こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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めぐみ在宅クリニック・緩和ケア研究会で思う事・・・

2008-11-19 00:19:18 | めぐみ在宅緩和ケア関連
毎回、めぐみ在宅クリニックの緩和ケア研究会に出席していますが、意識して患者さんと対話すると言うのは、本当に難しい事だと感じます。
緩和ケアでの対話の手法は、村田先生というかたの手法で、反復をしながら、対話を深めていくと言う方法です。
たとえば、「病気になってしまって、家族に迷惑をかけているのが辛いんです」と、患者さんが言ったら、「病気になって、家族に迷惑をかけるのが辛いのですね。」と反復します。すると、患者さんは「そうなんです。何度も夜中に起こしてしまって、本当に申し訳ないと思っているのです」などと話が掘り下げられていくと言うわけです。
この、対話ケアの実際の場面を記録に残して、出席者が「この場面の反復はおかしい」とか、「ここは、もう少し言葉を待つべきだ」とか討論するわけです。
私は、連携施設として毎回出ていますが、ボーっとしているときに「大嶽さん、どう思いますか?」と振られると思わず浅はかな返事をしてしまう事があって、毎回ひやひやしています。だいたい、私とわくわくの中野さんが、さくらのように指されるので、構えてはいますが、時々ちょっと気を許していると、あわてる事になってしまいます。そんな、緊張感のある緩和ケア研究会ですが、実際に自分が患者さんと向き合うときに、そんなにうまくはいきません。
反復も繰り返していくのは、かなり勇気のあることで、へたをするとただの「オウム返し」になりかねませんので、まだまだ修行は必要です。
それでも、患者さんと向き合うときの姿勢や、聴こうとする思い、寄り添いたいと願う気持ちは、すごく強くもてるようになりました。
よく、患者さんの言葉に「すごいなー」と思う事があります。
死を目前に、毅然として向かい合う方や、穏やかな笑顔でいられる方。

口腔内の腫瘍から出血して止まらなくなっても、まったく動じず、口のなかに指を突っ込んで、あごを押さえている私の腕をきずかって、そっと手を添えてくれたおばあちゃん。血まみれの中、断続的に襲う痛みにもじっと耐えて、「大丈夫」と言って小澤先生が来るまで、横になろうともしませんでした。
「すごいなー」「格好いいねー。」「さすがだねー。」
次の日の朝カンファは皆で感心しまくりました。

ある主婦の方は、「痛くなく、苦しくなく、ここで目を閉じさせてください」
とお話しました。
「家族がじたばたしないように」と・・
私なら、言えるでしょうか?きっと、私がじたばたします。
でも、でも、次の日彼女は言いました。
「薬を使うと眠くなってしまう。眠くなって、目を閉じるのが怖い・・」と。
そうなんですよね。やっぱり怖いんですよね。
強くいようとする心と、逝かなければならない恐怖や悲しみ。理不尽な思いで戦っているんですよね。

私たちは、何も出来ないけれど、その言葉を一つ一つ丁寧に聴かなければいけないと学習しました。
聴く事、そばにいることから始まるのですから。
失敗もありますが、失敗は反省して繰り返さないように頑張るしかないし、とにかく「逃げない事」。
それが一番大切なのです。