壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

愚に暗く

2011年09月06日 00時06分49秒 | Weblog
        愚に暗く棘をつかむ螢かな     桃 青

 「愚に暗く」という言い方の面白さに加えて、そこに人生一般のことを暗に含めた作意である。こういう寓意的な手法は、荘子の寓言にもとづくものであって、談林の主流をなす手法であった。

 「愚に暗く」は、愚かで思慮の足りない意。夜の暗さを掛けている。

 季語は「螢」で夏。

    「夜の暗さに、ただ蛍をとりたい一心で、深い思慮もなしに手を伸ばして、
     愚かしくも、螢ならぬ手に痛い棘(いばら)をつかんでしまった」


      泣きやまぬ子にてんと虫とびかねて     季 己