【米国市況】S&P500種が続伸、ハイテク上昇-ドルは139円台前半
Carly Wanna、Isabelle Lee
2023年6月10日 5:52 JST Bloomberg
個別銘柄ではテスラやネットフリックス、アドビが高い
米国債は短・中期債の利回り上昇-来週の国債入札を意識
9日の米株式相場は続伸。前日に続きハイテク銘柄が買われた。米利上げサイクルが終わりに近づいているとの見方が広がっている。S&P500種株価指数は前日に強気相場入りしていた。
株式 終値 前営業日比 変化率
S&P500種株価指数 4298.86 4.93 0.11%
ダウ工業株30種平均 33876.78 43.17 0.13%
ナスダック総合指数 13259.14 20.62 0.16%
この日はハイテクのほか大型株が上げをけん引。個別銘柄ではテスラが4.1%高。米ゼネラル・モーターズ(GM)は前日、自社の電気自動車(EV)をテスラの急速充電器「スーパーチャージャー」ネットワークに適応させると発表した。ネットフリックスは2.6%上昇。アカウント共有への厳しい措置を開始後、米国での新規加入者が大きく増加したことが明らかになった。また人工知能(AI)関連株に注目が集まる中、アドビも大きく買われた。
テスラ売上高に30億ドルの押し上げ効果、EV充電規格「標準化」で
ネットフリックス、パスワード共有への対応で新規加入者増加-調査
S&P500種はハイテク銘柄が寄与する形で上昇基調を続け、昨年10月に付けた安値からの上昇率が20%を超えている。直近安値からの上昇率が20%に達すると、強気相場入りと見なされる。ただアナリストらは、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)の政策決定を控えて、相場の上昇が失速しかねないと警戒している。
シティグループの米株トレーディング戦略責任者スチュアート・カイザー氏は、ブルームバーグテレビジョンで「ハイテク偏重のトレーディングにやや違和感を覚えている」と発言。「市場では成長が不足しており、市場はその成長不足に対するプレミアムの支払いに前向きになっている」と分析しつつ、だが投資家にとって重要な議論は、どのようにしたら相場の上昇を「より長く持続的なものにさせられるか」ということだと述べた。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州担当最高投資責任者(CIO)ソリタ・マルチェリ氏も、最近の株式相場の上振れが勢いを増すと想定することに慎重な姿勢を示した。
同氏は「この節目を超えたことで強気相場の領域に入ったと多くの投資家は考えているが、これがベアマーケットラリー(弱気相場における一時的な反発局面)である可能性は残されている」と指摘。「相場が新たに最高値を付けるまで、弱気相場における底値が過ぎ去ったかどうかは分からない」と語った。
米国債
米国債市場では短・中期債の利回りが上昇した。来週12日に3年債と10年債の入札が予定されており、市場で意識されたもようだ。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率
米30年債利回り 3.88% -0.8 -0.21%
米10年債利回り 3.74% 2.3 0.63%
米2年債利回り 4.60% 8.1 1.79%
米東部時間 16時48分
外為
外国為替市場ではドル指数が週間ベースで2週続落。投資家はFOMCが来週利上げするとの見方を後退させている。9日の市場ではユーロが軟調。一方でノルウェー・クローネはアウトパフォームした。ノルウェーではインフレ加速が統計で示され、追加金融引き締めの論拠が強まった。
為替 直近値 前営業日比 変化率
ブルームバーグ・ドル指数 1234.24 0.74 0.06%
ドル/円 ¥139.41 ¥0.49 0.35%
ユーロ/ドル $1.0748 -$0.34 -0.32%
米東部時間 16時48分
円は対ドルで下落。欧州時間には一時1ドル=139円73銭を付けた。
日本銀行は15、16日に開く金融政策決定会合で、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)を軸とした現行の金融緩和政策の継続を決める公算が大きい。複数の関係者への取材で分かった。
日銀は6月会合で大規模緩和維持の公算大、物価は上振れ-関係者 (1)
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏はリポートで、「植田和男総裁率いる日銀は、16日の政策決定を控え非常にハト派寄りの見解を示している」と指摘。「複数の報道からは、イールドカーブコントロール(YCC)の微調整はないことが示唆される。日銀が予想外の行動を考えていない限り、140円を下回る水準でのドル買いが推奨されよう」と記した。
原油
ニューヨーク原油先物相場は続落。WTI先物は1バレル=70ドルに近い水準まで下げた。週間ベースでは約2%の下落。サウジアラビアが単独での追加減産を発表したものの、市場では需要懸念がより強く意識されている。
ただ、ゴールドマン・サックス・グループの商品リサーチ世界責任者、ジェフリー・カリー氏は、今回の石油輸出国機構(OPEC)の減産で石油在庫が減少し、原油価格は90ドル台前半に上昇するとの見通しを示した。
OPEC減産で原油は年内90ドル台に上昇も-ゴールドマンのカリー氏
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前日比1.12ドル(1.6%)安の1バレル=70.17ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント8月限は1.17ドル(1.5%)安の74.79ドルで引けた。
米エネルギー省はこの日、戦略石油備蓄(SPR)として、新たに原油300万バレルを購入する計画を明らかにした。
米政府、戦略石油備蓄向けに300万バレル買い入れへ
WTI先物は今週、不安定な値動きとなった
金
ニューヨーク金相場は反落した。金スポット価格は、ニューヨーク時間午後2時40分現在、0.18%安の1オンス=1961.77ドル。前日は1カ月ぶりの大幅高となっていた。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は、前日比1.40ドル(0.07%)下げて1977.20ドルで引けた。
原題:S&P 500 Clings to Bull Market as Tech Trims Gain: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Mixed, Curve Flattens Sharply With Supply, FOMC Ahead
Dollar Set for Second Week of Losses; NOK Gains: Inside G-10
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