あの「ワークマンPLUS」が九州初の店舗を福岡県内に出店した。業界では前々から話題になっていたので、現物を見たいと思っていた。初上陸した3店は鳥栖、和白、門司とバランス良く立地させたものの、すべて郊外店だから車利用でないとアクセスしづらい。当分は開業景気の影響で混雑するだろうから、沈静化を待ってチェックしてみようと思う。
ワークマンPLUSが話題を集めたのは、一般の人も着こなせるようにガテン系の機能性をアウトドア向けのカジュアルに生かしたことだ。従来、ウォーキングや軽いランニング、釣りや山歩き、サイクリング向けといったアイテムは、「Since 18◯◯」とかを売りにする欧米の専門メーカーが主力で、これにスポーツブランドが追随するという構図だった。仕様や機能、素材などがブランド価値を決めるので、ビームスなんかのバイヤーが発掘し、ファッション雑誌が紹介することで、愛好家の間で浸透していた。
ただ、こうした商品はマニア向けで値段も高く、ポピュラーにはなりにくい。ユニクロがフリースをヒットさせたのは、量産によるコストダウンで価格を下げ、誰でも手が出るようにしたからだ。その後に開発したプロテックシリーズは撥水から防水、防風、透湿、ストレッチまで機能を充実させたものの、今度はワークマンPLUSがそのお株を奪うように高機能なアウターをユニクロの半値くらいで売り出した。一般の人々が着るカジュアルアウターでは、多少のスペックダウンなど全く関係ないから、先発のいいとこ取りができる後発企業には常に優位に働くということだ。
その意味でデザインが変わり映えしないユニクロに対し、ワークマンPLUSはカラフルで「ストリートデザイン」のテイストをもつのだから、お客が殺到するのもうなずける。しかも、女性が半分を占めるという。ユニクロがしきりに自社の商品を「ライフウエア」なんぞと宣ったところで、目の前にお洒落でコスパのいい商品があれば、お客はそっちに流れることをまざまざと見せつけたわけだ。
ところで、ノームコアを経てアスレジャーという着こなしがすっかり普段着に浸透したが、歳を取れば取るほど、あのルーミーな着こなしはだらし無く見えてくる。かと言って、アウトドア派でもない筆者には「アークテリクス」のような高級ブランドもそぐわない。流行りの「ノースフェイス」もロゴマークが目立ち過ぎるので、購入にも着用にも二の足を踏んでしまう。その点、ワークマンPLUSの商品は記号を前面に押し出さないから、すんなり入っていけるのではないか。
筆者がワークマンPLUSのアイテムを着るのは、スポーツをする時になると思う。ランナーの聖地と言われる大濠公園でのランニング、仕事を終えた後のジム通い。両方とも事務所から歩いて行けるが、現地で着替えると荷物になるので、いつもスポーツウエアのまま出かけている。
ただ、静電気がとても酷いので、ウエアは一年中コットン主体で、できるだけ合繊の配合率を抑えたものを好んで着ている。だが、週末の早朝にランニングをする時は、行き帰りを含めて薄手のパーカーやウインドブレーカーが欲しくなる。しかも、着脱が簡単で嵩張らず、走る時に腰に巻けるようなものが欲しいと、思っていた。
アウターにちょこっと着るくらいなので、別に有名ブランドでなくてもいい。 公園にベンチに脱いだままにしても、誰も持ってはいかないようなレベル。仮に無くなっても、それほど惜しくない価格帯。アウターが2000円以下なら、シーズン毎に色違いを買い揃えることもできる。それにはワークマンPLUSくらいがちょうど良い。こうしたわがままニーズさえ、同社は上手く捉えてくれたわけだ。
そこで、ふと思ったのが、スポーツ系カジュアルアイテムの耐用年数である。中高生が着るサッカーのユニフォームのように合繊で薄手のものはすぐに破れると聞く。それに比べると、ウォームアップ用のジャージは長持ちするだろうが、子ども向けは成長もあるから、着てもせいぜい3年程度だろうか。
