Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ボウイ

2016-01-15 10:44:00 | イギリス


DAVID BOWIEが1月10日に肝臓がんで亡くなった。
すぐには信じられなかった。
私にとってボウイはスターと言うよりアイコンだったから、
生身の人間だという実感がずっとなかった。

彼がジギー・スターダストとしてスターになった
70年代のグラム・ロック・シーンは
さすがに私もリアタイで経験できなかった。

意識したのはベルリン3部作あたりで、その頃私は
ニューウェイブで元気なイギリスの音楽シーン沼に落ちていた。
ボウイのその頃の曲は知的で芸術的だったけど少し退屈だった。

70年代も終わる頃、ボウイ初の主演映画「地球に落ちて来た男」を見た。
痩せて神秘的で美しいボウイは特殊メークなしでも人類に見えなかった。
映画で彼に恋した人間の女性(美人で華奢です)が、
たおれたトーマス(ボウイ)をお姫様だっこするシーンがあって、
彼女に自然にすごく感情移入してしまった。

以降、ボウイは私のアイコンになった。
そして初期のグラム・ロックに遡ってベルリン以前の曲を聞いた。
感じたのは、周囲のメジャーな流れにとけ込めない孤独だったと思う。

ところが、もう少し後になって、
よりによってニューウィブのおかげかロックもファッション化した。
80年代はじめに新宿のクラブ「ツバキハウス」の「ロンドンナイト」
で話したオシャレな男子がボウイを好きだと言うので
少し突っ込んで話したかったのに彼はボウイなんてほとんど知らなかった。

皮肉にもそのころボウイのヒット曲にも「ファッション」というのがあり
批判してたのは服装だけじゃなくて流れに従う態度みたいなものだったな。

その曲が含まれていたアルバムでボウイは過去のジギーとしての
スターを自ら葬ってしまい、個人的にはそれは寂しかった。




ボウイの訃報に、アイコンだったころの数曲が頭をめぐったけれども
亡くなったのはアイコンではなくひとりの人間なのだから
過去の曲を懐かしんで悲しみに耽るのは違う気がした。

そこで亡くなる2日前に発売された「BLACKSTAR」買って聞いた。

デジタルで買ったのでミュージックビデオもついてきたけど
見る前に聞いてよかった。
ボウイのヴィジュアルから入って音楽を好きになったのだけど、
初めて音楽を聞いて自分の頭の中に広がる世界の方がビデオよりよかった。

アイコンとしての自分を捨て去ったボウイだけども
新作からはそのアイコンも生身の人間ディヴィッドも感じられた。