Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「貨物鉄道博物館」初訪問記。

2005-12-06 07:37:30 | 鉄道(その他雑感など)
東藤原から電車に乗る。
そして、近鉄富田方面へ二駅戻った「丹生川」駅で下車。
ここが、「貨物鉄道博物館」最寄り駅である。

いや、違う。
駅構内に何気なく留置されている二両の貨車もここの展示車両だから、目の前が「貨物鉄道博物館」の一角となっている訳だ。

二軸タンク車のタム8000。南四日市でよく見かけた貨車だ。
過酸化水素を運ぶため、タンク体がアルミ製になっているのが特徴になっている。


それからもう一両。
一見、何でも無い無蓋貨車。
しかし、この車には一方ならぬ思い入れがある。
名鉄谷汲線が走っていた頃、黒野駅に何気なく留置されていた貨車の事を覚えている人はいると思う。
その貨車、1912年製造のト1形式「ト15」が目の前にいる。
当時は見づらい場所に留置されていたが、今回はよく見える。


ここで足を止めていては、なかなか前へ進まない。
という事で、駅を出て、左へ曲がる。
さっきの二両を駐車場から眺めると、こんな感じ。

黙っていれば「現役」と言っても良さそうな雰囲気だ。

そして、正面に見えてきた建物が「貨物鉄道博物館」だ(トップの画像)。
最初に館内には入らず、屋外に展示されている車両を見る。
東武鉄道39号機が先頭に立つ戦前の貨物列車が最大の見どころだろう。
雨は小降りになってきたが、段々暗くなってきた。
写真撮影もそこそこに、気になる貨車を見て回る。
個人的にはかつて名鉄舞木定期検車場で控車として使用されていたト246のレストア風景を見ることが出来たのが収穫だった。
1913年に愛知電気鉄道が製造した木造無蓋車だが、「鳴海工場の控車」と言った方が話が早い。
鳴海工場が廃止された時に、この無蓋車も運命を共にするのか・・・と思いきや、最新鋭の舞木定期検車場へ移動したのには驚いた。

控車時代はあおり戸はボロボロ、廃車然としていたが、レストアされた姿を見ると、復元工事はかなり進んでおり、見たことのない最盛期の姿を取り戻したかのように見える。
惜しむらくは標記類が未記入だった事だが、貨物鉄道博物館ホームページを見ると、「今月中あと2回の作業で完成させる」とあったので、次に来る時は完成した姿を見ることになる。

更に奥へ進むと、今度は小さな入換用ディーゼル機関車が先頭に立った編成が見える。

機関車より後ろの貨車の背の方が高い。
ユーモラスな眺めだ。
こちらの貨車はレストア待ちという感じだ。

そして、一番奥に懐かしい貨車が草むらの中に半ば埋もれていた。

元京福電鉄福井支社にいた、旧日本陸軍鉄道聯隊91式・97式軽貨車。
京福時代にはイベントで線路閉鎖の上、実際に走行した事もある。
てっきり、えちぜん鉄道転換時に姿を消したのかと思ったが、ここに終の棲家を得た。
貴重な貨車が何気なく展示してある所に、ここの奥深さを感じる。

寒さに耐えきれなくなったので、館内の見学に移る。
中では鉄道模型の運転会が行われ、親子連れがそれに見入っている。
その傍らでは古い記念乗車券や鉄道雑誌が売られており、それなりに人だかりができていた。その中に20年以上前の「鉄道ジャーナル」が150円で出ていたので一冊買う。
館内の展示もさることながら、雰囲気が和気藹々としていて居心地がいい。

「貨物鉄道博物館」の開館時間は午前10時から午後4時まで。
時計を見ると、午後3時を回ったところだ。
何か記念グッズでも・・・と思って探してみるが、「貨物列車はどこまでも」は購入済だったので、10枚セットの絵はがきを購入した。
展示車両のレストアが一段落したら、図録的な物が出るといいのになぁと思う。

そろそろ帰ろうかと重い腰を上げて駅へ戻る。
雨は相変わらず降り続けている。
今回は時間がなかった事や外が暗かったため、環境がよろしくなかった。
機会を作ってまた来ようと思う。

まだまだ「発展途上」だけれど、ボランティア達が手作りで作り上げた世界初の「貨物鉄道博物館」。
我々鉄道ファンの間でも軽視されがちだが、一度入ってしまうと奥の深さを感じる貨車の世界。
その世界を気負う事無く、気軽に楽しめる博物館になればいいな、と願いつつ家路に就いた。



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