感染急拡大地域との往来自粛など強い対策求める提言 分科会
2020年11月26日 0時32分
新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は、必要な感染対策が取られない場合は、感染が急速に拡大している地域との間で往来を自粛するなど、3週間程度の短期間に集中してさらに強い対策を政府に求める提言を出しました。
25日に示された提言では、各地で医療体制などへの負担がさらに深刻化していて、このままの状態が続けば通常助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねないとして危機感を示しています。
そして、今すぐに解決すべき課題として「Go Toトラベル」などの運用の見直しに注目が集まり、感染が急速に拡大している地域で最も重要な営業時間の短縮などの強い対策について、国や自治体、一般の人たちの間に十分伝わっていないことを挙げています。
さらに、
▽北海道や首都圏、関西圏、中部圏の一部の地域では、感染拡大のスピードが急激で医療体制が厳しい状況になっていることや、
▽強い対策が必要な「ステージ3」相当になっているのに、必要な対策が取られていない地域があることも挙げて、
都道府県と政府は連携して具体的な取り組みを迅速に進めることが求められるとしています。
提言では、こうした認識を示したうえで「ステージ3」にあたる地域では3週間程度の短期間に集中して対策を行うよう求めています。
そして、具体的な対策として、
▽酒を提供する飲食店に対する営業時間の短縮要請を早急に検討することや
▽必要な感染防止策が取られない場合には、感染が急速に拡大している地域との間では往来をなるべく控えるよう求めています。
また、医療体制にさらに負担がかかるのを防ぐためにステージ3にあたる地域では、
▽高齢者施設の入所者などを対象に特に優先して検査を実施し、重症者の発生を重点的に予防することや、
▽軽症者を受け入れる宿泊施設の準備を確実に行うとともに、高齢者であっても比較的症状が軽い人は宿泊療養などをお願いすることを求めています。
さらに、
▽特に医療体制が厳しい状況にある地域では、政府は患者の搬送や医療従事者の派遣など、全国的な支援を行うことを求めています。
分科会は、3週間の対策の効果を評価し不十分な場合はさらなる対策を行う必要があるとしています。
西村経済再生相「医療のひっ迫 何としても回避を」
分科会の会合の冒頭、西村経済再生担当大臣は「新規陽性者の増加傾向が強まり、最大限の警戒感をもって対応している。特に感染者の数が増加している地域では、医療のひっ迫が懸念されており、国民の命を守るため、何としても回避しなければならない」と述べました。
そのうえで、当面、来年2月末まで継続するとしている、イベントの開催制限について、地域の感染状況に応じて、都道府県知事の判断で、より厳しい制限を課すことも可能だと、改めて都道府県に通知する考えを示しました。
一方、田村大臣は「『通常の医療を提供しづらくなっている』という、悲鳴のような声も聞いている。医療が崩壊すれば、国民の命を守れないし、大変な局面に入りつつあるので、より緊張感をもって取り組みたい。国民には、ぜひ、マスクの着用をはじめとする予防策を徹底してほしい」と述べました。
新型コロナウイルスの感染状況をめぐって、厚生労働省に助言する専門家の会合は24日、各地で入院者数や重症者数の増加が続いているとして、「このままの状況が続けば、通常では助けられる命が助けられなくなる」と強い危機感を示しました。
分科会では、こうした状況を踏まえ、さらなる対策の強化について意見が交わされました。
尾身会長「ステージ4は絶対に避ける必要がある」
分科会の尾身茂会長は会合のあとの記者会見で、感染が急速に拡大している具体的な地域について、ステージ3にあたると判断するのは都道府県だとしたうえで「分科会の共通の考えとして札幌市がまず当てはまる。さらにここにきて東京23区を中心とした地域や大阪市、名古屋市などもあたると考えている」と述べました。
そして、強い対策を求める提言を出したことについて「これ以上の強い対策は多くの人にとって負担になることは十分理解しているが、このまま放っておくと医療の体制などが大変なことになるというのが現実だ。もう一度ここで、私たちが提言している対策を実行してもらえば感染を下火にすることは可能だと思う。感染が爆発的に拡大し、緊急事態宣言のような対策が必要な『ステージ4』に至るのを絶対に避ける必要がある」と述べました。
