫瘍マーカーが、抗癌剤を止め、Fを飲み始めて一月で下がったのだから、良しとせねばならないだろう。
 もちろん、このことは主治医の先生にも話してある。「Fを飲むことにより悪くなった数値はないので、このまま続けなさい」ということで、次の診療と血液検査は9月30日となった。
 この2年で、体重が62.5㎏から52.5㎏まで減少したので、体力が落ちたことは痛感している。しかし体調は、元気なころに限りなく近づいているように思う。
 多くの皆様にご心配いただき、ありがたく感謝申し上げます。 季己 拝