一方、オリンピックなどの公式ジャージは、イベント終了後にユーズド市場に流れることから、ストリートアイテムとしてリユースされている。実際、パリで「NIPPON」と表記されたジャージを着た人を見かけたときは、「いったい、いつのものか」と驚いたものだ。モノにもよるが、コットンベースでもポリエステルやポリウレタン(エラスタン)が10〜20%程度混紡されていれば、耐用年数は結構長いのではないかと思う。
筆者がこの冬もランニング時に着用したスウェットのパーカーは、今から14〜15年前に購入したadidasの商品だ。当時は今ほどECは普及しておらず、公式通販サイトもなかった。通販会社の「ベルメゾン」がスポーツカテゴリーを設けており、カタログで注文したと記憶している。adidasが契約していた欧州の有名サッカーチームのバージョンで、公式ウエアのレプリカというより、単なるロゴとエンブレムが入ったものだ。
素材は最近ではあまり見かけなくなった綿100%、リブ部分が綿95%、ポリウレタン(エラスタン)10%。カタログには商品のカットやエンブレムの刺繍まで写した写真が掲載され、ディテールはもちろん、素材感までがしっかりわかった。キャプションにも「ヘビーウエイト」「肉厚の生地」「裏パイル地」で「冬にも暖かい」と記載されいたので、即決した。価格はいくらだったか憶えていないが、それでも5000〜6000円くらいではなかったかと思う。
届いて見ると、まさにヘビーウエイトで、12ozは超えるであろう肉厚な素材。「米国人は冬でもコットンを着用することが多い」と、何かの雑誌で読んだことがあるが、綿100%でここまで分厚い生地を採用するのは通販向けの企画と言え、コットン志向が強い客層を狙ったものだろう。それはまさに筆者である。
以来、15年ほど冬場のトレーニングには必ず着ているが、ガンガン洗濯しても生地が伸びることもなく、破れやほつれも見られない。シルクスクリーンで印刷されたチーム名も、精巧な刺繍で表現されたエンブレムもそのままの状態だ。ただ、いい加減、買い替えてもいい時期である。
現在では軽めの素材が受けているからか、それとも価格ありきで原価率を切り詰めているからか、ここまで厚手のスウェットは巷では見かけなくなった。というか、ECではスウェットアイテムの「オンス表記」はあっても、生地の「厚み」や「こし」について詳細に説明しているものはない。サイトにあふれるスポーツブランドもポリエステルが主体で、コットン70%以上のものにはお目にかかれない。
そこで、筆者が目を付けたのが、SP(セールスプロモーション)向けのプリント事業者の専門サイトである。こちらの方がトレーナーやスウェットはファッション通販より素材、色、型のバリエーションがはるかに豊富だし、在庫も確実にある。
筆者にはコットンベースの方が肌に合うし、スポーツ機会ではなおさらしっくり来ると思う。素材が良ければ耐用年数も長いので、コストパフォーマンスも高いだろう。特にスウェットのような定番アイテムはそれほど、デザインが変化するわけではない。現にアスレジャーの影響からか、今はスウェットパーカーがトレンドだ。同じアイテムを15年も着ているといつの間にか流行に乗っかるというか、トレンドに関係ないからずっと着ていられるのだろうが。
まあ、ファッション性やオリジナリティを出す意味では、ロゴマークやイラストが決め手になるわけだが、こちらもPC(Mac)とソフトウエアがあればどうとでもできる。仕事柄、グラフィック系のIllustratorを使っている身としては、ロゴマークもイラストも簡単にフルカラーで制作できるので、プリントモチーフには事欠かない。
サイトを検索すると、スウェットのトレーナーは10oz程度の1000円台、パーカーは12oz以上でも3000円程度だ。価格が割高という次元でもない。しかも、ジェットインクのプリント技術がこの数年ではるかに進化し、事業者は1枚からでもフルカラーで印刷対応してくれる。その分、グラフィカルなモチーフ制作に凝れるので、デザインが楽しくなる。
