隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0701.月の扉

2006年02月15日 | 本格
月の扉
読了日 2006/02/15
著 者 石持浅海
出版社 光文社
形 態 新書
ページ数 287
発行日 2003/08/25
ISBN 4-334-07533-9

 

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の文は2010年2月に著者の比較的新しい著作である「心臓と左手」を読むにあたって、主人公の”座間味くん“というのが本書の主人公であることを知り、すっかり記憶のそこから抜け落ちている本書の内容を確かめるべく再読と相成った、ことからのものである。(前回読んだときには文章を書いてなかった)

この頃(2006年2月)読んだ本の記事には至極簡単な文か、あるいは本のデータのみで文章のないものが多いことをあらためて知り、多分次々と読むことだけに熱中して、文章を書くことを怠っていたのではないかと想像する。ずっと以前BASIC言語でパソコンのプログラム作りに励んでいた頃読んだ参考書に、「明日の自分は他人」という言葉があって、つまりプログラムのコードを書くときは、後で見てもわかるように出来るだけREM文(Remark=註の意、コメント文など)を添えておくことが大事だということである。
自分では覚えているつもりでも、後になると忘れていることが多いから、明日の自分は他人だと思え、という戒めの言葉だ。特に僕は人一倍記憶力には自信がなく、今だって2-3冊前の本については記憶がおぼろになる。その為もあってこうしてせっせと書いているのだが、時として読むことばかりに集中して書く事を怠ってしまうのが悪い癖だ。自分に対しての言い訳が長くなった。

 

 

今回改めて著者の長編2作目という本書を読んでみて、その後ぽつぽつと著者の作品を読み継いできたことの原点がわかったような気がした。ハイジャックというまことにドラマチックな、否、刺激的なスト-リーにもかかわらず、本格推理をなしているというところが面白い。
まもなく国際会議が行われるという緊迫した雰囲気の沖縄が舞台。そうした状況の中での厳重な警戒態勢を潜り抜け、那覇空港発羽田行きの琉球航空の旅客機がハイジャックされる。離陸寸前のボーイング767型機を乗っ取ったのは男二人女一人の三人組だ。
事の起こりはいじめにあったり、虐待にあったりで、不登校になった児童などをキャンプで治してしまうと言う石嶺孝志が、誘拐事件の容疑者として逮捕されたことにある。石嶺は教育者でもなければ、新興宗教の教祖でもなく、ごく普通の一般人だが彼のキャンプで立ち直った者の中には、東大に入ったものとか、歌手デビューしてメジャーになった者もいるほどその効果は誰もが認めるものだった。
そうした人格者がなぜ誘拐事件の容疑者となったのかも、謎の一つである。
そして、その石嶺の解放を警察に突きつけるためのハイジャックを計画し、実行に移したのがキャンプの手助けをする仲間たちだった。そのハイジャックの最中に機内でもう一つの予期せぬ事件が発生する。

 

 

日かけて再読してし終わってから、なぜ最初のときにいろいろ書かなかったのだろうかと、不思議な気がしたが、気まぐれな上にたいした文才もない僕のことだから、面白く読んだ後でもかけないこともあるのだろうと、一人で納得したのだが・・・。しかし、後の作品「心臓と左手」の最終話「再会」で語られるほどのことが本書から具体的に伺えないのが、ほんの少し引っかかるのだが・・・。

 

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