Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

福井鉄道存続問題・上下分離方式導入へ。

2008-02-22 07:32:03 | 鉄道(地方・専用線など)
経営困難に陥りながらも存続方針だけが決まっている福井鉄道福武線。
福井鉄道の親会社である名古屋鉄道が経営から撤退する姿勢を明確にしている中、福井県と沿線自治体がどう動くか気になっていた。

そんな思いを抱きつつ、21日に開催された福井鉄道存続問題に関する官民協議会の記事を見る。

「線路用地12億で取得 福武線存続問題で県と沿線3市」(福井新聞、2/21)

要旨を整理してみる。
・福井県と福井、鯖江、越前の沿線3市は線路用地を約12億円で取得し、福井鉄道に無償貸与する上下分離方式の支援スキームで再生を図る方針を確認した。
・線路用地取得額の考え方はえちぜん鉄道発足時と同じ考え方を適用し、固定資産評価額17億円の約70%とした。
・また、線路取得とは別に、今後将来10年間の支援枠組みとして、県が設備投資の約21億円を負担、運行に伴う欠損補てんを含む維持修繕費約12億円を3市が担う案でまとまった。
・県負担の内訳は、橋りょう補修、4つの新駅設置、車両更新などの設備投資を約31億円と想定。このうち約10億円は国庫補助が見込めるとし、残り21億円を県が負担する。
・3市の負担は運行に関する欠損補てん、線路や電線などの維持修繕費。これらに要する経費は約12億円と試算。えちぜん鉄道の県と市の負担割合を参考に、3市が持つことが適当とした。用地取得費と維持修繕費に関する3市の負担割合は今後調整する。
・約28億円に及ぶ福井鉄道の借入金に関しては、3市と県からの用地収入約12億円、名鉄の増資約10億円を元手に約6億円まで圧縮。残りはメーンバンクの福井銀行などから金利減免、返済猶予などの協力を得て、時間を掛けて健全な財務体質に戻していくとした。

前回の記事を書いたとき、福井鉄道の借入金を圧縮するためには沿線自治体と福井県が線路用地を取得して債務を圧縮すると共に租税公課の免除を狙うのではないかと思っていたが、その方向で議論は進められていた。
そのことに少し安堵する。

しかし、まだ安心は出来ない。
親会社の名古屋鉄道が撤退を表明した後、それに代わる筆頭株主、経営主体、新体制への移行時期は未定であることに変わりはない。
その辺りをどう詰めるのか注目してみたい。
ここで行政サイドが筆頭株主という事態になれば、事実上の第三セクター鉄道が誕生する。
先の記事を見る限り、そこまで行政はコミットする考えはないようだが、赤字の鉄道会社の筆頭株主になるような民間事業者がいるとも思えない。
福井鉄道を存続させる以上、行政の関与はより一層大きくなると見ている。

今回の合意事項を見ていると今後10年間の福井鉄道の姿が見えてくる。
例えば新駅の増設。
場所までは特定できないが、駅間距離を縮めて乗客増に努めようという姿勢が浮き彫りになる。
そして、車両更新。
ご存じのとおり、福井鉄道の車両は在来形の鉄道車両と元名鉄のLRVが混在する顔ぶれとなっている。
前者の更新は課題として挙げられており、恐らく更新時に超低床LRVを投入してLRTへの道を目指すことになるのだろう。

・・・とまぁ、福井県と沿線自治体が描く枠組みが上手く機能すれば実に理想的なローカル私鉄再生モデルになるのではないかと思った。
果たしてどうなるか、今後を見守りたいと考えている。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
えちぜん鉄道 (ZENTAMA)
2008-02-22 10:37:27
上下分離となれば、えちぜん鉄道と一体経営しかないと思います。
合併で管理コストを下げられますし。
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