壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

コカリナ

2010年07月17日 20時28分38秒 | Weblog
        富士の風や扇に載せて江戸土産     桃 青(芭蕉)

 ものを贈る場合、盆や白扇に載せて差し出す風習を生かしている。扇によって風を送り出しながら、「この風は富士の風ですよ」とでも言っている場面で、気軽な機知、口軽い調子に談林的な庶民性が見られるのである。
 『蕉翁全伝』に「高畑氏市隠ニテ歌仙あり」として出ている。市隠は俳号で、芭蕉の主であった藤堂良精に仕えた人。『芭蕉翁全伝』にも「其(延宝四年)六月伊賀高畑氏市隠亭にて」として所収。

 季語は「扇」で夏。

    「江戸の土産といっても何も持っていませんが、道中、富士の涼しい風を
     仕入れてきましたから、その涼風を扇に載せて、江戸土産として差し上
     げましょう」


 ――今日午前、関東地方にも梅雨明け宣言が出された。平年より3日早く、昨年より3日遅い。
 同じく梅雨明け宣言の出た京都では、祇園祭の圧巻、長刀鉾を先頭とした山鉾三十二基の巡行である。コンコンチキチンコンチキチンの祇園囃子は、親しみが持たれるので俳句の素材にしてみたいが、類句・類想になりやすいのでやめておこう。

 ということで、京都地方民謡の「竹田の子守歌」をコカリナで吹くにとどめておいた。ところで「コカリナ」という楽器をご存じだろうか。コカリナのルーツは、東ヨーロッパ・ハンガリーで生まれた〈さくらの木で出来たオカリナ〉といわれている。
 現在、木のオカリナは、全国各地でその土地の風土で育った木を基本に製作されている。さくら・かえで・なら・杉・クルミなどなど。変人のコカリナは、八ヶ岳の麓・原村にお住まいの安川誠氏に作って頂いたクルミ製のもの。
 コカリナは、手の中にすっぽりと収まってしまう小さな楽器だが、この木がどこで生まれ、どんな歴史を持って育ったのかを想像しながら吹いてみるのも面白い。
 6個の指穴があり、その組み合わせを替えることで、ハ長調のド~(高音の)レまで9つの音階を出せ、半音を含めると15音階の音が出せる。ヘ長調の指使いを覚えれば、もっとレパートリーも増えるのだが、独学の変人のレベルは、まだそこまではいっていない。(「安川誠作 木のオカリナ」解説文より引用)

 五月の連休明けに植えたゴーヤーも、二階まで届くほどに生長し、実も10個余りついている。また、月見草の初花が今夜一輪開いた。春に蒔いた種が、二本だけ芽を出し50センチほどの高さになったとき、垣根の外から、根こそぎ一本だけ抜かれてしまった。手の届かなかったもう一本が無事に残り、今夜初花が開いたという次第。

      月見草ひらき竹田の子守歌     季 己