米雇用者数は予想上回る、賃金鈍化-強弱まちまちで利上げ休止か
Augusta Saraiva
2023年6月2日 21:37 JST 更新日時 2023年6月3日 0:38 JST Bloomberg
5月の非農業部門雇用者数は33.9万人増、市場予想19.5万人増
失業率3.7%、前月からの上昇幅は2020年4月以来の大きさ
5月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが加速する一方で失業者数も急増。平均時給は鈍化した。強弱入り交じる内容で、米金融当局が利上げを休止する根拠が増えた格好だ。
キーポイント
非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比33万9000人増
エコノミスト予想の中央値は19万5000人増
前月は29万4000人増(速報値25万3000人増)に上方修正
家計調査に基づく失業率は3.7%に上昇
市場予想は3.5%
前月3.4%
平均時給は前月比0.3%増-前月0.4%増
市場予想は0.3%増
5月は広範囲の業種で雇用が増加。特に専門職・ビジネスサービスや政府部門、ヘルスケアでの伸びが目立った。
失業率は前月からの上昇幅が2020年4月以来の大きさとなった。金融当局者はこの上昇にも注目するとみられる。失業者数は5月に前月比44万人増加。新型コロナウイルス禍が始まった直後に記録的に急増した時期があったが、それに次ぐ大きさだった。
A Mixed US Jobs Report | Payrolls growth exceeds forecasts but jobless rate hits seven-month high
上段:非農業部門雇用者数、下段:失業率
出所:米労働統計局
5月雇用統計が強弱まちまちの内容となったことで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が示唆する利上げ休止姿勢が正当化される可能性がある。他の当局者からも、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では政策金利を据え置き、7月に引き締めを再開する余地を残す考えを支持する見解が聞かれる。
2つの調査
雇用統計は2つの調査で構成されている。一つは失業率などを算出する家計調査で、もう一方は雇用者数や賃金などをカバーする事業所調査。
家計調査の詳細を見ると、労働市場に加わる人が職探しに苦労していることや、以前雇用されていた人が失業するケースが増えていることが分かる。
一方、事業所調査では堅調さが示された。雇用者数は1年2カ月連続で市場予想を上回り、労働力人口の大半を占める非管理職の賃金は0.5%増と、6カ月ぶりの大きな伸びとなった。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏らは「5月雇用者数の驚くほど力強い伸びは、ブルームバーグが実施したエコノミスト調査の最高値をも上回り、労働市場の読み取りが困難であることを浮き彫りにした。われわれの見解では、労働市場はヘッドラインの数字が示唆するより弱い。家計調査で示された就業者数は5月に実際のところ減少した」と指摘した。
平均時給は前年同月比では4.3%増。今年3月と並び、2021年半ば以来の低い伸びにとどまった。市場予想は4.4%増。4月は4.4%増だった。
労働参加率は62.6%で変わらず。25-54歳の労働参加率は上昇し、07年以来の高水準。上昇分を女性が占めた。
需要に関して気掛かりな兆候も見られた。週平均労働時間が34.3時間に若干減少し、20年4月以来の低水準となった。景気が弱まり始めると、雇用主は人員を削減するよりまず労働時間を減らす傾向がある。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Labor Market Sends Mixed Signals, Giving Fed Reason to Pause(抜粋)、US May Nonfarm Payrolls Rose 339k; Unemp. Rate at 3.7%(抜粋)
(統計の詳細を追加して更新します)