隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0887.いつか、虹の向こうへ

2008年05月29日 | ハードボイルド
いつか、虹の向こうへ
読 了 日 2008/05/29
著  者 伊岡瞬
出 版 社 角川書店
形  態 単行本
ページ数 323
発 行 日 2005/05/25
ISBN 4-04-873612-4

 

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25回横溝正史賞受賞作。テレビ東京賞を同時受賞して、同局でドラマ化されており、BSジャパンで放送されたものをDVDに録ったが、僕にしては珍しくまだ見てない。
ある時期僕は横溝正史賞の受賞作に疑問を感じたこともあり、(確かこの日記にもそのことを書いたことがあるが?)以前ほど興味を持てずにいたが、それでもネットに安く出ていると、つい手を出してしまう。というようなことで、それほど期待せずに読むことにしている。
本格か、あるいはファンタジー系の作品かと思って読み始めたら、タイトルに似合わず、ハードボイルドだった。

 

 

心臓疾患の息子が3歳で亡くなり、巻き込まれた事件で、犯罪者として獄舎に繋がれることなり、妻にも離婚されるという、哀れな中年男・尾木遼平の生き様が描かれる、ストーリー。
離婚した妻への慰謝料支払いに当てるため、持ち家を売りに出しているが、買い手が見つかるまでの間、彼は、二人の男と一人の女を同居させている。この擬似家族のような面々がそれぞれに個性的で、それぞれにひとつのドラマを抱えており、必要に応じて、それらの胸の痛くなるようなエピソードが語られる。
だが、そうしたエピソードとは別に、主人公の関わる事件は、暴力団のトップを巻き込む事件に発展して、サスペンスを盛り上げる。

形を変えて暴力に痛めつけられる主人公は、かっこいいスーパーマンではなく、警察を追われた、元刑事という、羽根をもがれた鳥のような弱い立場ながら、あらゆる手段を講じて、戦う姿が痛ましくも、好感が持てる。

 

 

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