劇場版「嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~」が6/17から公開されるのに先駆けて、今日からプレミア上映会が東京・渋谷のヒューマントラストシネマで始まりました。初日はシリーズ第1話の「リチャード二世」で19日まで1日1話ずつ。
今日は上映後、「ヘンリー六世」「リチャード三世」に出演経験のある文学座の横田栄司さんと、シェイクスピア研究家である東京大学の河合祥一郎教授によるトークショーも行われるとのことで、行ってまいりました。
やっぱり神々しいベン・ウィショーのリチャード二世↑
大きいスクリーンで見るリチャード二世は光り輝いておりましたし、ヘンリーのローリー・キニアさんの前歯の空き具合も可愛らしいし、オーマールの若きトム・ヒューズの花のかんばせもよく見えました!
140分を超える長丁場なのでDVDや配信では、家のPCの前から何度か離れてお茶を入れたりケーキ食べたりなんかもしながら見たのですが、さすがの劇場上映、(何度か意識は遠のいたけど)集中して見られたし、何度目かでもあるのでセリフの意味が素直に頭に入ってきたのが何よりありがたかったです。
英語音声のリズムなどが美しいのは、河合先生によれば「シェイクスピアの台詞が聞きやすいのはい良い俳優で見る醍醐味」の通りですが、日本語字幕を読んでも、私は今まで集中力がなかったせいかその本当に意味するところがどうもわかっていなかった・・・ということに今日気がつきました。
やはり台詞がわかってこそわかる俳優の演技の凄さにも気づきました。
さて本編の後のトークです。
休憩5分を挟んで、河合先生と横田さんが後ろにある通常の入り口から登場されました。当然です。映画館なのでステージに袖があるわけではないw
拍手の中、横田さんの「お」「近い」という独り言がw
実はこの対談、河合先生は以前講演会にも行ったので楽しみにしておりましたが、お相手の横田さんが俳優さんであることは知りませんでした。しかし私がオンラインでチケットを買った時、座席表の最前列はすでに売り切れていたのです。映画では通常ありえないこと。そうか、俳優さんのファンの方々も多くいらしていたのですね。
でその横田さんのつぶやきを聞いて、通常の俳優さんとお客の距離よりもかなり近かったのだな、と思いました。ミニシアターっていいですね。
☆レポはトーク中にとったメモを参考に思い出しながら書きましたので、先生方の言葉そのままではありません。なるべく楽しい雰囲気を再現するよう試みましたが、どうしてもオリジナルの単語が思い出せなかった部分もありました。
そしてトークは河合先生の「BBC本気出したな!」で始まりました。
「ベン・ウィショーはこの役でテレビの賞(BAFTAのことですね)をとりまして、フォルスタッフの人もとったし、ポスターの真ん中の人、ベネディクト・カンバーバッチも今ノミネートされてますね。」
「ベン・ウィショーで始まって、カンバーバッチで終わるんですよ。」
「とにかく俳優陣がすごい。ディヴィッド・スーシェはポワロの人ですけど、皆さん見て分かりました?僕はわからなくて、いつ出てくるんだろうと思いながら見ました。俳優ってすごいですね。ジュデイ・デンチはカンバーバッチのお母さんで出てきますが、あの母子のシーンはすごかった。」
「もうほとんどザ・シェイクスピア俳優って人たちを贅沢に使ってるんですけど、リチャード二世の妃に王の譲位を告げる庭師でさえもそうなんです、デヴィッド・ブラッドリー、ハリーポッターの・・・えと、えと、(ここで客席から「フィルチ」と助け船)そうです。それからオーマール公のトム・ヒューズ。」
横田さん「トム・ヒューズはいいですよ。彼は絶対ハムレットやりますね。」
横田さんの好きなシーン
「2人が王冠の端と端をつかんで離さないでやりあうところ・・・そして結局王冠がコロコロと・・・」(会場笑)
おふたり
「リチャードの王でなくなることへの不安がよく表れていた。王ではなくなり何者になるのか、自分が誰かという問いがハムレットにつながっていきますね。」
河合先生
「原作に忠実ですから、後世のいい見本になります。歴史順になっているから歴史も捉えやすい。」
「このリチャード二世では1箇所原作から変えているんですが、それがオーマール公で、原作では彼がリチャードを殺すんではないんです。おそらくトム・ヒューズでやってみたらよかったから変えたんじゃないでしょうか。」
「それとリチャードは原作だともっとホモセクシャルな部分が多いんですが、それはあまり出さなくてベン・ウィショーの気高い王族らしさを強調してましたね。」
おふたり
「どっちが正しいのかだんだんわからなくなってきます。そもそもボリンブロックは父の土地を返せと言いに来たので、その時点では彼は正しいのだけど、リチャードが王冠をあげると言ってるんです。じゃあボリンブルックは『いいの?』って感じで、結果として簒奪になるんです。」
