訃報:李御寧さん88歳=初代文化部長官、『「縮み」志向の日本人』著者
(朝鮮日報オンラインの記事より)
韓国文化部の初代長官を務めた李御寧(イ・オリョン)梨花女子大学名誉碩学教授が26日、がんのため死去した。88歳だった。
1933年(戸籍上は1934年)に忠清南道牙山で生まれた李御寧氏は文学評論家、ジャーナリスト、大学教授などを務め、「韓国を代表する碩学(せきがく)」「当代最高の知性」と呼ばれた。2017年にがんが見つかり、二度にわたり大手術を受けたが、抗がん剤治療は受けず、最後の著作活動である『韓国人の話』など著書の執筆に専念していた。
同氏は韓国を代表する知識人で、『土の中に あの風の中に』(1960年)をはじめ、『「縮み」志向の日本人』(1984年)、『これが韓国だ』(1986年)、『世界の知性との対話』(1987年)、『考えを変えれば未来が変わる』(1997年)、『デジログ』(2006年)、『知性から霊性へ』(2010年)、『生命が資本だ』(2013年)など数多くの著書を出した。
「縮み」志向の日本人、という本
氏の主著で日本語にも翻訳され、ベストセラーになったこの本。日本の文化は、神様を「おみこし」という小さな箱にとじこめ、庭をコンパクトにして「盆栽」にし、ファミリーレストランを「ファミレス」と縮めたり、何でも「縮める」文化だ、というのを読んで、なるほど、と思ったことを思い出します。
本の概要を説明したサイトがあったので、ご紹介します。
本書は、1982(昭和57)年に出版された。29年前のこと。すでに四半世紀を超えている。あらためて読み直してみると日本人の本質をぴたりとついていることに感心する。昔から日本人の意識の底には「縮み」志向があったのだ。細かくて緻密なものに、至高の「美しさ美」を発見したのだ。日本の高度成長を支えたのも、製品開発への「縮み」志向だった。ソニーのウォークマンなんてその代表選手だ。
一方で本書が指摘するように、「縮み」志向には不得意分野がある。木を見て森を見ずというか、細部にこだわるころ。海図のない広い世界に飛び出して、新しい航路切り開く力を西欧はもっている。日本は不得意だ。
「縮み」志向は、国内=ウチでは和になるが、世界=ソトの舞台で見れば閉鎖性になる。変化の激しい先の見えない現代。日本人の特質を再認識して、閉鎖性を打破することが求められるだろう。
「縮み」志向には6つの型があるという。入れ子型、扇子型、姉さま人形型、折詰め弁当型、能面型、紋章型、による分類は納得させられる。
(1)入れ子型――込める。広く使って小さく納める省スペースの知恵。
(2)扇子型――折畳む・握る・寄せる。何かを畳む発想。小型に作りながらも、より機能を高めること。日本商品の世界市場進出の突破口を開いたトランジスタ製品が代表。
(3)姉さま人形型――取る・削るという縮みの共通的な発想。
(4)折詰め弁当型――詰める。集団の枠に詰められて力を発揮する日本独特の団結力。
(5)能面型――構える。剣道、柔道、弓道……構えは、すべての動きを縮めた型。
(6)紋章型――紋章は集団のイメージで象徴物。武士は家紋にかけて戦う。
(イ・オリョンさんに関する動画。英語で説明されています)
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