虚偽公文書作成事件。
延岡市は警察に告訴し、徹底追及。一方習志野市は告訴もせず、もみ消し。
昨年8月宮崎県延岡市で発覚した「虚偽公文書作成事件」、市議会の百条委員会で事実究明が行われることになり、メディアに報道されました。
(11月15日宮崎日日新聞の記事)
聴取記録請求など決定 延岡市職員不祥事 百条委
聴取記録請求など決定 延岡市職員不祥事 百条委(宮崎日日新聞) - Yahoo!ニュース
延岡市職員による公共升設置工事を巡る虚偽公文書作成や備品窃取を受け設置された市議会の調査特別委員会(百条委)の会合は14日、同議会であった。事実上、初の審議。市当局へ関係職員に行った聴取記録など資料6点の請求や、公共升工事が行われた土地の所有者や施工業者名などを照会することを決めた。
(9月29日の宮崎日日新聞の記事)
備品窃盗や虚偽公文書作成 延岡市、不祥事職員を告訴・告発
備品窃取や虚偽公文書作成 延岡市、不祥事職員を告訴・告発(宮崎日日新聞) - Yahoo!ニュース
延岡市は28日、8月に発表した市職員の不祥事を巡り、市の備品を窃取したとして懲戒免職とした総務課元主任主事の30代男性を窃盗容疑で延岡署に告訴したと明らかにした。また、上下水道局の40~60代職員3人も虚偽公文書作成などの容疑で告発した。同署は告訴・告発状を受理したか明らかにしていない。
延岡市ホームページ(今年8月10日付記事)
職員の懲戒処分の公表について
このたび、市職員が、公物である備品を私物化し窃取していたこと、さらにそれを管理監督者が知ったにもかかわらず迅速に対応しなかったことが判明しました。
また、契約事務に当たり、杜撰な事務処理を行っていたのみならず、それを正当化しようと虚偽の公文書を作成したり、法令に違反する随意契約を締結していたことも明らかになりました。
市民の皆様の信頼を裏切ることをしてしまったことに対し、深くお詫びを申し上げます。
今回の問題の根底には、私共市の職員が市民の皆様からお預かりした公金で仕事をさせていただいているという意識の欠如、全体の奉仕者としての公僕の意識が欠けていたことがあると考えます。
今後二度とこのようなことを起こさないよう、必要な規程の整備や研修を行う中で、「市民の皆様からのご信頼があってこそ公務は成り立っているのだ」という意識を改めて徹底してまいります。
また、これまでも弁護士や警察と協議してまいりましたが、事態の解明に向け、今後警察への告訴・告発も行ってまいります。
さらに、私(市長)自身も自らを処分する考えであります。自らの処分については条例改正が必要ですので、今後条例改正案が固まりましたら公表させていただきます。
市民の皆様に対し、重ねて深くお詫び申し上げます。
誠に申し訳ありませんでした。
延岡市長 読谷山 洋司
発表内容
下記のとおり、地方公務員法第29条第1項の規定に基づき、懲戒処分を行ったので、お知らせします。
(参考)地方公務員法
第29条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
1 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれらに基づく条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
2 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
3 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
記
(1)上下水道局職員による契約事務手続きに係る虚偽公文書作成
(2)上下水道局職員による地方公営企業法施行令に違反した随意契約の締結
1.事案の概要
(1) 契約事務手続きに係る虚偽公文書作成
上下水道局職員が、令和4年8月29日(月曜日)に行われた公共桝設置工事(予定価格50万円程度)に関し、当該工事の施工者との契約事務手続きを行わないまま、当該工事を施工させ、かつ、令和5年3月に、虚偽の工事設計書や見積結果表、契約書を作成し、あたかも真正な契約手続きが行われていたものと装い、さらに、工事代金の支払い事務を進めるため、虚偽の検査調書を作成し、また現場写真を変造して、証拠書類として添付した。
(2) 地方公営企業法施行令に違反した随意契約の締結
