森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:みえないものを,みようとする勇気

2011年06月14日 08時42分17秒 | 日記
土曜日は岡山で講義を終え,
岡山でいつもお世話になっているマッサージを受け,
新幹線に乗り,そのまま一路,佐賀へ.
博多まではグリーン車でいき,
少しでも身体を休めればという気持ちになります.
博多から新鳥栖まではじめて九州新幹線にのりました.
さくらは木がふんだんに使われ,
日本を意識した車両になっています.
きれいで,日よけもすだれでした.
乗車する人が少ないのが気になりました.
けど,熊本まで40分ちょっとは早い.
大阪~岡山の感じですね.

新鳥栖につき,鳥栖と言えば,
かしわうどんを食べ,
いったん,休息し,
大堀先生にお迎えいただき,
18時より21時まで緑生館で講演を土曜日はしました,

内容は講演でははじめての,
ニューロン,グリア,シナプス,ミエリンの構造と機能や,
脳の進化,発生,発達,可塑性の原理について話し,
全般的な脳の構造と機能についてまず話し,
その後,情動,記憶にとって大事な,
扁桃体,海馬,前帯状回の機能について
情動から高次な感情までを含め,
人間の持つ感情の奥深さについて話しました.

情動を知るということは,
コミュニケーション,特に非言語的コミュニケーションには大切です.
言葉と表情・しぐさに矛盾がある場合は,
言葉を信じません.
それよりも,矛盾が続くと対象者を不快にさせ,
それにより信頼がなくなることも伝えました.
矛盾はneglectをつくることになるのです.
これは,学習性無力感や麻痺,痛み
そして身体失認のメカニズムにとても似ています.
脳は矛盾を嫌うのです.

情動には情動で関わり,
言葉では言葉で,
表情では表情で,
手を握るには手を握り返し,
つまり,unimodalな関係性がとても大事です.
対象者が表情で訴えかけているのに,
聴く側が表情が無表情に,言葉を羅列すると
コミュニケーションは成立しません.
視覚には視覚を,なのです.
視覚に聴覚ではありません.
そういう皮質活動以前に皮質下の処理が早いので,
コミュニケーションは,
まずはそちらでもって成立してしまうのです.

彼女が,体性感覚でいかってきたら,
ぎゅっと抱きしめ,体性感覚で対応してください.

子どもが言葉でコミュニケーションしてきたなら,
言葉でほめてやってください.

21時に終え,
21時半より懇親会をして,
久しぶりに熱くかたってしまい,反省です,
なんか,久しぶりに懇親会で元気だった気がする.
臨床でなく,研究の話ができたからかな.
自分は研究者なので,
研究のアナロジーにはある意味本能的に反応してしまう.
見てもない症例のことを質問されると,
やはり,適当なことを言ってないか,
と常に不安になる.
しかし,データの採取とかになると,
今も研究をしているので,
そのあたりは,かなりの議論になることができる.
そんな感じで,佐賀医大の大学院生の研究について語ることができました.


翌日は10時より,
基底核,小脳,頭頂葉,前頭葉の構造と機能について話しました.
基底核ー皮質ループ,
大脳小脳連関,などが主な話で,
運動の制御メカニズムの基本がわかっていれば,
何を教えるべきかを神経科学的に推論をたてることができます.

計7時間の講演は,
喉をやる,きっかけになりましたが,
まあまあ,心地よい2日間でした.
これも情動の問題なのかもしれません.

帰り,大雨で九州新幹線が不通でしたが,
在来線でなんとか,
博多までいくことができ,
博多からはそれほどしんどくなく大阪までかえってくることができました.
帰りに,有明のりをいただき,感謝です.
はじめて,基礎中の基礎を話しましたが,
臨床家にとって意味ある内容だったかは不安ですが,
比喩を存分に使ったので,なんとなくわかったとは思います.
それが使えるかは,まだまだなのです.
脳の科学はそういうものなのです.