最終回は、前エピのラスト、サラがオーディンを自宅に入れるという衝撃のシーンの続きから始まりました。
ご注意 ー ネタバレ100%です
ふたりは、アランがサラをかばって「もぐら」になったことで番狂わせだと、監禁されている彼の尋問で真実がばれないようにせねばと焦っています。(こんなに仲良しだったのか?!)
ダディは首相に呼び出されました。首相は前エピの爆破現場でThe Times表紙撮影をするよう内務大臣から言われたと、あれはMI5の責任であると、国家のnight watchman(夜間警備員)としての役割を果たせと、活を入れられました。
この時点でまだアランがもぐらと思っているダディは
①ジムとジョーが爆弾の運び屋コリンを追跡
②ボビーとウェンディにアランの通信記録を洗う、を命じました。
(①でジムが「コリンを見かけたらどの警察でもいいから教えろ」とコリンの連絡先に言って回った時の台詞が「Any police station will do. We're like Woolworths. We've got branches everywhere.(どの警察署でもいい。ウールワースみたいなもんだ。どこにでもあるんだ。)」で、Woolworthという雑貨店が出て来たのが、TTSSでギラムがWimpyハンバーガーに入ったのと同じ胸熱でした。70年代当時イギリス中にあったのに今は姿を消したお店達。)
コリンが見つかり、尋問でわかったことは、彼はソ連のためにジョー・ラムの偽造パスポートを作るため資料を偽造者に渡したってこと。(・・・・ええっ?!)
と思ったら、やはりサラの企みでした。ジョーに罪をきせることがオリジナルの計画だったのです。(そうか、そこへアランが余計なことをしたのでサラは怒っていたのですね。)
ダディは自分の地位が脅かされているのはジョーのせいだと、すごい剣幕でジムにジョーを連れて来るよう命じますが、ジョーは自分が追われていることに気づきフラットには帰りませんでした。そしてサラに個人的に相談します。そこでサラは「君か自分がダディに話して誤解を解きたい」と言うジョーに「今はオーディンを捕らえるためにはGlassを進行させておく必要があるから、作戦の要であるあなたは動きがとれる立場でいなさい。モスクワをおびき寄せるために」ともぐらの罠にかけて行きます。
②の作業中ウィンディが発見したことは、「ロンドン警視庁の要人が偽IDで1947年に現れたと同時期に、革命的社会主義労働党連盟のメンバーが、突如死亡記録もなく消えた」事実。それを聞いたボビーの台詞「When sorrows come, they come not single spies But in battalions.」これ、おや?と思ったらハムレットからの引用でした。松岡和子訳では「悲しみは、スパイのように独りでは来ず必ず大挙して攻めてくる。」ほほうハロー~オックスフォードのお坊ちゃん。ちなみに「Wendy! The game is afoot.」も言ってました。
そしてウェンディがもうひとつ発見したのは、ジョーが頼んだ「フェニックス」関連資料であるロシア語会話の録音テープ。ジョーは罠にかかる前にこれを受け取ってました。電話ボックスみたいなブースでこれを聞くんですが、この時、クラブらしき場所のBGMがディープ・パープルで歌詞が「真っ暗な夜だ!俺を自由にしてくれ~」ってジョーの心境のダジャレみたい(笑)。しかしジョーはある重要なことに気づいたようです!