令和5年2月17日(金曜日)及び同年3月22日(水曜日)に締結された随意契約について、地方公営企業法施行令の規定により、最初競争入札に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができないこととなっているにもかかわらず、最初競争入札に付するときに定めた予定価格の変更をして、当該随意契約を行った。
(1) 点検業務委託
当初入札時予定価格 | 2,728,000円 |
随意契約時予定価格 | 2,989,800円(261,800円増) |
予定価格の変更内容 |
・発注月が変わったことによる単価の変更(予定価格増) ・当初設計の諸経費率の誤りを修正(予定価格減) |
(2) 調査業務委託
当初入札時予定価格 | 3,352,800円 |
随意契約時予定価格 | 2,520,100円(832,700円減) |
予定価格の変更内容 |
・発注月が変わったことによる単価の変更(予定価格増) ・年度内に業務を完了させるため調査対象の一部を除外する数量の変更(予定価格減) |
2.懲戒処分等について
≪職員(1)≫
○処分事由 〔事案(1)〕
・適正な契約事務手続きを行わないまま、工事を施工させた
・職員(3)が作成した虚偽の工事設計書を容認した
・職員(2)及び職員(3)と協議して、虚偽の見積結果表を作成した
・虚偽の契約書を作成した
・虚偽の検査調書を作成した
・指導監督不適正
○処分事由 〔事案(2)〕
・不適正な随意契約を行った
・指導監督不適正
○処分内容 停職6箇月
○処分年月日 令和5年8月2日(水曜日)
○該当職員の所属 上下水道局
○該当職員の年齢 50代
≪職員(2)≫
○処分事由 〔事案(1)〕
・職員(1)及び職員(3)と協議して、虚偽の見積結果表を作成した
・職員(3)に現場写真の変造を指示した
・指導監督不適正
○処分事由 〔事案(2)〕
・不適正な随意契約を行った
・指導監督不適正
○処分内容 停職4箇月
○処分年月日 令和5年8月2日(水曜)
○該当職員の所属 上下水道局 ※令和4年度
○該当職員の年齢 60代
≪職員(3)≫
○処分事由 〔事案(1)〕
・適正な契約事務手続きを行わないまま、工事を施工させた
・虚偽の工事設計書を作成した
・職員(1)及び職員(2)と協議して、虚偽の見積結果表を作成した
・職員(2)の指示で現場写真を変造した
○処分事由 〔事案(2)〕
・不適正な随意契約手続きを行った
○処分内容 停職3箇月
○処分年月日 令和5年8月2日(水曜日)
○該当職員の所属 上下水道局
○該当職員の年齢 40代
≪職員(4)≫
○処分事由 〔事案(1)〕
不適正な事務処理を中止させず、支払い事務を進めようとした
○処分内容 減給10分の1 2箇月
○処分年月日 令和5年8月1日(火曜日)
○該当職員の所属 上下水道局
○該当職員の年齢 50代
≪職員(5)≫
○処分事由 〔事案(1)〕
不適正な事務処理を中止させなかった
○処分内容 戒告
○処分年月日 令和5年8月1日(火曜日)
○該当職員の所属 上下水道局
○該当職員の年齢 50代
3.再発防止策について
(1) 延岡市随意契約ガイドラインにおいて、見積書を依頼する際には、見積依頼書を「手渡し」又は「郵送」により行ったうえで、見積依頼業者に対し「受領書」の提出を求めるなどの見直しを行い、適正な事務処理の徹底を図る。
(2) 随意契約で工事を発注する際の事務手続きに、新たに「チェックシート」の作成と決裁文書への添付を追加し、決裁者までのすべての職員が事務処理の確認を徹底することで、適正に契約事務手続きを進めることができるよう改善を図った。
(3) 法令遵守の徹底を図るため、内部規程の整備や職員の研修を実施する。
(4) 契約管理に関する研修や文書管理に関する研修を実施し、適正な事務処理の遂行と再発防止の徹底を図る。
(5) 工事等の発注状況を「見える化」し、進捗状況が複数の目で確認できる体制を構築することで、適正な事務処理の徹底を図る。
(6) 緊急部課長会議を開催し、綱紀粛正、服務規律の確保及び法令に基づく適正な事務処理の徹底について、市長による訓示を行う。
【その他】
市長も自身の処分を検討する。(条例改正が必要なため詳細は後日条例案が固まった段階で公表する。)
延岡市
この延岡市の事件と全く同じ、習志野市の「虚偽公文書作成事件」が今年11月、大きく報道されました。
