つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

冬の星

2014-12-14 12:13:59 | ジャズ


  寒星、凍星、冬銀河、枯野星、霜夜の星、寒すばる・・・


  墨色の壁に輝く冬の星を人びとはそう呼んできた。


  ひとりになって天上風景を見上げるとき、明滅する星の脈動は人々をさえざえとした気持ちにさせてくれる。


  星は、崇高なるもの、ついに近づき得ぬものがいつも存在していることを、

 
  わたしたちに教えてくれる・・・



  今日聴いたジャズ・・・


  GUY BARKER・・・「WHAT LOVE IS」



  先日、モニカ・ボーフォースの「A CERTAIN SADNESS」にもゲスト参加していた、ヨーロッパを代表する、

  トランペッター、ガイ・バーカーのリーダー作。本邦初デビュー・作品。

  オーケストラをバックにスタンダードを繰り広げるジャズ・ウィズ・ストリング、アルバム。


  全12曲、1941年にドン・レイ(作詞)とジーン・デ・ポール(作曲)のコンビによって発表されたバラード、表題曲、

  ”YOU DON’T WHAT LOVE IS”(邦題:恋の味をご存じないのね)、、を初めとして、幅広い曲を選び、スローに展開する曲

  アップテンポに展開する曲、、一枚をとうしてストリングスも加わり飽きさせない趣向に仕上がっている。


  タイトルチューンの「WHAT LOVE IS」では、スティングが、しみじみとしたヴォーカルを聴かせる。


※ バーカーは1957年12月26日に西ロンドンのチスウィックで生まれた。12歳でトランペットを吹き始めた彼は、
  学校のブラス・バンドを経て、翌年NYJO(ナショナル・ユース・ジャズ・オーケストラ)に参加する。

  彼は、このオーケストラで21歳になるまで活動するが、1975年には王立音楽院に入学し、正式に音楽の勉強もする
  ようになった。その後も多彩なミュージシャンと共演、1994年、1996年には英国ジャズ・トランペッター賞を獲得している。

  さらに自己のグループの活動に力をいれる為、メンバーを一新。コアにストリングスと共演したのがポリグラムにおける
  3枚目の作品、すなわち本邦におけるデビュー作となった本作である。



1・THE PEACOCKS・・・2・CHANGE PARTNERS・・・3・YOU DON’T WHAT LOVE IS・・・4・MONA LISA
5・CRAZY SHE CALLS ME・・・6・CLOSE YOUR EYES・・・7・STAR-CROSSED LOVERS・・・8・I GOT IT BAD AND THAT
  AIN’T GOOD・・・9・MONK’S MOOD・・・10・オーネット・イン・ニューヨーク・メドレー:
1)ブロードウェイ・ブルース・・・2)ランブリン・・・3)ザ・トライブス・オブ・ニューヨーク・・・4)ラウンド・トリップ
11・過ぎし夏の思い出・・・12・ANGEL EYES・・・




    ガイ・バーカー(tp)
    ペリコ・サムビート(as 6、10)
    バーナード・サセッティ(p)
    デイヴ・ハートレイ(p 3)
    ジェォフ・ガスコイン(b)
    ジーン・カルデラッツオ(ds)
    コリン・タウンズ(arr、cond)
    スティング(vo 3)

    ロンドン・メトロポリタン・オーケストラ



    1997年11月28&29日、ロンドン、エンジェル・スタジオにて録音・・・




  