ワークマンPLUSやSP向けがスポーツ利用できる意外性。上質な定番がクリエイティビティの舞台を広げ、着用目的を豊かにしてくれる。そうした価値観は20代からあまり変わってはいないと、改めて感じている。
ワークマンPLUSが話題を集めたのは、一般の人も着こなせるようにガテン系の機能性をアウトドア向けのカジュアルに生かしたことだ。従来、ウォーキングや軽いランニング、釣りや山歩き、サイクリング向けといったアイテムは、「Since 18◯◯」とかを売りにする欧米の専門メーカーが主力で、これにスポーツブランドが追随するという構図だった。仕様や機能、素材などがブランド価値を決めるので、ビームスなんかのバイヤーが発掘し、ファッション雑誌が紹介することで、愛好家の間で浸透していた。
ただ、こうした商品はマニア向けで値段も高く、ポピュラーにはなりにくい。ユニクロがフリースをヒットさせたのは、量産によるコストダウンで価格を下げ、誰でも手が出るようにしたからだ。その後に開発したプロテックシリーズは撥水から防水、防風、透湿、ストレッチまで機能を充実させたものの、今度はワークマンPLUSがそのお株を奪うように高機能なアウターをユニクロの半値くらいで売り出した。一般の人々が着るカジュアルアウターでは、多少のスペックダウンなど全く関係ないから、先発のいいとこ取りができる後発企業には常に優位に働くということだ。
その意味でデザインが変わり映えしないユニクロに対し、ワークマンPLUSはカラフルで「ストリートデザイン」のテイストをもつのだから、お客が殺到するのもうなずける。しかも、女性が半分を占めるという。ユニクロがしきりに自社の商品を「ライフウエア」なんぞと宣ったところで、目の前にお洒落でコスパのいい商品があれば、お客はそっちに流れることをまざまざと見せつけたわけだ。
ところで、ノームコアを経てアスレジャーという着こなしがすっかり普段着に浸透したが、歳を取れば取るほど、あのルーミーな着こなしはだらし無く見えてくる。かと言って、アウトドア派でもない筆者には「アークテリクス」のような高級ブランドもそぐわない。流行りの「ノースフェイス」もロゴマークが目立ち過ぎるので、購入にも着用にも二の足を踏んでしまう。その点、ワークマンPLUSの商品は記号を前面に押し出さないから、すんなり入っていけるのではないか。
筆者がワークマンPLUSのアイテムを着るのは、スポーツをする時になると思う。ランナーの聖地と言われる大濠公園でのランニング、仕事を終えた後のジム通い。両方とも事務所から歩いて行けるが、現地で着替えると荷物になるので、いつもスポーツウエアのまま出かけている。
ただ、静電気がとても酷いので、ウエアは一年中コットン主体で、できるだけ合繊の配合率を抑えたものを好んで着ている。だが、週末の早朝にランニングをする時は、行き帰りを含めて薄手のパーカーやウインドブレーカーが欲しくなる。しかも、着脱が簡単で嵩張らず、走る時に腰に巻けるようなものが欲しいと、思っていた。
アウターにちょこっと着るくらいなので、別に有名ブランドでなくてもいい。 公園にベンチに脱いだままにしても、誰も持ってはいかないようなレベル。仮に無くなっても、それほど惜しくない価格帯。アウターが2000円以下なら、シーズン毎に色違いを買い揃えることもできる。それにはワークマンPLUSくらいがちょうど良い。こうしたわがままニーズさえ、同社は上手く捉えてくれたわけだ。
そこで、ふと思ったのが、スポーツ系カジュアルアイテムの耐用年数である。中高生が着るサッカーのユニフォームのように合繊で薄手のものはすぐに破れると聞く。それに比べると、ウォームアップ用のジャージは長持ちするだろうが、子ども向けは成長もあるから、着てもせいぜい3年程度だろうか。
一方、オリンピックなどの公式ジャージは、イベント終了後にユーズド市場に流れることから、ストリートアイテムとしてリユースされている。実際、パリで「NIPPON」と表記されたジャージを着た人を見かけたときは、「いったい、いつのものか」と驚いたものだ。モノにもよるが、コットンベースでもポリエステルやポリウレタン(エラスタン)が10〜20%程度混紡されていれば、耐用年数は結構長いのではないかと思う。
