おそるべき君等の乳房夏来る 三 鬼
立春・立夏・立秋・立冬の四つを、二十四節気の中の四立点というが、立夏は、太陽暦の五月五日、ときに六日ごろに当る。
今年は五日で、暦のうえでは、この日より夏になるが、北国では桜が満開のころであり、まだ春の気配が残っている。晩霜が降りたりと天候は定まらないが、立夏ときくだけで日の光も強く感じられる。
立夏の名句といえば、上記の西東三鬼の句がピカ一であろう。
また、岡本眸先生の
遠くを見るたのしさ夏の来りけり 眸
も、変人にとってはなつかしく、忘れられない句となっている。
今朝見れば 霞の衣 脱ぎ替へて
山も一重に 緑なりけり (賀茂重保)
という歌は、いささか気が早すぎるか。
野も山も緑一色に包まれて、萌え立つような明るい自然、一年の中でも、最も生きがいを感じるのが、この季節と言えるかもしれない。
さらし干す夏来にけらし不尽の雪 宗 因
西山宗因のこの句は、百人一首でおなじみの、
春過ぎて 夏来るらし 白妙の
衣ほしたり 天の香具山 (『萬葉集』巻一・持統天皇)
をもじったものに過ぎない。ちなみに、「夏来るらし」は、「夏来にけらし」と読む説がある。
宗因の句は正に、俳句ではなくて、滑稽な俳諧そのものである。
神牛の腹ひんやりと夏来る 季 己
立春・立夏・立秋・立冬の四つを、二十四節気の中の四立点というが、立夏は、太陽暦の五月五日、ときに六日ごろに当る。
今年は五日で、暦のうえでは、この日より夏になるが、北国では桜が満開のころであり、まだ春の気配が残っている。晩霜が降りたりと天候は定まらないが、立夏ときくだけで日の光も強く感じられる。
立夏の名句といえば、上記の西東三鬼の句がピカ一であろう。
また、岡本眸先生の
遠くを見るたのしさ夏の来りけり 眸
も、変人にとってはなつかしく、忘れられない句となっている。
今朝見れば 霞の衣 脱ぎ替へて
山も一重に 緑なりけり (賀茂重保)
という歌は、いささか気が早すぎるか。
野も山も緑一色に包まれて、萌え立つような明るい自然、一年の中でも、最も生きがいを感じるのが、この季節と言えるかもしれない。
さらし干す夏来にけらし不尽の雪 宗 因
西山宗因のこの句は、百人一首でおなじみの、
春過ぎて 夏来るらし 白妙の
衣ほしたり 天の香具山 (『萬葉集』巻一・持統天皇)
をもじったものに過ぎない。ちなみに、「夏来るらし」は、「夏来にけらし」と読む説がある。
宗因の句は正に、俳句ではなくて、滑稽な俳諧そのものである。
神牛の腹ひんやりと夏来る 季 己