ゆみねこ日記

日常日記です。

8月の読書記録

2024-09-01 18:26:17 | ブックレビュー
8月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:7682
ナイス数:2556

アンソロジー 舞台! (創元文芸文庫)アンソロジー 舞台! (創元文芸文庫)感想
5人の女性作家によるアンソロジー。舞台、2.5次元・バレエ・ミュージカル・ストレートプレイ、アマチュア演劇。舞台に立つ人、観劇する人、裏方で支える人。中々面白いテーマだった。乾ルカさんの「モコさんというひと」が良かった。笹原千波さんと雛倉さりえさんは初読み。
読了日:08月02日 著者:近藤 史恵,笹原 千波,白尾 悠,雛倉 さりえ,乾 ルカ
ひとつの祖国ひとつの祖国感想
第二次世界大戦敗戦後の日本は大日本国(西日本)と日本人民共和国(東日本)に分断され、東日本はソ連に支配されることに。ベルリンの壁崩壊で日本も一つの国に統一されたが、格差は埋まらない。東日本独立を目論むテロ組織に意図せず関わることになった一条と、その行方を追う幼馴染の自衛隊特務連隊の辺見。テロ組織MASAKADOに取り込まれた一条は人が良すぎて、最初からハラハラ。辺見との絡みがもっとあればと思った。最後はややモヤっと…。とにかく長かった。
読了日:08月04日 著者:貫井 徳郎
バタン島漂流記バタン島漂流記感想
江戸を立ち尾張に向かっていた颯天丸は、嵐に遭遇し日本の遥か西、バタン島へと流される。現地の住民に奴隷のような扱いを受け過酷な日々に心も折れそうになる。船大工を挫折し水夫となった和九郎を中心に、自らの手で船を作り故郷への航海に。乗員たちの中心だった船頭と楫取を失い、幼馴染の門平も亡くした和九郎の悲しみに胸が詰まる思いが。ようやくたどり着いた故郷。鎖国という幕府の施策は命がけで帰り着いた人には冷たく辛いものだと感じた。とても読み応えある漂流記だった。
読了日:08月06日 著者:西條奈加
犬は知っている犬は知っている感想
ピーボの可愛さにKOされた!患者の恐怖や苦痛を和らげるファシリティドッグのピーボには、裏の任務が。警察病院の特別病棟に入院する余命僅かな囚人患者から彼らが隠していた秘密を聞き出し、真相を探るというもの。ハンドラーの笠門とのバディは最強。続編が出たら読みたい。
読了日:08月07日 著者:大倉 崇裕
ソロキャン!(3) (朝日文庫)ソロキャン!(3) (朝日文庫)感想
シリーズ第3弾。ソロキャンを楽しむ千晶は持ち前のお節介を発揮して不登校の未来にアドバイスをしたり、後輩・花恵の悩みに寄り添ったり。焚き火をきっかけに家庭に問題を抱える少年と知り合う。そして高圧的な管理人のいるキャンプ場では彼女の持つトラウマと向き合う。ソロキャンを楽しみながら人間的にも成長する千晶のこれからが楽しみになる。キャンプ飯が美味そう!
読了日:08月08日 著者:秋川 滝美
夜と跳ぶ夜と跳ぶ感想
自らの不祥事で失業したスポーツカメラマンの与野丈太郎は、ある夜渋谷で金髪のスケボー少年に出会う。彼は2020東京のスケボーストリートの金メダリスト・大和エイジ、パリ五輪に出ようともせず渋谷の街で自由気ままに滑るエイジに反感を覚えながら、その魅力に惹かれ彼の専属カメラマン「フィルマー」として最高のトリックを追い求める。エイジの育った背景やストリートで滑ることへのこだわり、丈太郎自身の抱えている問題を絡め、様々なトラブルに巻き込まれていく。スケボーの歴史や文化、面白かった!額賀さんのスポーツものは良い。
読了日:08月09日 著者:額賀 澪
おむすび縁結び 食堂のおばちゃん(15) (ハルキ文庫 や 11-17)おむすび縁結び 食堂のおばちゃん(15) (ハルキ文庫 や 11-17)感想
ご近所のラーメン店の主・千歳とはじめ食堂に野菜を納めている松原団の結婚式からスタート。友人の病から遺伝子に関わる病を気に病む二三。霊能者が出て来た時はちょっと不穏な気配を感じたが、そこは山口先生、明るい結末に安堵。若い人たちが新たな一歩を踏み出す背中をそっと押すはじめ食堂のメンバー。食べ物は相変わらず美味しそう。
読了日:08月10日 著者:山口 恵以子
闇医者おゑん秘録帖-残陽の廓 (単行本)闇医者おゑん秘録帖-残陽の廓 (単行本)感想
前作から間をあけてしまったので、乗れるかと心配だったが、読み始めたら一気におゑんさんの魅力の虜に。吉原で相次ぐ謎の遊女の死、おゑんの家で預かっていた由利の悲劇。吉原に巣食う様々な情念が引き起こした問題と遊女の運命の過酷さ。あさのさんの描くダークで艶っぽい作品。次作はあまり間が置かずに読みたい。