また、「Go Toトラベル」の運用の見直しで政府が感染が拡大している地域を出発地とする旅行を除外していないことについて、今回、分科会が出した提言では出発地も除外の対象とするよう求めました。
これについて尾身会長は「専門家は感染拡大防止のために有効な方法を提言するのが仕事であり、専門家として言えるのは感染対策をとるうえで感染が拡大している地域に『入る動き』も『出る動き』も一緒に抑えるのが最も有効だということだ。提言を受けてどういう対策をとるかを判断するのは政府の役割だと考えている」と述べました。
西村経済再生相「この3週間が勝負」
西村経済再生担当大臣は「分科会全体として、非常に強い危機感が共有された。この3週間が勝負で、感染拡大を抑えられるかどうかの大事な3週間だ」と述べるとともに、感染が拡大している地域の都道府県と連携し飲食店に対する営業時間短縮の要請などについて調整する考えを示しました。
そのうえで「『ステージ4』の緊急事態宣言が視野に入るような局面にならないよう今の段階で抑えていくには、感染リスクの低い活動であっても一定の制約がかかってくるということだ」と述べました。
日本医療法人協会 太田副会長「感染拡大 止める対応を」
日本医療法人協会の太田圭洋副会長は記者団に対し「医療提供体制を確保、拡充してきたが、現場の感覚では一部の地域の医療は追い込まれている状況だと率直に伝えた。経済に大きな影響が出ることは容易に分かるが、今の段階では感染の拡大を止めるための対応をしてほしいと考え提言に賛成した」と述べました。
日本医師会 釜萢常任理事「感染拡大地域からの移動 ブロックを」
日本医師会の釜萢敏常任理事は記者団に対し「『ステージ3』の状況にあっても、都道府県知事が認めたくないところがある。その結果、誰が主体的に決断するかがあいまいになっているが、決断の時期が遅くなってはいけない」と述べました。
また「Go Toトラベル」をめぐり、政府が感染が拡大している地域を出発地とする旅行を除外していないことについて「分科会のメンバーの認識は政府と違う。感染拡大地域からの移動もちゃんとブロックしないといけない」と述べました。
2020年11月26日 0時32分
新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は、必要な感染対策が取られない場合は、感染が急速に拡大している地域との間で往来を自粛するなど、3週間程度の短期間に集中してさらに強い対策を政府に求める提言を出しました。
25日に示された提言では、各地で医療体制などへの負担がさらに深刻化していて、このままの状態が続けば通常助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねないとして危機感を示しています。
そして、今すぐに解決すべき課題として「Go Toトラベル」などの運用の見直しに注目が集まり、感染が急速に拡大している地域で最も重要な営業時間の短縮などの強い対策について、国や自治体、一般の人たちの間に十分伝わっていないことを挙げています。
さらに、
▽北海道や首都圏、関西圏、中部圏の一部の地域では、感染拡大のスピードが急激で医療体制が厳しい状況になっていることや、
▽強い対策が必要な「ステージ3」相当になっているのに、必要な対策が取られていない地域があることも挙げて、
都道府県と政府は連携して具体的な取り組みを迅速に進めることが求められるとしています。
提言では、こうした認識を示したうえで「ステージ3」にあたる地域では3週間程度の短期間に集中して対策を行うよう求めています。
そして、具体的な対策として、
▽酒を提供する飲食店に対する営業時間の短縮要請を早急に検討することや
▽必要な感染防止策が取られない場合には、感染が急速に拡大している地域との間では往来をなるべく控えるよう求めています。
また、医療体制にさらに負担がかかるのを防ぐためにステージ3にあたる地域では、
▽高齢者施設の入所者などを対象に特に優先して検査を実施し、重症者の発生を重点的に予防することや、
▽軽症者を受け入れる宿泊施設の準備を確実に行うとともに、高齢者であっても比較的症状が軽い人は宿泊療養などをお願いすることを求めています。
さらに、
▽特に医療体制が厳しい状況にある地域では、政府は患者の搬送や医療従事者の派遣など、全国的な支援を行うことを求めています。