横田さん
「ローリー・キニアがうまい受けの演技をしてましたね。セリフそんなに多くないんですが、
・ヨーク公に怒られる時の反応。
・王になってから家来が反逆者の死体をどんどん持ってきて、『よくやった』と言ってる時の顔。
・オーマールのお母さんに『息子を許せ』と迫られて『許す』って言っちゃう。
なんで次のヘンリー四世で年取った役やらないのかなあ。」
河合先生
「でもジェレミー・アイアンズ出てくると『王様~!!』って思うよ。」
横田さん
「やっぱり知名度なの?無名の役者じゃなくて。」
(*いや、ローリーは英国演劇界では無名じゃないでしょ、と思わず声に出しそうになりました)
河合先生
「ところで、このシリーズは歴史順になってますが、シェイクスピアが書いたのは、最初がヘンリー六世で、その次がリチャード三世。それでその後にこのリチャード二世とヘンリー四世、五世という順番なんです。」
横田さん
「それ、最初が当たったから、前に戻ってというスターウォーズと同じですね。」
Q&A は3つありました
Q:「これは原作の英語と同じなんですか?」
A:「そうです、昔のまんま。」
この後、私は実は聞きたいことが出てきて、質問をどう言おうか考えていたので2番目の人の話を覚えていません(汗)。
で、手をあげたらマイクを回していただけたのですごい緊張しながら質問をさせてもらいました。
Q:「オーマール公は、最初リチャードの1番の側近として使えていたのに、最後は彼が殺してしまいますが、彼の立ち位置はどういう人だったのでしょうか?」
A:「殺すところは原作にはないですが、彼は正義の人だったんじゃないでしょうか。若くて正義を追求した。だからお父さんに手紙を見つかるところ、彼は歴史的に見ると正しいことをしていてお父さんが間違ってるんです。これはオーマール公の成長物語でもある。彼は最後に男になった顔をしています。」
*なーるーほーどー!確かに物語中ずっとオーマールは少年の顔をしていましたけど、最後にリチャードの入った棺をヘンリーの前に持って来た時は、キリッとした顔に変化しているんですよね!それなのに、ヘンリーの望みだからこそ謀反返上にリチャードの亡骸を差し出したのに、ヘンリーには嫌な顔をされるんですよねー。この2人の王の関係ってつくづく複雑だなあ。
ありがとうございました!
王みくじ、引いたんですが、
グロスター公?!あんなにヘンリー六世に仕えながらひどい目に会う人!いやだな~おとなしくしていなさいって・・・そんなー
今日は上映後、「ヘンリー六世」「リチャード三世」に出演経験のある文学座の横田栄司さんと、シェイクスピア研究家である東京大学の河合祥一郎教授によるトークショーも行われるとのことで、行ってまいりました。
やっぱり神々しいベン・ウィショーのリチャード二世↑
大きいスクリーンで見るリチャード二世は光り輝いておりましたし、ヘンリーのローリー・キニアさんの前歯の空き具合も可愛らしいし、オーマールの若きトム・ヒューズの花のかんばせもよく見えました!
140分を超える長丁場なのでDVDや配信では、家のPCの前から何度か離れてお茶を入れたりケーキ食べたりなんかもしながら見たのですが、さすがの劇場上映、(何度か意識は遠のいたけど)集中して見られたし、何度目かでもあるのでセリフの意味が素直に頭に入ってきたのが何よりありがたかったです。
英語音声のリズムなどが美しいのは、河合先生によれば「シェイクスピアの台詞が聞きやすいのはい良い俳優で見る醍醐味」の通りですが、日本語字幕を読んでも、私は今まで集中力がなかったせいかその本当に意味するところがどうもわかっていなかった・・・ということに今日気がつきました。
やはり台詞がわかってこそわかる俳優の演技の凄さにも気づきました。
さて本編の後のトークです。
休憩5分を挟んで、河合先生と横田さんが後ろにある通常の入り口から登場されました。当然です。映画館なのでステージに袖があるわけではないw
拍手の中、横田さんの「お」「近い」という独り言がw
実はこの対談、河合先生は以前講演会にも行ったので楽しみにしておりましたが、お相手の横田さんが俳優さんであることは知りませんでした。しかし私がオンラインでチケットを買った時、座席表の最前列はすでに売り切れていたのです。映画では通常ありえないこと。そうか、俳優さんのファンの方々も多くいらしていたのですね。
でその横田さんのつぶやきを聞いて、通常の俳優さんとお客の距離よりもかなり近かったのだな、と思いました。ミニシアターっていいですね。
☆レポはトーク中にとったメモを参考に思い出しながら書きましたので、先生方の言葉そのままではありません。なるべく楽しい雰囲気を再現するよう試みましたが、どうしてもオリジナルの単語が思い出せなかった部分もありました。