亜麻色

2014-12-12 11:07:16 | ジャズ


  枯れて、しなやかさを失ったカゼクサがぎこちなく風になびいている


  「晩秋初冬は私の最も好きな季節」だといった、種子田山頭火はよく枯れ草をうたった。


  やつぱり一人はさみしい枯草  / 枯れゆく草のうつくしさにすわる /


  亜麻色の世界には人を包み込む温かさがある・・・


  ヒマヤラゆきのした




  今日聴いたジャズ・・・


  TERJE GEWELT・・・「AZURE」





  本作は、クリスチャン・ジェイコブとのデュオやダグ・アルネセンとの「NORWEGIAN SONG」などで知られる、ノルウェーの

  名ベーシスト、テリエ・ゲウェルトのリーダー作。

  メンバーには、1959年、スウェーデン生まれ、ノルウェーで活躍するオーソドックスでテクニシャンのギタリスト、

  ステファン・ウィリアム・オルソン、、1937年 ノルウェー生まれ、作曲家でもある、アコーディオン奏者のアルフレッド・

  ヤンソン、、同じくノルウェー出身のヴォーカリスト、カーリン・クローグ、、ベース、ギター、アコーディオン、ヴォーカル

  で綴る、遠く離れたノルウェーの地に思いを馳せる、何ともしみじみとした美しい一枚。


  ベース、ギターは全曲に参加。アコーディオンは5曲(1、3、5、7、10)に参加、ヴォーカルは3曲(4、7、9)に参加、

  そして、2&8はベースとギターのデュオという編成になっている。

  本作についての記事は過去に書いた記憶があるけれど、明確には覚えていない。

  全10曲中、「LET YOUR FINGERS DO THE TALKING」、「CANTO MAL」の2曲は、やや軽快で明るい曲調ながら、

  冒頭の「LOOKING BACK」を初めとして、こんなに一枚をとうして美しくも儚さを感じる作品がどれだけあるだろうか。。。

  中でも、「ESTER’S WALTZ」を聴くと、つい涙腺が緩む。


  美しいから儚いのか・・・儚いから美しいのか・・ふ、と、そんなことが心の中をかすめた。。。


  テリエ・ゲウェルトのリーダー作で最も愛聴しているアルバム。


     補足:::


 ※ ベースとピアノのデュオといえば、キース・ジャレット&チャーリー・ヘイデンの”ジャスミン” ”ラスト・ダンス”を思い出す人

  が多いのではないかと思う。私自身も愛聴盤にしているけれど、クリスチャン・ジェイコブ(p)とテリエ・ゲウェルトとの

  ”幻の ”三部作といわれる「HOPE」、「INTERPLAY」、「DUALITY」を未聴の方は、ぜひ聴いて欲しい。


※ スウェーデンの代表的ギタリストに、まずウルフ・ワケニウスが挙げられる。それは間違いないと思うけれど、彼の影に隠れて、

  今ひとつ知名度が低いのか、知る人ぞ知るギタリストが数名いる。その中の一人が、本作で名演を聴かせている、

  ステファン・ウイリアム・オルソン。。。本盤では、スローテンポでしみじみとしたプレイを聴けるけれど、実は、パット・マルティーノ

  系、よく歌うフレーズと高速で弾いても粒立ちの良さが魅力だとも言われる。彼のリーダー作 「SMILE」には、テリエが参加している。


※ カーリン・クローグはどちらかと言えば苦手なシンガーだけど、本作で歌っている3曲はとても好感が持てた。

  そして、アコーディオン奏者の、アルフレッド・ヤンソンが参加していることで、アルバム全体がより魅力的な作品に

  仕上がっている。特筆すべき点として挙げておきたいと思う。



1・LOOKING BACK・・・2・VI SKAL IKKJE SOVA BORT SUMARNATTA・・・3・LET YOUR FINGERS DO THE TAKING
4・OLD FOLKS・・・5・ESTER’S WALTZ・・・6・END OF・・・7・WATCHING SHADOWS・・・8・DIALOGUE9・CANTO MAL
10・PEACE・・・




     TERJE GEWELT(b)
     STAFFAN WILLIAMS-OLSSON(g)
     ALFRED JANSON(accodion)
     

     special guest:

     KARIN KROG(vo)


