日銀の年内追加利上げに賭け、バンガードなどJGBショート積み増し
Naomi Tajitsu、Ruth Carson
2024年8月19日 11:41 JST
更新日時 2024年8月19日 13:58 JST
M&Gは円オーバーウエート、バンガードは日本国債ショート倍賭け
オーバーナイトスワップ市場は年内利上げの約34%の確率を織り込む
最近のリスク投資巻き戻しを受け、日本銀行の追加引き締めの可能性を巡り市場の織り込みは急速に後退したが、少数の著名投資会社は、日銀が数カ月以内に追加利上げに動く方向に引き続き賭けている。
世界2位の資産運用会社である米バンガード・グループは、日銀が12月までに50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の追加利上げを決定することがあり得ると想定し、日本国債のショートポジションを倍賭けした。
M&Gインベストメント・マネジメントは追加利上げ見通しを背景に円の「オーバーウエート」を維持する一方、日本国債のショートポジションを引き続き積み増した。RBCブルーベイ・アセット・マネジメントも日本の10年国債の弱気ポジションを保っている。
日銀が政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を「0.25%程度」から年内に引き上げる可能性について、オーバーナイトスワップ市場が織り込む確率は約34%と、月初の約63%から低下しており、これら投資会社のポジション設定は、市場の見方と相反する。
日銀の植田和男総裁は、7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていくことになる」と発言。米経済指標の弱さが引き金となり、円資金のキャリートレードを含め、リスク投資の巻き戻しが加速した。
日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続
その後日銀の内田真一副総裁が今月7日、内外の「金融資本市場が不安定な状況」に言及し、「当面、 金融緩和をしっかりと続ける必要がある」と述べたことで、多くの投資家はハト派的シグナルが発せられたと受け止めた。
市場不安定な状況で利上げしない、当面現行緩和を継続-内田日銀副総裁
利上げ観測の急反転は、今月に入り10年国債利回りの低下を招いた。ブルーベイの最高投資責任者(CIO)を務め、長年の日本国債弱気派として知られるマーク・ダウディング氏はそれでも、日銀が再び利上げに踏み切るとの予測に基づき、10年国債の弱気ポジションを増やそうとしている。
Pullback in BOJ Hike Pricing and Lower JGB Yields
ダウディング氏は「データとニュースのフローは、われわれのテーマを支持しており、今のポジションを辛抱強く維持する必要を示唆する」と説明した。次の利上げが来年1月になると同氏はみている。
バンガード・アセット・マネジメントの国際金利責任者アレス・クトニー氏は「内田副総裁の発言を日銀が再度の利上げに動かないという意味に受け取った人もいるが、市場に安心感を与えたと私は受け止めた」という。
クトニー氏によれば、物価の横ばいないし下落状態との数十年にわたる闘いから日本が脱した後、賃金の上昇が国内景気を後押しし、年内最大2回の追加利上げのチャンスがあり得る。ただ、市場が不安定な時には利上げを見送る可能性を同氏は認めた。
M&Gのファンドマネジャー、エバ・サンワイ氏は「日銀は恐らく市場が望むよりタカ派的である公算が大きい。年内もう1回小幅な利上げがあっても驚かないだろう」と指摘した。
原題:Vanguard, BlueBay Bet There’s More Juice in BOJ Rate-Hike Trades(抜粋)
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