Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「ダルマ駅へ行こう!」を読んで

2007-06-17 06:23:47 | 読書録(鉄道)
「ダルマ駅」。
鉄道に詳しくない方なら「?」と思われるので、説明が必要だろう。
国鉄時代末期、大量に不要となった貨車。
この貨車の処分に手を焼いた国鉄当局は、主に倉庫用として足回りを取り外した貨車の車体を売りに出した。
その中には国鉄内部で再利用された車もあり、主に車掌車がこれまた足回りを取り外して「駅舎」に転じた。
これが「ダルマ駅」である。

本書は日本全国に点在する、こうした「ダルマ駅」の訪問記だ。
それにしても、分割民営化前後に大量に登場したと思っていたダルマ駅が20年を経てもなお、これだけ残っていたのかと驚いた次第。
一応、駅に降りた時は駅舎をチェックすることにしているが、案外ダルマ駅と遭遇することはなかったと記憶している。
北海道で見かけたくらいだろうか。

本書では北海道から九州までの「ダルマ駅」訪問記を綴っているが、読んでみて東日本に多いのだなと改めて知ることができる。
そして、自分も旅した区間にも結構存在することも知った。

20年を経て役目を終えた「ダルマ駅」は新築の駅舎に建て替えられ役目を終えつつある。
分割民営化の苦肉の策として登場した不用車両を活用した駅舎。
その現状を知るにはうってつけの一冊だと思う。
文庫ということもあるし、手軽に手に取れるのも好印象だった。

それにしても、最終章には恐れ入った。
著者自らが不用となった「ダルマ車掌車」を購入して、「ダルマ別荘」を作ってしまうとは。
その後の顛末も含めて続編が出ることを期待したい。

<データ>
「ダルマ駅へ行こう!」
著者 笹田昌宏
小学館文庫

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