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平和を訴える「鳥の歌」(読者投稿)

2023-10-30 02:00:21 | オスプレイ、安保、平和

(南田是也さんの投稿です)

パブロ・カザルスの「鳥の歌」は平和を訴える

枕元で目覚ましに使っているラジオの電池が切れたので、先ほど交換しました。そしてスイッチを入れてみると、驚いたことにパブロ・カザルスの「鳥の歌」が流れ出したのでした。

カザルス(1876~1973)は言うまでもなく、20世紀を代表する名チェロ奏者、そして独裁者と戦い続けた平和活動家です。彼が愛奏した故郷カタロニアの民謡「鳥の歌」はしかし、小鳥が楽しく歌っている曲ではありません。人間はなぜ、愚かな戦いを止めないのか。空では鳥たちが、ピース、ピースと鳴いているではないか、という平和への訴えでした。1971年には国連総会の議場でこれを演奏し、テレビ中継を通じて世界中の魂を揺さぶったのです。

ウクライナで、そしてパレスチナで、とんでもない事態が起こっている今、ふいに「鳥の歌」が流れてきて、私はびっくりしました。調べてみるとTBSラジオ「今晩は 吉永小百合です」という番組で、今晩は「パブロ・カザルス没後50年」という特集だったのです。

特集 パブロ・カザルス 没後50年 | トピックス | TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~

1973年10月22日に96歳で亡くなったカザルスを偲ぶ、という30分の番組だったようです。

独裁者フランコを拒否し、祖国を去ったカザルス

それまで単なるチェロの練習曲と思われていたバッハの無伴奏チェロ組曲を取り上げ、その深淵な世界を発掘してみせ「チェロの神様」と呼ばれたカザルス。しかし時代は、彼を容赦なく飲み込んで行きます。1936年、スペイン内戦が勃発しました。カザルスはちょうど、バルセロナでオーケストラを指揮し、ベートーヴェン第九交響曲のリハーサルをしていました。そこへフランコ軍がバルセロナへ向け進撃して来るというニュースが飛び込んだのです。もう音楽会どころではありません。カザルスは楽団員に尋ねます。「さて、お別れですか。それとも、この曲を終わりまで演奏してからにしますか。」 楽団員たちは、演奏を続けることを選びました。そして終楽章『歓喜の歌』が終ると、平和が訪れたときにふたたびこの曲を演奏しようと誓って、オーケストラは散ったのでした。しかしそれは、カザルスの長く苦しい戦いの始まりでした。ピカソの「ゲルニカ」で知られるスペイン内戦。そしてフランコを支援するヒトラー、ムッソリーニとの戦い。また第二次大戦が終った後もフランコ政権を容認し続ける世界との戦いが続くのでした。世界がフランコを容認している限り、私は公開の場では演奏しないと言って、楽壇を去ってしまいます。しかし自らが主催する音楽祭や国連の行事など、限られた場では健在ぶりを示したのでした。日本にも1961年、TBSの招きで来日しましたが、これは愛弟子のチェリスト平井丈一朗の凱旋帰国を祝うものでした。

1971年10月24日には「国連の日」に招かれ、ニューヨーク国連本部で演奏します。この時、先ほど述べた「鳥の歌」で世界に平和を訴えたのでした。1973年死去。独裁者フランコが死に、祖国スペインが民主化への道を歩み出すのは、その2年後(1975)のことでした。

国連総会でのスピーチ

(スピーチのみ:曲の演奏はありません)

(日本語字幕はありませんが、カラーで曲の演奏も含まれています)

「鳥の歌」(1961年11月13日 ケネディに招かれホワイトハウスでの演奏)

 カザルスの「鳥の歌」。おそらくこれでチェロのコンクールに出ても、落選でしょうね。しかし今なお、この演奏を聴く者の胸を激しく打ちます。音楽とは、本当の音楽とは、コンクールの勝ち負けなどではない、という一つの証拠なのではないでしょうか。

 それにしても、没後50年を迎えて、ウクライナやガザでとんでもない事態が起きていることを、カザルスは嘆いていることでしょうね。

 

ラジオは交通情報を聞くもの、となって久しいものがあります。今でもこんな、じっくりと聴かせる大人の番組が残っていたとは驚きました。吉永さんのこの番組、末永く続けてもらいたいものです。

 

 

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