読了日:08月11日 著者:あさの あつこ
クリームイエローの海と春キャベツのある家クリームイエローの海と春キャベツのある家感想
商社で働いていた津麦(つむぎ)は、ある日会社で倒れそれを機に退社して「家事代行業」の会社に転職する。家事代行歴3ヶ月のある日、5人の子どもを育てるシングルファーザーの織野家へと赴く。一歩家に入るとそこは洗濯物で溢れた「クリームイエローの海」が広がっていた。一人で家事育児仕事をこなそうとする父・織野朔也、また津麦も自らの常識にとらわれていて互いの心はすれ違うが、津麦の気づきと成長が状況を変えてゆく。とても素敵な物語、せやま南天さん初読み。
読了日:08月11日 著者:せやま 南天
赫き女王 Red Alveolata Queen赫き女王 Red Alveolata Queen感想
熱帯の無人島で起きた集団怪死事件。ある朝海洋生物総合研究所の研究員が立て続けに飛び降りて死亡した。生き残った研究員・高井七海は、所長が極秘に研究を進めていた事を突き止める。所長は何を目的におぞましい研究に手を染めたのか?熱帯のジャングルで次々に起こる恐ろしい生き物との遭遇。こいつは怪しいなと思った人物が気持ち悪すぎた。そしてラストシーンは鳥肌ものの恐ろしさ…。生命を勝手にイジってはいけない。恐ろしい本だった。
読了日:08月12日 著者:北里紗月
首木の民首木の民感想
運転する車の中から血の付いた他人の財布が見つかり、経済政策通として知られる大学の客員教授・久和が逮捕された。久和は公務員を信用していないからと取り調べは進まない。しかし、久和は取り調べにあたる佐久間に対し日本の財政についての講義を延々と語る…この辺で挫折しかけたが、志村署のメンバーたちは財布の持ち主の側から捜査を続けてゆくと、悪徳警察官や財務省の元高官などとのつながりが見えて、後半は一気に面白くなった。税金という首木に縛られた多くの民と、その上に君臨する一部の偉い人。。
読了日:08月14日 著者:誉田 哲也
南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁 (徳間文庫)南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁 (徳間文庫)感想
クライミングの滑落事故で宙吊りになり、自分の命を守るためにザイルを切ってバディを転落死させた川越。その事故現場を偶然に撮影し川越を脅迫する元同僚。この事件は夏実たちのいる北岳へと舞台を移す。母親に置き去りにされた少年、その母親と恋人の遭難に対処するK-9メンバーたち。今作では風変わりな新人・桐原も加わる。夏実たちの大ピンチを救うシーンは胸が熱くなる。ラストが不穏な感じで次作はどう展開するのか?相変わらず犬たちが可愛い!
読了日:08月15日 著者:樋口明雄
死んだ山田と教室死んだ山田と教室感想
猫を助けようとして車道に出て、そこに飲酒運転の車が突っ込み死んでしまった山田くん。穂木高2Eの人気者の突然の死に悲しむクラスメートたち…。ところが事故から3日後の新学期の教室に、突然山田の声が。スピーカーから聞こえる彼の声は、大好きな2Eの仲間たちともっと話をしていたいと。男子校ならではのおバカなネタに吹き出し、青春だなあと感じていたが、クラスメートたちは成長し、それぞれの道をゆく。山田を思いながら、いつまでも関わり続けることも出来ず。ラストは何だか切なくて泣けてきた。金子玲介さん初読み。
読了日:08月16日 著者:金子 玲介
骨と肉骨と肉感想
一族の抱える闇の連鎖…。千葉県警の刑事・八島武瑠は、臼原署管内で発見された連続女性惨殺事件の現場を見て約20年前の東京三鷹市の連続殺人事件との共通点に気づいた。時を同じくして従兄弟の願示から20年前の事件の真相を聞かされる。20年前の事件の真犯人は願示の亡くなった双子の弟で臼原の事件はその模倣だと。今回の事件も身内の犯行なのか?ネグレクト・カサンドラ症候群・アルコール依存症、重たくて暗い内容なのに読み始めたら止まらない。櫛木理宇ワールド、堪能した。
読了日:08月18日 著者:櫛木 理宇
私が愛した余命探偵 (小学館文庫 な 38-3)私が愛した余命探偵 (小学館文庫 な 38-3)感想
町の小さな洋菓子店で働く二葉には長期入院中の夫・一星がいる。腹部の肉腫で手術を繰り返し禁食で空腹の一星は、二葉が持ち帰るお店での出来事の謎を解く。タイトルから一星の病状が想像出来てしまい切なくなるが、美味しそうなケーキを想像し、二葉と一星の互いを想う気持ちに温かい涙が…。作者ご自身の体験がこの作品に昇華されたのだろう。素敵な1冊。
