隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0717.エンドゲーム 常野物語

2006年03月31日 | ファンタジー
エンドゲーム 常野物語
読了日 2006/3/31
著 者 恩田陸
出版社 集英社
形 態 単行本
ページ数 324
発行日 2006/1/10
ISBN 4-08-774791-3

「光の帝国」(300.参照)「蒲公英草紙」(713.参照)に次いで、3冊目の常野物語だ。
といってもこれらの3つの物語に直接の関連性はない。
特殊な能力を持つ一族を描くファンタジックな「常野物語」は、あたかもそうした一族がある地域に実在するような感覚を覚えるストーリーだ。

今回の物語では、メインキャラクターの一人、拝島暎子は自分たちの境遇がオセロゲームの駒のようだと感じている。彼女たちが「あれ」と呼んでいるものは何なのか?「あれ」に出会った時に、自分と「あれ」の間の力の差によって、オセロの駒のように相手を“裏返す”か、それともこちらが“裏返される”か!
当事者である登場人物たちにも、自分たちの置かれている立場や、環境、自身の能力などについて判っている訳ではないところに、読んでいてもどかしさのようなものを感じるが、それが物語りに引き込まれる要因ともなる。

暎子の娘である、拝島時子はある日、母が勤めている会社・稗田物産で母の秘書を勤めている河合詩織から電話を受ける。母の暎子が出張先で倒れたというのだ。
「母は裏返されたのか?」、 時子の頭に浮かんだのはそうしたことだった。

初出誌 小説すばる
発行月号 2004年3.6.9.12月号
2005年3.6月号




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