    2010年1月 オスロにて録音・・・


雪くる前

2014-12-09 12:08:25 | ジャズ



        師走


  風の冷たい今ごろの季節になると北国生まれの室生犀星の詩 「雪くる前」を思い出す。



  ひとすじに逢いたさの迫りて / 酢のごとく烈しきもの / 胸ふかく走りすぐるときなり /


  雪くると呼ばはるこゑす / はやくも白くはなりし屋根の上




   今日聴いたジャズ・・・


   KATRINE MADSEN・・・「SUPERNATURAL LOVE」



   本作は、デンマークの人気ヴォーカリスト、カトリーヌ・マッドセンのリーダー作。


   全13曲、オリジナル3曲(2、3、13)、レノン&マッカートニーの曲2曲(1、6)、ほかは、リチャード・

   ロジャース、バート・バカラック、パット・メセニーの曲など、馴染み深いスタンダードで構成されている。

   また、名ギタリスト、ウルフ・ワケニウス、、デンマークのベテラン・ドラマー、ヨナス・ヨハンセンを初めとして

   ピアノ、ベース、トランペット、フリューゲルホーン、パーカッションなどが彼女の歌唱を更に盛り上げて

   よりよい作品に仕上がっている。

   ウルフ・ワケニウスは「AUGUST ROSE」、「朝日の如くさわやかに」、「AUTUMN NOCTUNE(マッドセンとのデュオ」、

   「WITNESS」に参加。

   レノン&マッカートニーの「I’LL KEEP YOU SATISFIED」、「CAN’T BUY ME LOVE」は比較的採りあげられない

   曲を選び、マッドセンはありきたりでないアレンジを施している。


   PETER ASPLUNDは4曲にトランペット、リチャード・ロジャースの「YOU’RE NEAR」ではフリューゲルホーンで参加

   している。個人的には、この「YOU’RE NEAR」という曲が大好きで、本盤でもベストととして挙げたいほど。。。


   ウルフ・ワケニウスが彼女のヴォーカルをバックアップしていることも特筆に値する。


1・I’LL KEEP YOU SATISFIED・・・2・SUPERNATURAL LOVE(DUET WITH CECILIE NORBY)・・・3・AUGUSUT ROSES
4・COME A LITTLE CLOSER / I GOT LOST IN HIS ARMS・・・5・CAN’T BUY ME・・・6・YOU’RE NEAR
7・ALL OR NOTHING AT ALL・・・8・ALWAYS AND FOREVER・・・9・NEVER LET ME GO・・・10・SUCH UNLIKEY
  LOVERS・・・11・朝日の如くさわやかに・・・12・AUTUMN NOCTUNE・・・13・WITNESS・・・





     KATRINE MADSEN(vo)
     HENRIK GUNDE PEDERSEN(p、key)
     JESPER BODILSEN(b)
     JONAS JOHANSEN(ds)
     ULF WAKENIUS(g)
     PETER ASPLUND(tp、flh)
     RUNE HARDER OLESEN(perc)



    2006年リリース作品・・・














































   



ひたすら

2014-12-07 13:12:40 | ジャズ


  一列に並び続くことを、かつては、「ひと連ね」といいました。

 
  「ひとつら」に転音して「ひたすら」へと変化しました。「もっぱら」「一途」「ひとすじ」など

 
  ひとつに集中するさまの意味をもち、「只管」「一向」などの漢字にあてています。


  「平謝り」は「ひたすら謝り」からきています・・・


  今日聴いたジャズ・・・


  LARS JANSSON・・・「WHAT’S NEW」



  本作は、1951年スウェーデン生まれ、ジャズ・ピアニスト、作曲家、デンマーク・オールヒュス音大教授である

  ラーシュ・ヤンソンのリーダー作。


  トーマス・フォネスベック(b)、ポール・スヴァンベリー(ds)を起用したトリオ編成。

  
  全10曲、ヤンソンのオリジナル3曲(3、6、10)を除いて、お馴染みのスタンダードで綴られている。


  ベースのフォネスベックは、ヤンソンのかつての生徒で、ドラムスのスヴァンベリーはヤンソンの息子さんである。


  本盤について、ライナーノーツに的確で共感できる内容の文があったので引用させて頂きます。



 ※ ヤンソン・トリオの演奏にじっくり耳を傾けると、いかにも自然に美しい音楽の響きを持ちながら、
   その美しさの奥に濃密な時間が流れていることに気づくことになるだろう。

   軽やかなメロディーの流れにも、心地よい筋肉の緊張があり、だからこそ緩急自在な何とも絶妙な表現が
   可能なのだと分かるはずである。

   単にメロディーを歌うことが楽しいわけではない。だれも気づかなかった歌を歌うことが、ジャズの素晴らしさであり、
   だからこそスタンダードが永遠でありつづけるのではないだろうか。