習志野市役所が「虚偽公文書作成」の違法行為を19回も繰り返していたことが明らかに - 住みたい習志野
「虚偽公文書作成」という、行政への信頼を根底からゆるがす犯罪、公務員が絶対行ってはならないことですが、「法に基づいて厳正な処分と、百条委員会での事実究明を行う」延岡市と「法を無視してもみ消しを図った上、ほとんど処分なしでお茶をにごす」習志野市、あまりの違いに誰もが驚いています。コンプライアンス(遵法)意識のある延岡市と、コンプライアンス意識が全くない習志野市、比べてみました。
延岡市
昨年8月に発覚したこの事件、市が延岡署にこの犯罪を告発。1年後の今年8月、関係職員に停職6か月などの処分を行ったことを市が公表。
ホームページに不正の内容、処分の内容と理由、今後の改善策、市長の謝罪文など、詳細に掲載しています。
市長も「自らを処分する考えである」ことを明らかにし、謝罪。市議会の百条委員会で、改めて事件の真相を徹底究明することになった。
習志野市
2年前に内部告発で明らかになった「虚偽公文書作成事件」。市は習志野署にこの犯罪を告発もせず、市長選にこの「不祥事」が影響するのを恐れたのか、2年間ほったらかし(もみ消しを図った?)
市長選も終わり、「ほとぼりがさめた」と判断したのか、今年11月、謝罪記者会見も全く行わず、新聞社などにFAX1枚(下図)で、関係者の「軽すぎる」処分を知らせただけ。
延岡市は6か月停職(免職の次に重い処分)など人事院の懲戒処分の指針に沿った重い処分を下したが、習志野市は戒告、給与1カ月だけ10分の1減額、など、「処分と言えない軽すぎる処分」でお茶をにごした。
市長は「自らを処分する」考えなどさらさらなく、動画「市長ニュース」でも、この事件や処分について一言もふれない、という徹底ぶり。
発注した業務内容や業者数についても「業者の特定につながる」として公表せず、徹底して隠ぺいする姿勢。市長と業者のゆ着を問題視する声も上がっています。
同じ「虚偽公文書作成」という公務員の犯罪。すべて市民に明らかにし、謝罪し、警察に告訴し、法に則って関係職員の処分を行い、更に百条委員会で全容を解明する、という延岡市と、法など無視し、市民に事実を徹底的に隠ぺいし、警察に告発もせず「闇から闇に葬り去ろうとする」習志野市。果たしてこれで良いのでしょうか?
刑法
(虚偽公文書作成等)
第百五十六条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条【第154条、第155条】の例による。→一年以上十年以下の懲役
人事院 懲戒処分の指針(習志野市の懲戒処分もこれに準ずる)
https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/12_choukai/1202000_H12shokushoku68.html
(11) 入札談合等に関与する行為
国が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(13) 公文書の不適正な取扱い
ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員は、免職又は停職とする。
イ 決裁文書を改ざんした職員は、免職又は停職とする。
ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
宮本市長は刑事訴訟法239条2項違反でもある
「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」。一般人は告発「することができる=しなくてもいい」。官公吏は「しなければならない」。虚偽公文書作成罪に当たるとわかっているのに、告発はしないというのだから、刑訴法違反は明らかです。
なお、刑事訴訟では捜査の端緒(きっかけ)という言葉を使います。捜査の端緒には、告訴・告発のほか、現行犯や通報、投書、被害届、その他、様々な種類があり、本来、捜査機関は、犯罪の疑いがあると思われる場合には、自由に捜査を開始することが出来ます。今回の事件は新聞報道までされており、「捜査の端緒」はいくらでもあるので、例え市長が刑訴法に違反して告発義務を怠ったとしても、習志野暑が捜査を開始する案件と言えるでしょう。
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