杉の子のひとりごと

私の交友録などを中心に,思いを綴っていきます。

悲しい女の独り言

2011年12月27日 | 日記
年の暮に似合わない・・・
いや似会うかも知れない女の物語。

そのひとは、子育てを済ませて
ひとりぼっちで生活しています。

ふたりの子供はそれぞれ結婚して、
家を出て行った。

たまに孫を連れて帰ってくるけれど、
自分の生活に追われて母親の心のヒダに
分け入る余裕が無い。

亡き夫は酒に溺れた父親失格の人だった、
新婚間もなくアルコ-ル依存症だと分った。

悲しみの連鎖が昼夜と無く繰り返されて、
彼女の心は無残に引裂かれた。

それでも2人の子宝に恵まれて、
涙を胸深く押し込めて運命に耐えた。

辛い夫婦生活の傍で、強くて優しい母親の
姿を見せなければ為らなかった。

子供達は何にも言わないが、
母の袖に隠す涙を知っていたのである。

いい子に育ってくれた、
親思いの子供達だが親の悲しみの領域に
踏み込むには若すぎる。

辛き事のみの積み重ねに、
彼女の細い神経は病んでいた。

〇〇〇〇障害、絶え絶えに踏みとどまる
もろさに彼女はいた。

あるきっかけで、私との出会いが有って、
少しずつ、心を開けていったのである。

「U先生 ! 私の胸の内は誰にも判りません、
それで良いんです、でも先生と話をして
いると、何故かしら心が落ち着きます・・・
有難うございます !?」

「〇〇さん、年が明けて暖かくなったら、
公園でも散歩に付き合いますからね !」

私の励ましに、彼女は涙声で答えた。

「嬉しい ・・・ !」

人の親切から、随分遠ざかっていた孤独な
女性である。

私の、ささやかな言葉にさえ「嬉しい」と言う !
長年の酒乱の夫との生活は、このように彼女の
心を蝕んでいた。

夫が亡くなって20年が経つ。

心の傷は深い !?

「U先生! 私は家に居て、何時も聴いている
歌があります・・・?
東京ロマンチカの ♪ 君は心の妻だから ♪
いい歌ですね !」

私は弾んだ声で同調した、
「そうです、いい歌ですね、私も好きですよ !」

彼女は、ホッとしたように呟いた・・・
「本当ですか ! 嬉しい !?」

電話が終わりに近づいた・・・
「又、電話しますからね !」

受話器の向うで、
「有難う! ありがとう! ありがとう ・・・!」
その声は哀愁を帯びて消えていった。

27日、仲間との忘年会、
2次会のカラオケで、生まれて始めての
♪ 君は心の妻だから ♪ を歌ってみたい。

Uの涙が見られる筈である。・・・。。。

                   合掌

「 強く生きてよ !」


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