  今年は、ラーシュ・ヤンソンのライブに出かけたことは大きな収穫だった。ヤンソンの美しいタッチを聴けた。

  ベースのフォネスベックは若いながらも、とても巧く、ベースが小さく思えるほどに体格の良い人だった。

  ドラムスのスヴァンベリーは、初々しさを感じる好青年で、彼もまた素晴らしく巧いドラマーだった。


  正直なところ、このライブの目的は、もちろんトリオを聴きたかったのもあるけれど、同行していた、

 
 オーヴェ・イングマールソンのテナーを聴きたかったから。。。


  彼のテナーは、アルバムで聴いていて、一種の”あこがれ”を持っていた。

  約2時間のライブの中、ほとんどの曲で、イングマールソンは共演していた。曲の内容は様々で、「EVERYTHING I LOVE」、

  の中からのものが多かったように記憶している。

  「THE HEART OF MATTER」で聴くアグレッシヴな演奏だけでなく、彼はバラードも巧く、しっとりと聴かせる曲にも感動した。

  とても謙虚な人柄にも好感が持てた。それは、ほかの3人にも同じことが言える。

  ヤンソンは陽気で親しみやすく、休憩時間にも、”トーレ・ヨハンセン”の話題で大いに盛り上がった。

  充実した内容の濃いライブに行けて嬉しかったことは言うまでもない。



1・LOVER MAN・・・2・THE MASQUERDE OVER・・・3・HILDA SMILES・・・4・WHAT’S NEW・・・5・VERY EARLY
6・BEGINNERS BLUES・・・7・EVERYTHING HAPPENS TO ME・・・8・WILLOW WEEP FOR ME・・・9・COME RAIN OR COME
  SHINE・・・10・LATOUR・・・


  
    LARS JANSSON(p)
    THOMAS FONNESBAK(b)
    PAUL SVANBERG(ds)



    2010年4月、6月録音・・・


ささやか

2014-12-05 12:32:29 | ジャズ


  ほんのわずかな量を表現するときの「ささやか」は「いささか」が語源で「細やか」と書きます。


  「微塵」は細かくわずかな量。

 
  「猫の額」は狭さ、「雀の涙」はわずかな量で、こじんまりしたスケールをいいます。


  「露」は「少しも」の意味が含まれます・・・



  今日聴いたジャズ・・・


  LIBBY YORK・・・「SUNDAY IN NEW YORK」



  本作は、ニューヨークを拠点に活躍するヴォーカリスト、リビー・ヨークのリーダー作。


  リニー・ロスネス(p)、トッド・クールマン(b)、ビリー・ドラモンド(ds)というベテラン3人と、

  3曲(1、4、9)にゲストとして参加している、フランク・ウエス(ts)で綴る作品。


  全10曲、馴染みのある、ゆったりとした曲調を中心に、リビー・ヨークの落ち着いた大人のヴォーカルを

 
  堪能できる趣向に仕上がっている。

  冒頭の「MIDNIGHT SUN」は本盤では8分ほどの長めのトラックになっており、フランク・ウエスのテナーがしみじみとした、

  プレイが印象的。続くタイトルチューンの「SUNDAY IN NEW YORK」は軽やかに、リビー・ヨークがニューヨークの街を

  闊歩している光景が目に浮かぶような曲。

  3曲目の「WALTZ FOR DEBBY」は、ピアノトリオをバックにリビー・ヨークがしっとりと歌っていて、

  ピアノ、ベース、ドラムス、、それぞれがベテランらしいサポートを聴かせる。

  途中、マイケル・フランクスの書いた「DOWN IN BRAZIL」が、一風、趣の違ったノリの良い明るい

  素敵なアクセントになって愉しめる。


  「THAT’S ALL」を〆に持ってきたのも、ふさわしい選曲だと思う。


 
1・MIDNIGHT SUN・・・2・SUNDAY IN NEW YORK・・・3・WALTZ FOR DEBBY・・・4・GEE BABY、AIN’T I GOOD
  TO YOU・・・5・DOWN IN BRAZIL・・・6・I GO FOR THAT・・・7・ALL MY TOMORROWS
8・IN THE WEE SMALL HOURS・・・9・LIKE SOMEONE IN LOVE・・・10・THAT’S ALL・・・



    LIBBY YORK(vo)

    FRANK WESS(ts)
    RENEE ROSNES(p)
    TODD COOLMAN(b)
    BILLY DRUMMOND(ds)

   PRODUCED BY LIBBY YORK and RENEE ROSNES:



    2002年4月21、22日 10月28、30日 2003年4月26、27日 7月22日録音・・・