筆者がこの冬もランニング時に着用したスウェットのパーカーは、今から14〜15年前に購入したadidasの商品だ。当時は今ほどECは普及しておらず、公式通販サイトもなかった。通販会社の「ベルメゾン」がスポーツカテゴリーを設けており、カタログで注文したと記憶している。adidasが契約していた欧州の有名サッカーチームのバージョンで、公式ウエアのレプリカというより、単なるロゴとエンブレムが入ったものだ。
素材は最近ではあまり見かけなくなった綿100%、リブ部分が綿95%、ポリウレタン(エラスタン)10%。カタログには商品のカットやエンブレムの刺繍まで写した写真が掲載され、ディテールはもちろん、素材感までがしっかりわかった。キャプションにも「ヘビーウエイト」「肉厚の生地」「裏パイル地」で「冬にも暖かい」と記載されいたので、即決した。価格はいくらだったか憶えていないが、それでも5000〜6000円くらいではなかったかと思う。
届いて見ると、まさにヘビーウエイトで、12ozは超えるであろう肉厚な素材。「米国人は冬でもコットンを着用することが多い」と、何かの雑誌で読んだことがあるが、綿100%でここまで分厚い生地を採用するのは通販向けの企画と言え、コットン志向が強い客層を狙ったものだろう。それはまさに筆者である。
以来、15年ほど冬場のトレーニングには必ず着ているが、ガンガン洗濯しても生地が伸びることもなく、破れやほつれも見られない。シルクスクリーンで印刷されたチーム名も、精巧な刺繍で表現されたエンブレムもそのままの状態だ。ただ、いい加減、買い替えてもいい時期である。
現在では軽めの素材が受けているからか、それとも価格ありきで原価率を切り詰めているからか、ここまで厚手のスウェットは巷では見かけなくなった。というか、ECではスウェットアイテムの「オンス表記」はあっても、生地の「厚み」や「こし」について詳細に説明しているものはない。サイトにあふれるスポーツブランドもポリエステルが主体で、コットン70%以上のものにはお目にかかれない。
そこで、筆者が目を付けたのが、SP(セールスプロモーション)向けのプリント事業者の専門サイトである。こちらの方がトレーナーやスウェットはファッション通販より素材、色、型のバリエーションがはるかに豊富だし、在庫も確実にある。
筆者にはコットンベースの方が肌に合うし、スポーツ機会ではなおさらしっくり来ると思う。素材が良ければ耐用年数も長いので、コストパフォーマンスも高いだろう。特にスウェットのような定番アイテムはそれほど、デザインが変化するわけではない。現にアスレジャーの影響からか、今はスウェットパーカーがトレンドだ。同じアイテムを15年も着ているといつの間にか流行に乗っかるというか、トレンドに関係ないからずっと着ていられるのだろうが。
まあ、ファッション性やオリジナリティを出す意味では、ロゴマークやイラストが決め手になるわけだが、こちらもPC(Mac)とソフトウエアがあればどうとでもできる。仕事柄、グラフィック系のIllustratorを使っている身としては、ロゴマークもイラストも簡単にフルカラーで制作できるので、プリントモチーフには事欠かない。
サイトを検索すると、スウェットのトレーナーは10oz程度の1000円台、パーカーは12oz以上でも3000円程度だ。価格が割高という次元でもない。しかも、ジェットインクのプリント技術がこの数年ではるかに進化し、事業者は1枚からでもフルカラーで印刷対応してくれる。その分、グラフィカルなモチーフ制作に凝れるので、デザインが楽しくなる。
ワークマンPLUSやSP向けがスポーツ利用できる意外性。上質な定番がクリエイティビティの舞台を広げ、着用目的を豊かにしてくれる。そうした価値観は20代からあまり変わってはいないと、改めて感じている。