分科会は、3週間の対策の効果を評価し不十分な場合はさらなる対策を行う必要があるとしています。
西村経済再生相「医療のひっ迫 何としても回避を」
分科会の会合の冒頭、西村経済再生担当大臣は「新規陽性者の増加傾向が強まり、最大限の警戒感をもって対応している。特に感染者の数が増加している地域では、医療のひっ迫が懸念されており、国民の命を守るため、何としても回避しなければならない」と述べました。
そのうえで、当面、来年2月末まで継続するとしている、イベントの開催制限について、地域の感染状況に応じて、都道府県知事の判断で、より厳しい制限を課すことも可能だと、改めて都道府県に通知する考えを示しました。
一方、田村大臣は「『通常の医療を提供しづらくなっている』という、悲鳴のような声も聞いている。医療が崩壊すれば、国民の命を守れないし、大変な局面に入りつつあるので、より緊張感をもって取り組みたい。国民には、ぜひ、マスクの着用をはじめとする予防策を徹底してほしい」と述べました。
新型コロナウイルスの感染状況をめぐって、厚生労働省に助言する専門家の会合は24日、各地で入院者数や重症者数の増加が続いているとして、「このままの状況が続けば、通常では助けられる命が助けられなくなる」と強い危機感を示しました。
分科会では、こうした状況を踏まえ、さらなる対策の強化について意見が交わされました。
尾身会長「ステージ4は絶対に避ける必要がある」
分科会の尾身茂会長は会合のあとの記者会見で、感染が急速に拡大している具体的な地域について、ステージ3にあたると判断するのは都道府県だとしたうえで「分科会の共通の考えとして札幌市がまず当てはまる。さらにここにきて東京23区を中心とした地域や大阪市、名古屋市などもあたると考えている」と述べました。
そして、強い対策を求める提言を出したことについて「これ以上の強い対策は多くの人にとって負担になることは十分理解しているが、このまま放っておくと医療の体制などが大変なことになるというのが現実だ。もう一度ここで、私たちが提言している対策を実行してもらえば感染を下火にすることは可能だと思う。感染が爆発的に拡大し、緊急事態宣言のような対策が必要な『ステージ4』に至るのを絶対に避ける必要がある」と述べました。
また、「Go Toトラベル」の運用の見直しで政府が感染が拡大している地域を出発地とする旅行を除外していないことについて、今回、分科会が出した提言では出発地も除外の対象とするよう求めました。
これについて尾身会長は「専門家は感染拡大防止のために有効な方法を提言するのが仕事であり、専門家として言えるのは感染対策をとるうえで感染が拡大している地域に『入る動き』も『出る動き』も一緒に抑えるのが最も有効だということだ。提言を受けてどういう対策をとるかを判断するのは政府の役割だと考えている」と述べました。
西村経済再生相「この3週間が勝負」
西村経済再生担当大臣は「分科会全体として、非常に強い危機感が共有された。この3週間が勝負で、感染拡大を抑えられるかどうかの大事な3週間だ」と述べるとともに、感染が拡大している地域の都道府県と連携し飲食店に対する営業時間短縮の要請などについて調整する考えを示しました。
そのうえで「『ステージ4』の緊急事態宣言が視野に入るような局面にならないよう今の段階で抑えていくには、感染リスクの低い活動であっても一定の制約がかかってくるということだ」と述べました。
日本医療法人協会 太田副会長「感染拡大 止める対応を」
日本医療法人協会の太田圭洋副会長は記者団に対し「医療提供体制を確保、拡充してきたが、現場の感覚では一部の地域の医療は追い込まれている状況だと率直に伝えた。経済に大きな影響が出ることは容易に分かるが、今の段階では感染の拡大を止めるための対応をしてほしいと考え提言に賛成した」と述べました。
日本医師会 釜萢常任理事「感染拡大地域からの移動 ブロックを」
日本医師会の釜萢敏常任理事は記者団に対し「『ステージ3』の状況にあっても、都道府県知事が認めたくないところがある。その結果、誰が主体的に決断するかがあいまいになっているが、決断の時期が遅くなってはいけない」と述べました。
また「Go Toトラベル」をめぐり、政府が感染が拡大している地域を出発地とする旅行を除外していないことについて「分科会のメンバーの認識は政府と違う。感染拡大地域からの移動もちゃんとブロックしないといけない」と述べました。