こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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胃瘻に尿道用バルンは・・・困ルンデス。

2010-05-27 22:38:12 | 訪問看護、緩和ケア
今日、ある患者さんの御家族から電話が。
「半固形化に今日からチャレンジしようとして、ハイネゼリーを注入しているんですが、固くて入らないんです。注入用のバックがあると以前お聞きしたのですが、明日ためさせてもらえますか?」

初回訪問の時に、胃瘻の注入に2時間もかけていて、患者さんも、娘さんもそれが辛いと言っていた患者さんです。
患者さんもADLが良好で、自宅内は自由に動けるだけに、1日3回2時間も縛られるのは、確かに辛いですよね。
滴下を早くすると下痢をするんです。とのことで、ずっと病院ではそれで指導されていました。

退院後、下痢も収まり注入速度も早くするように指導していたのですが、平行して半固形化による栄養注入の方法もご紹介していました。
主治医に半固形化の了解も得たと言う事で、どのメーカーを選ぶかなど検討し、今のところ食道と胃が分離しているので、逆流の心配がないことから、粘稠度は若干低いけれど15分で注入が可能な大塚の「ハイネゼリー」を選択しました。

その前には、使用しているラコールをイージーゲルで固形化したものでもためしてみたはずです。

「明日看護師が訪問した時に、加圧バックを持参し、一緒に注入して見ることにしましょうね。」と言って電話を切りました。

何で、そんなに固いのだろう??
そんなわけないのだけれど・・・。

と考えていたら、あ!あれだ!
と思い当りました。

確か、その患者さんの胃瘻からは尿道用のバルンカテーテルが入っていました。

ラテックス製で、胃瘻の入り口の皮膚に、バルンを縫いつけて固定してありましたっけ。
バンパーがないし、たぶんあれは尿道用のバルンカテーテルです。

たまにいるんですよね。
胃瘻に尿道用のバルンカテーテル入れている患者さん。
困るんですよ。
在宅で管理するには、とても不向きなんです。

あれは、膀胱に入れて留置するもので、風船から先端まで1cmほどあって、場合によっては、潰瘍を作ったりしますし、腸蠕動で十二指腸 まで入っていちゃって、最悪穿孔の危険性もあると言われています。

この方は皮膚に縫いつけてありますが、昔縫いつけていない方で、注入部を残して全部十二指腸 まで入ってしまう人がいました。


それに、中の風船も胃瘻用より小さくて抜けやすいので、そのたびに病院に駆け込んでいる人もいました。
その方は、病院の医師の方針で、絶対にバルン以外は入れてくれない事がわかっていたので、あきらめていますが・・・

なんで、胃瘻用のカテーテルを使ってくれないのか・・・
確かに、コストは全然違うようですが、リスクは高いと思うんですけど。

胃瘻のカテーテルもいろんな種類があって、半年に一度交換するバンパータイプと、1か月に1回交換するバルンタイプがありますが、胃の中に固定するものとして、安全性も機能性も備えているものなんです。


つまり、尿道用のバルンカテーテルは、内腔も細いし、先端の孔が尿を流すためのもので小さいんですよ。
ですから、粘度の高い半固形化剤は、抵抗が強すぎるんですね。

は~・・・
こんなところでつまずくなんて。
短時間で栄養注入が出来て、消化管の活動も活発になるし、下痢もしにくくなると、とても期待させてしまって、本当に申し訳ないです。

さっそく、帰ってきた担当看護師にその事を伝えました。

すぐに病院の連携室に電話をして、「在宅生活を快適に過ごすために、なんとか胃瘻用のカテーテルに交換してもらえないものか」を問い合わせました。
お返事は後で頂けるとか。
QOLを上げるためにも、何とかご協力お願いしたいと思っています。

尿道から入れて膀胱内に固定するカテ―テル  尿道に通すものだから、細くて長い。先がとがっている。
胃瘻用のカテーテル
 円板のようなもで、皮膚の上で押さえているので、中に入って行かないから縫う必要もない。
風船が大きくて、先がとがっていないから、中も傷つけない。
もちろん太いので、注入がスムーズ。