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清掃工場建て替えに300億! そしてゴミの有料化?(後編)

2021-10-11 00:52:45 | 公共施設統廃合問題

清掃工場建て替えに300億! そしてゴミの有料化?(後編)
(「前編」につづき、清掃工場建て替えとゴミの有料化について考えてみましょう)

習志野市のごみを考える

 それでは、習志野市のごみ処理にはどういう問題があるのか。永年この問題を追っている方にインタビューしてみました。

<えっもう建替え?>

――現在の芝園清掃工場が出来たのは、ついこの間のように思うのですが、20年になるのですね。

そうですね。平成14年まで使っていた清掃工場もいまだに残っています。それを「旧清掃工場」、現在の清掃工場を「新清掃工場」と呼ぶことも多い。それなのにもう、「新々」清掃工場のことを考えなければならなくなってしまった。ごみ処理施設の損耗の早さがわかりますよね。

<「燃やす」のではなく、「溶かしてしまう」やり方は燃料も高く、 CO2を沢山排出>

――現在の清掃工場が出来たときは、最新鋭の施設だといって随分話題になったように思うのですが…。

そうですよ。焼却炉ではなく、新日鉄製の「溶融炉」を採用しました。排出ごみをコークスで高温処理し、ごみを「燃やす」のではなく、鉄を溶鉱炉で溶かすように、ごみを「溶かしてしまう」といった、特殊な手法の炉を採用したのです。

この溶融炉自体は、高温処理施設のため、燃料に高価なコークスが必要となり、割高感があります。さらに、問題のCO2を沢山排出するといった悪い点もあります。しかしながら、排出ガスについては、20年前、建設当初時に、これだけ優秀な炉はあまり無かったと思われます。

<炉を傷め、ごみも減らなかった。建て替えには約300億円>

――しかし、それだけ傷みも早かったということですか?

 熱で発電して、清掃工場の電気を自給しよう。売電して多少の収入も得ようということだったのですが、それはちょっと、炉を傷(いた)めたようですね。それで途中、延命工事をやって今を迎えています。持ち込まれるごみの発生量も、20年前の予測ほど減らなかった。ごみ減量化が世間でも叫ばれるようになったのは、ちょうどその頃からでしたね。

今回、習志野市で清掃工場を建替え、新しい清掃工場を建設する計画が出ていますが、処理量は1日179トンと見ているようです。建設事業費は約300億円といいます。新市庁舎・消防庁舎の建設が95億円、文化ホールの再建設が100億円といわれていますから、いかにビッグ・プロジェクトになるか、わかりますね。これを建設から稼働まで、PFI事業にするのか? これだけの莫大な建設事業費をかけて、失敗は絶対に許されないですよね。

<民間活力導入や公民館などを指定管理者にして悪くなった点が市民にきちんと知らされない習志野市>
<そもそも清掃工場を建て替える必要があるのか?>

――習志野市は、民間活力導入に熱心なようですね。公民館なども指定管理者にしてしまいました。ただ、その効果の検証がちゃんと市民に示されているのかどうか。民間にして悪くなった点もあるのではないか、という情報開示が弱いように思うのですが…。清掃工場で言えば、千葉市は「新清掃工場建設及び運営事業に係る費用対効果分析報告書」というのを平成31年に公表しています。

 習志野市では、いよいよワンルーム・マンションが出来上がった、問題の「プラッツ習志野」をはじめ、民間企業の活力に頼る傾向がある。他市もそうですが、ある一定程度の期間がきたから、そっくり建替えとなる。そこで「民間企業主体に…」となるわけですが、実際には自分の家で考えてみると、建築からある一定程度の期間が過ぎて、はい、建替え、という人は、そうはいません。なぜなら、お金がないだけでなく、工夫すればまだまだ住めるからです。

では、今の芝園清掃工場は、どうか? 約300億円をかけて、建替えを行う必要があるのだろうか? 溶融炉を収めた「建屋」のことだけ考えても、まだまだ十分に使えそうです。中の機械類を取り替えて、建屋をリフォームすれば、300億も要らない。何分の一かですむように思われますね。

日本社会のバブル時代に培った悪いクセで、耐用年数にならなくても一定の期間が過ぎたら建替えればいい。それが当り前のようになっています。しかし、本当にそれでいいのだろうか? 近隣市と比べても、どうなのか?

