命日

「命日」

母の一周忌を迎えました。

あっという間の一年でした。

あれほど悲しみの深い母の死でしたが、時は
少しずつその悲しみから解き放してくれる
ようです。

しかしふとした折に母の存在を思い出すとき、
従来とは質の違う悲しみと寂寥感に襲われる
ことがあります。

母でなければ分からないことなど、今となっては
知るすべもありません。

「もっともっと話しておけば良かった」などと、心に
刺さったままの棘は日に日に痛みが増してくるよう
です。

今日の早朝、出勤前になにげなく玄関先を見ると
鉢植えの梅ノ木に、八重の可憐な花を付けて
いました。

母が大事にしていた鉢植えです。

特に何も手入れをした訳でもないのですが、忘れ
ないで今年も咲いてくれました。

枯らすまいと、蛇口から伸びたホースから、乱暴に
水やりだけの一年でしたが、母の存在を知らしめる
ように白い花を付けてくれました。

母の思いと母への感謝なのか、梅も母の一周忌に
合わせて咲いてくれたようです。
（S.N.)


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