サラ宅 ー「その録音テープはアランが名前と代名詞を削除したため会話が意味不明になっていた。三人称代名詞のsheが削除されていた。」とジョーは彼女がモグラだと、その場からダディに電話しようとします。それを止めたのはサラの言葉「ユリアは死んでいない。この住所に明日の3時に行きなさい。」罠だとわかっていてもユリアについて解明するには行くしかないとジョーはメモを受け取りました。
拘束されているアランの所へ行ったサラはアランの告白を聞きました。彼がピルを見つけて「他に愛人があるのでは?」とサラの後をつけ、サラがもぐらだと知ったこと。愛人がいたわけではなく安心したこと。(く~~。正体はスパイだろうが愛していれば全て良し!この設定、女だったらありがちで安っぽいけど、男だとこうも衝撃的!)しかしサラがアランと結婚した理由は社会的信頼を得るため夫が必要だったからだった。それでもAnd I was the lucky chap.(そして僕がその幸運な男だった)というアラン~~
・・・でも真相はサラは最終的にアランを愛したようで、しかし時すでに遅しアランは「裏切り者は僕のサラじゃない」とすれ違う。(哀しいカップルというか、このふたりはそうなるしかないでしょう)
ソ連対策に影響力を持つ数名の要人が、20歳頃に突如IDを現したことをボビーとウェンディがダディに報告しました。ウェンディが発見した時には「我々の発見は出世ものだ」と言ったボビー、その時ウェンディに「私は国家に仕えているだけで十分なのだから手柄にしたいのならどうぞご勝手に」と言われて目を丸くしていたんですが、ダディへの報告の最後に、「内務大臣には誰の功績か言及は無用です。我々は女王と祖国のためにしている。」と言ったんですよ!あああ、あのボビーが!
ダディは内務大臣に報告に行きました。Operation Glassとは、終戦前からソ連によって国内に植えられ根をはった国家要人達のことであると。その全員に共通することは、権威ある地位にあるだけではなく、内務大臣その人によって任命された人達だと。ちょうどその時、首相は爆破現場に撮影のため向かっていました。それでダディは大臣が首相を殺すつもり、クーデターだと気づいたのです!
爆発現場に首相の車が着いた時、ジョーが階段を昇っていたのは向かいのビルでした。(サラの渡した住所ですね)ドアを開けると、首相を狙う狙撃手、ユリア、オーディン。首相を暗殺し、それをジョーのせいにして置き去りにするという罠だったのですね。(この時にユリアの頭にオーディンの銃口を突きつける目的でKGBはユリアを生かしておいてそこまで連れて来たの?!)
しかし首相の車が開いて降りて来たのはジムでした。ひるむオーディン達。ジョーが襟元に仕込んだマイクごしに「Take the shot」と囁くと、MI5の狙撃者が外からオーディンを撃ちました。
逃げたオーディンは瀕死の状態で近くの建物内で追って来たジョーに見つかります。死ぬ前に「ユリアはずっとこっち側で働いていた。娼婦を捕らえるには娼婦を使えってな。Doubt. It will kill you as sure as any bullet. Bang. I win.(疑いは、弾と同様確実に人を殺す。バーン。俺の勝ちだ。」
空港から旅立つユリアに何度も「この1年どこで何をしていたのか」ときくジョー。1ヶ月後に落ち合う約束をしてMI5に戻る。
全体の感想。このドラマはジョーが主人公だと思ってずっと見ていたのに、私達観客は彼のことを「恋人をKGBに殺された」以外はほとんど知らなかった!ということをこの最終エピで知らされました。誰が嘘をついているのか?死んだと思ったユリアが戻ったのに信じられなくなってしまったジョー。ロシアン・ドールの入り子のような、脚本家が仕掛けた疑いの罠にまんまとジョーと共にひっかかってしまいました・・・。
シリーズ2以降決定していると何かで読んだけど、ユリアとジョーはどうなるのか。ボビーとウェンディは。ボビーのママは・・・^^;
<単語>
disown ~と縁を切る
interrogator 質問者
home secretary 内務大臣
rubble がれき
hanker after ~に憧れる
break bread with (人)と食事を共にする
search high and low to no avail あらゆるところを探すが見つからない
sloshed 酔っぱらった
forger 偽造者
intuit 直感する
tradecraft スパイ活動に必要なノウハウ
census 国勢調査
integral 不可欠の
frame (人)を犯人に仕立てる
join the dots 点を結ぶ
For what it's worth こんなことを言っても価値があるかわかりませんが
subtle 微妙な、すぐにはわからない
incriminate ~を有罪とする、告発する
turn in 通報する、タレ込む
gloat 満足気にながめる
unbecoming 似合わない、不適切な
off the deep end 夢中になって
downcast がっかりした