読了日:08月18日 著者:長月 天音
居酒屋ぼったくり おかわり! (3)居酒屋ぼったくり おかわり! (3)感想
要さんの美音に対する愛があふれる1冊。妹・馨と哲くんの結婚と新婚生活のあれこれ。猫をお迎えするカンジの話、そしてこのラストは…。仲良し夫婦二組、これはオメデタの予感しかない!「おかわり」もずっと続いてほしいな。
読了日:08月20日 著者:秋川滝美
モノモノ感想
東京モノレール、まだ乗ったことがない。これを読んで乗りたくてたまらなくなった。東京モノレールに勤める4人とその周辺の人々との物語、タク女の高原夏子さんや、小説家の小倉琴恵さんもちらっと登場。飛行機で旅に出る予定は今のところ無いけれど、空港の雰囲気を楽しむためにモノレールに乗ろう。
読了日:08月21日 著者:小野寺 史宜
天の台所天の台所感想
幼い頃に母と祖父を亡くし、家族を支えてくれていた祖母が急死した朝田家。料理が出来ない一家の食卓は出来合いの惣菜や弁当ばかりに。このままではいけないと感じていた小6の長男の天。ある日いい匂いに誘われ近所の「がみババ」の台所をのぞく。「がみババ」から料理を教わることになった天、台所に入れなくなった弟の陽、生意気でおしゃれな妹光と、涙もろく優しい父。料理を通して天も朝田家も成長してゆく。「おてんとう焼き」、作ってみたい!児童書だけど大人にもお薦め。落合由佳さん初読み。
読了日:08月22日 著者:落合 由佳
籠の中のふたり籠の中のふたり感想
父を亡くし恋人にも去られた弁護士の村瀬快彦は、傷害致死事件を起こし服役していた従兄弟・蓮見亮介の身元引受人となる。幼い頃に一度会っただけでほとんど他人の快彦と亮介は川越の村瀬家で同居を始める。人当たりも良く暴力とも無縁だった亮介はなぜ人を殺めたのか?家族に秘められた謎、罪を犯した人間との関わり、色々考えさせられた。クズのような人間でも殺人は罪…。二人は籠から出て生きていける。
読了日:08月22日 著者:薬丸 岳
鷹の飛翔鷹の飛翔感想
捜査一課の高峰と公安一筋で今は目黒中央署の海老沢。高峰は病を抱える不安、海老沢は公安の未来への心配を。そこに起こった殺人事件、犠牲者は元左翼の活動家。2012年になってから4人が殺害され、容疑者も特定されるが決め手はない。捜査一課と公安一課、それぞれの思惑はあるが警察の未来を見据え戦いに挑む。シリーズ全作を読んで来たがこのラストは納得。最近の堂場さん、定年間近の登場人物が多い。
読了日:08月25日 著者:堂場 瞬一
銀色のステイヤー銀色のステイヤー感想
日高の小さな牧場で生まれた芦毛の仔馬。頭が良く走力に恵まれたこの馬は、類まれなヤンチャぶりを発揮する。牧場主やクセの強い若手の牧場従業員、調教師と助手、乗り手である騎手、そして夫の急死で馬主になった女性。1頭の馬がそれぞれの人生を変え成長させてゆく。しかし、この物語の主役はやはりシルバーファーンだろう。面白かった!
読了日:08月27日 著者:河崎 秋子
ゆうびんの父ゆうびんの父感想
日本の郵便制度を作った人、前島密。新潟県出身ということは知っていたが、武家出身でもなく農家の生まれだったとは驚いた。生後すぐに父を亡くし、教育熱心な母のもとで育ち、旅に出て見聞を広げたが、中々世に出ることができなかった。幕末の動乱の中で前島密は様々な人と出会い、道を切り拓いた。欲を言えばもう少し郵便制度のことを読みたかった。郵便の話に到達するまでが長かった…。
読了日:08月30日 著者:門井 慶喜
谷から来た女谷から来た女感想
ダムに沈んだ村出身のアイヌ模様デザイナーの赤城ミワ。アイヌの誇りを背負い、まっすぐに生きる強い女。ミワと関わりのある大学教授やレストランのシェフ、専門学校時代の友人、ミワの両親の出会いの話、ミワのドキュメンタリーを撮るディレクター。時代を前後しながら綴られる一人の女の物語は深く心に残る1冊になった。
読了日:08月31日 著者:桜木 紫乃
スナック墓場スナック墓場感想
「襷がけの二人」で知った嶋津輝さん、こちらの短編集も絶妙な面白さ!一番面白かったのは「姉といもうと」、派遣の家政婦として働く姉と、指が欠損している妹の物語。「ラインのふたり」は日払いで倉庫内で働く女性。クリーニング店の夫婦と風変わりな客を描いた「カシさん」、「駐車場の猫」「米屋の母娘」「一等賞」「スナック墓場」。7つの物語、すべて味わい深く、どちらかというと苦手な短編集だが、これはとても良かった。
読了日:08月31日 著者:嶋津 輝

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