森岡 周のブログ

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一次運動野における多重再現

2011年06月17日 08時24分19秒 | 脳講座

Strickは古くからM1の研究をしていますが,
最初に脚光を浴びたのが一次運動野の多重再現に関する研究です.
Strick PL, Preston JB: Multiple representation in the primate motor cortex. Brain Res 1978
Prestonと共著です.



彼は一次運動野への感覚入力,運動出力の際のニューロン活動を研究しましたが,
その際,1)固有感覚入力と2)皮膚感覚入力が多重に再現させることを発見しました.
運動出力では1)前腕回外・手指屈曲,そして2)手関節伸展・手指伸展です.

両者との前者がrostoral,つまり運動野の前方,
後者がcaudal,つまり後方に再現があるとして,運動野のニューロンは多重に再現されることを報告しました.

つまり,rostralが4a,
caudalが4pになります.
片麻痺の上肢機能障害を考えると4aが再現する感覚,動きは脊髄介在細胞を介してのものであり,
一方,4pが再現する感覚,動きは直接に脊髄運動細胞を興奮させてます.
4aがflexor,4pがextensorであれば,
片麻痺の指が屈筋優位であることも仮説だてられます.

一方,感覚でいえば,皮膚感覚障害が4pの問題で起こり,
逆にその回復が4pの興奮性を示しているのかもしれません.
そこに介入可能性が開けるともいえます.

下図はそれをまとめてしめしたものです.
この図の章は内藤栄一さんが書いています.



久保田競(編):脳から見たリハビリ治療.講談社ブルーバックス