Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「キマロキ-冬の鉄路を守った男たちの物語ー」等を読んで

2005-10-15 22:20:18 | 読書録(鉄道)
このブログを立ち上げた時、こんな事を考えていた。
「書店で見かける鉄道本以外にも、面白い鉄道本は沢山ある。そういった本を紹介できるといいなぁ」と。
という訳で初心に立ち帰ってみたい。

今回紹介する、北海道名寄市北国博物館が出している本(というか、小冊子)は、書店では絶対に出てこない、しかし「面白い」本の典型と言える。
本書の内容について触れる前に「キマロキ」とは何を指しているのか。
そこから説明が必要だろう。

「キマロキ」とは機関車の「キ」、マックレー車の「マ」、ロータリー車の「ロ」、機関車の「キ」という排雪列車の編成を意味し、ラッセル車だけでは除雪困難な時に出動していた。
更に、「マックレー車」とは聞き慣れない人が多いと思うので、補足して説明すると、雪の壁を崩してかき集める車である。
このマックレー車が集めた雪をロータリー車が遠くに吹き飛ばして一連の作業を進めていく。

雪国特有の列車であった「キマロキ列車」も、現在保存されているのは北海道名寄市の一編成のみ。

前置きが長くなってしまったが、本書はその「キマロキ列車」に関わった乗務員をはじめとする様々な人達の回想文集である。
本書で目を惹くのは、今や死語と化して久しい「キマロキ」の乗務記録。
元乗務員の文章を通して生々しく伝わってくる。
この他にも「キマロキ」の乗務記録に限らず、戦中から戦後の劣悪な状況下での乗務記も掲載されており、蒸気機関車の乗務記としても十分読める。

巻末には「キマロキ保存に関する年表」も収録され、保存に至った経緯、そして現状がわかるようになっているのは有り難い。

と言うわけで、本書を興味深く読むことができた。
しかし、残念ながら本書には「キマロキ」の写真は収録されていない。
この点については、同じく北海道名寄市北国博物館が出しているパンフレット「キマロキ SLキマロキ編成排雪列車」を合わせて参照すると、その欠点は解消される。
ビジュアル的な説明はこちらの方でまとめてあるので、そういった情報がお望みの人はこちらを買った方が良いだろう。

この二冊は現役時代のSL、まして雪国の排雪列車と無縁だった自分にとっては大変面白い読み物だった。

<データ>
「キマロキ-冬の鉄路を守った男たちの物語ー」名寄市北国博物館 編集協力 名寄SL排雪列車(キマロキ)保存会
「キマロキ SLキマロキ編成排雪列車」 名寄SL排雪列車(キマロキ)保存会

※価格及び購入方法
いずれも一冊500円(送料込)。
通販を希望する方は、価格分の郵便小為替及び購入部数等を記載した紙を同封の上、下の住所へ郵送する。
〒096-0063
名寄市緑丘222番地 北海道名寄市北国博物館

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