税法上、鉄骨鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年ですか。平成14年築の建屋は、まだ限界を迎えない、健全な状態でしょう。そんな清掃工場を、建屋まで含めて取り壊し、300億円もかけて、すべて建て替える必要はあるのだろうか? このニュースを見た限り、ちょっと首を傾げてしまいますね。ごみ減量化もどうなっているのか、最新の状況を説明してもらいたいところです。

<市の基本計画にも「令和3年までに家庭ごみの10%削減を目指し、有料化については、慎重な検討が必要(安易にやらない)」と書いてある>

――ごみ処理の有料化の話と清掃工場の建て替えは、どう関係しているのでしょう。

今回、新たに策定してパブリック・コメントを求めようとしている「一般廃棄物処理基本計画」ですが、その前の版、つまり現行の基本計画は、習志野市の公式ホームページで誰でも読むことができます。

https://www.city.narashino.lg.jp/kurashi/gomi/keikaku_jigyo/ippahaikibutusyori.files/ikkatu.pdf

これは平成24年5月に策定して、令和3年度までの10年間をカバーしているものですが、その31ページには「1人1日あたりのごみ総排出量を令和3年度までに平成22年度比10%削減を目指します」と規定されています。そして43ページには、10%削減を達成するのに効果がある施策として「家庭ごみ収集処理の有料化」と、また40ページには「“家庭ごみ収集の有料化”については効果的な施策であります。しかし、市民への説明など慎重な検討が必要であると考えています」と述べた上で、34ページで、この計画期間に行う施策は「家庭ごみ収集処理の有料化による効果等の研究」だと規定しています。有料化を行うとはどこにも言っていない。

<有料化を言う前に「ゴミの量はどう変化しているか」「10%削減はできるのか」の説明が必要>

したがって、有料化を行うとすれば、まず習志野市のごみ総排出量はどう変化しているのか。令和3年度までに10%削減という目標が達成できそうなのか、できないのかを説明してもらわなければなりません。パブリック・コメントに提示される新計画の案には、当然その辺がよく説明されているのでしょうから、ここは注目しなければなりませんね。

<レジ袋の有料化などでごみ減量化が進んでいれば、家庭ごみの有料化は必要ない。まだ使える建屋などを壊して300億円の新工場、というのも納税者の理解が得られない>

この10年でレジ袋の有料化など、世間一般のエコ意識もだいぶ変ってきました。生ごみの水切りなど熱心にやっている家庭も多いと思います。ですから例えば、10%は達成できなかったが、減量化は順調に進んでいるということであれば、無理して有料化などしなくてもよいのではないか、とも言えますよね。そこをあえて有料化した。一方で、まだ使える建屋なども壊して300億円の新工場を建てました、というと、納税者の理解が得られるのかどうか。市役所の考えを聴きたいところですね。

<PFI、「タラソ福岡」の失敗例⇒巨額の赤字で閉鎖>

――清掃工場のPFI事業というと、有名な「タラソ福岡」の失敗例がありますよね。本当に心配です。

福岡市は20年前、2001年に臨海清掃工場を稼動させるにあたり、余熱の利用を図り、周辺住民の福利も考えて、タラソテラピー(海水中で身体を動かし、浮力、水圧を活かしたマッサージや運動でリフレッシュを図る)の施設を併設しました。市は当初、公設公営の予定だったがPFI事業に方針を変更。事業者の公募をおこない、応募のあった2社からゼネコンのO建設の案を採用します。「タラソ福岡」は翌2002年4月にオープンしましたが、入場者数が当初の見込みを下回り、初年度決算で6千万円の損失を計上。曲折を経て、結局閉鎖になったというものです。詳しくは、こんなレポートがありますが

タラソ福岡の「失敗」にみる官民連携ファイナンスのヒント | 大和総研

タラソ福岡=PFIの失敗(前)~福岡市・行政改革の実態(28):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース (data-max.co.jp)

タラソ福岡=PFIの失敗(後)~福岡市・行政改革の実態(29):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース (data-max.co.jp)

要は、そういう施設を作れば面白いように客が来て、利益があがるというゼネコンの話に、市が飛びついてしまったわけですね。まさに「士族の商法」です。

<300億かけて出来上がった頃に、習志野市ってまだPFIなんてやってたの、などということにならないようにしてもらいたい>

指定管理者とかPFIは、新自由主義的行政改革の手法だと言われます。小泉改革で、郵政省なんかぶっ壊せと叫んでいた時代もありました。今、このコロナ禍で、新自由主義との訣別とか「新しい資本主義」なんていうことも言われるようになってきた。300億かけて出来上がった頃には、習志野市ってまだPFIなんてやってたの、などということにならないようにしてもらいたいものですね。

<もう一度、貴重な税金の使い道、よく考えて>

まだまだ使えるのに300億で建て替え。理由も説明せず「ごみ有料化」。我々市民も、貴重な税金の使い道を、もう一度、よく考えてみたいものです。

 

 

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