そしてトークは河合先生の「BBC本気出したな!」で始まりました。
「ベン・ウィショーはこの役でテレビの賞(BAFTAのことですね)をとりまして、フォルスタッフの人もとったし、ポスターの真ん中の人、ベネディクト・カンバーバッチも今ノミネートされてますね。」
「ベン・ウィショーで始まって、カンバーバッチで終わるんですよ。」
「とにかく俳優陣がすごい。ディヴィッド・スーシェはポワロの人ですけど、皆さん見て分かりました?僕はわからなくて、いつ出てくるんだろうと思いながら見ました。俳優ってすごいですね。ジュデイ・デンチはカンバーバッチのお母さんで出てきますが、あの母子のシーンはすごかった。」
「もうほとんどザ・シェイクスピア俳優って人たちを贅沢に使ってるんですけど、リチャード二世の妃に王の譲位を告げる庭師でさえもそうなんです、デヴィッド・ブラッドリー、ハリーポッターの・・・えと、えと、(ここで客席から「フィルチ」と助け船)そうです。それからオーマール公のトム・ヒューズ。」
横田さん「トム・ヒューズはいいですよ。彼は絶対ハムレットやりますね。」
横田さんの好きなシーン
「2人が王冠の端と端をつかんで離さないでやりあうところ・・・そして結局王冠がコロコロと・・・」(会場笑)
おふたり
「リチャードの王でなくなることへの不安がよく表れていた。王ではなくなり何者になるのか、自分が誰かという問いがハムレットにつながっていきますね。」
河合先生
「原作に忠実ですから、後世のいい見本になります。歴史順になっているから歴史も捉えやすい。」
「このリチャード二世では1箇所原作から変えているんですが、それがオーマール公で、原作では彼がリチャードを殺すんではないんです。おそらくトム・ヒューズでやってみたらよかったから変えたんじゃないでしょうか。」
「それとリチャードは原作だともっとホモセクシャルな部分が多いんですが、それはあまり出さなくてベン・ウィショーの気高い王族らしさを強調してましたね。」
おふたり
「どっちが正しいのかだんだんわからなくなってきます。そもそもボリンブロックは父の土地を返せと言いに来たので、その時点では彼は正しいのだけど、リチャードが王冠をあげると言ってるんです。じゃあボリンブルックは『いいの?』って感じで、結果として簒奪になるんです。」
横田さん
「ローリー・キニアがうまい受けの演技をしてましたね。セリフそんなに多くないんですが、
・ヨーク公に怒られる時の反応。
・王になってから家来が反逆者の死体をどんどん持ってきて、『よくやった』と言ってる時の顔。
・オーマールのお母さんに『息子を許せ』と迫られて『許す』って言っちゃう。
なんで次のヘンリー四世で年取った役やらないのかなあ。」
河合先生
「でもジェレミー・アイアンズ出てくると『王様~!!』って思うよ。」
横田さん
「やっぱり知名度なの?無名の役者じゃなくて。」
(*いや、ローリーは英国演劇界では無名じゃないでしょ、と思わず声に出しそうになりました)
河合先生
「ところで、このシリーズは歴史順になってますが、シェイクスピアが書いたのは、最初がヘンリー六世で、その次がリチャード三世。それでその後にこのリチャード二世とヘンリー四世、五世という順番なんです。」
横田さん
「それ、最初が当たったから、前に戻ってというスターウォーズと同じですね。」
Q&A は3つありました
Q:「これは原作の英語と同じなんですか?」
A:「そうです、昔のまんま。」
この後、私は実は聞きたいことが出てきて、質問をどう言おうか考えていたので2番目の人の話を覚えていません(汗)。
で、手をあげたらマイクを回していただけたのですごい緊張しながら質問をさせてもらいました。
Q:「オーマール公は、最初リチャードの1番の側近として使えていたのに、最後は彼が殺してしまいますが、彼の立ち位置はどういう人だったのでしょうか?」
A:「殺すところは原作にはないですが、彼は正義の人だったんじゃないでしょうか。若くて正義を追求した。だからお父さんに手紙を見つかるところ、彼は歴史的に見ると正しいことをしていてお父さんが間違ってるんです。これはオーマール公の成長物語でもある。彼は最後に男になった顔をしています。」
*なーるーほーどー!確かに物語中ずっとオーマールは少年の顔をしていましたけど、最後にリチャードの入った棺をヘンリーの前に持って来た時は、キリッとした顔に変化しているんですよね!それなのに、ヘンリーの望みだからこそ謀反返上にリチャードの亡骸を差し出したのに、ヘンリーには嫌な顔をされるんですよねー。この2人の王の関係ってつくづく複雑だなあ。
ありがとうございました!
王みくじ、引いたんですが、
グロスター公?!あんなにヘンリー六世に仕えながらひどい目に会う人!いやだな~おとなしくしていなさいって・・・そんなー