Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

渦中の「下工弁慶号」訪問記。

2006-06-05 05:53:38 | 鉄道(その他雑感など)
三岐鉄道北勢線・阿下喜駅に隣接して設けられている小さな車庫。
そこに小さな蒸気機関車「下工弁慶号」が保存されている。
一度は足を運ばなければ・・・と思っていた矢先に入ってきた「管理委託解除」の報。
矢も楯もたまらず、昨日現地へ行ってきた。

「下工弁慶号」が車庫の外に出るのは第一日曜日。
阿下喜駅に着いたのは午前9時を少し回った頃。
既に「下工弁慶号」は車庫から姿を見せ、火入れが行われていた。

既に同業者やマスコミも姿を見せている。
マスコミ関係者は早くもTVカメラを回したり関係者等にインタビューしていた。
確認できたマスコミはメーテレ、三重テレビといったところ。
やはり「動く蒸気機関車」というのは絵的に「おいしい」のだろう。
それにしても、マスコミ関係者用の駐車スペースを用意する所に、今回の問題をPRしたい「北勢線とまち育みを考える会」の姿勢が見える。
対して黒塗りのハイヤーで乗り付けるマスコミ関係者にも驚いた。

第一回目の運転開始は10時頃と聞いていたが動き出す気配は一向にない。
まだ準備が整っていないようだ。
展示線の終端、転車台付近に移動して「下工弁慶号」が動き出すのを待つ。
しばらくすると、「北勢線とまち育みを考える会」のスタッフが転車台に油を差して手動で転車台を回し始めた。

この転車台は阿下喜駅構内に埋められていたものを掘り起こし、ここまで復元したものだ。
全て「手作り」という印象が強い。

10時30分を回った。
まだ動き出す気配はない。
スタッフによると「ボイラーの温度が上がっていない」とのこと。

10時50分頃、「下工弁慶号」はゆっくりと動き出した。

この日は蒸気機関車を運転してきた国鉄OBが運転しているとのこと、煙が自由自在に上がる。

展示線を一往復した後、いよいよ転車台に乗る。

本当に手動で転車台を回している。
そして、方向を変えて車庫へ走っていった。
これで一回目の展示運転は終了だ。

周りを見るとギャラリーは多かった。
「下工弁慶号」の保存を巡って「北勢線対策推進協議会」と「北勢線とまち育みを考える会」が対立し、保守管理契約解除に至ろうとしている話は結構広がっており、今回が最後の展示運転になるかもしれないと思われたことも一因だったのだろう。

そして、今日の読売新聞にはこんな記事が掲載されていた。
昨日の走行を受けて「北勢線対策推進協議会(以下「協議会」)」が「北勢線とまち育みを考える会(以下「考える会」)」に対して保守管理委託契約解除を内容証明郵便で通知した。
内容は今月17日までに「下工弁慶号」を協議会へ返還すること、期日までに返還されなければ法的措置を執るというもの。
予想通りと言えば予想通りだ。

部外者から見れば「沿線活性化」という両者の目的は同じだったはず。
実際、「下工弁慶号」を目当てにやってきた人はいた。
中には車で「下工弁慶号」を見に来た人もいた。
が、それでは三岐鉄道にお金が落ちない。
それが協議会の気に障ったのだろうか。
ならば阿下喜駅に係員を配置してグッズ販売でもすれば良かろうと思うが、この日は無人のまま。
協議会の一員たる三岐鉄道は「我関せず」という感じだった。

それとも、考える会の行動が協議会の思惑を越えてしまいコントロールできなくなった結果、今回の措置に至ったのだろうか。
考える会の方も「下工弁慶号」の走行ありきで協議会と実務面を協議せずに突っ走ってしまったのだろうか。
部外者には想像することしかできないが、その結果引き起こされた状況は好ましいとは言えない。

いずれにしても、両者の対立は昨日「下工弁慶号」を見に来た人には関係がない話だ。
果たして来月の第一日曜日、「下工弁慶号」は走るのだろうか。
阿下喜駅が小さな蒸気機関車目当ての人で賑わう時は来るのだろうか。

話を展示運転に戻す。
実際に展示運転を眺めていると、地域の将来を担う子どもたちが一番喜んでいたように感じる。
そうした人たちに鉄道に親しんでもらうことが「活性化」の第一歩だと思う。
協議会も考える会も、初期の時点に立ち返った議論を望みたい。

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1 コメント

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訪問 (後藤定明)
2006-06-08 19:49:52
はじめまして。

会員の後藤です。

4日は、行けませんでしたが、1月頃から整備などで

一宮から、通っています。

対立というか、”儲かる”区間だけ残したい会社・行政と

軽便鉄道”全体”を、残したい会の意見の行き違いが、”弁慶号”の走行に”飛び火”したのでは、ないでしょうか?

毎回、ビデオで撮影したりして、記録など残しています。

国鉄OBの方は、岐阜の幼稚園などで”ライブスチーム”を、走らせるおじいさんとして、新聞に紹介されたそうです。

ちなみに、子供さんには"381電車"も人気です。

それでは、また。
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