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北京愛知行研究所:ウイグル人移民の人権状況報告(2)

2010-04-28 16:01:25 | 中国異論派選訳
(四)居住面での差別と排斥問題の法的分析

2002年11月27日、国家民族事務委員会、国家経済貿易委員会、公安部、国家旅游局、国家工商行政管理総局の共同通知『ごく少数のホテル、旅館、簡易宿泊所の少数民族宿泊拒否問題を糺すことに関する通知』の中で、「内地のごく少数の都市のホテル、旅館、簡易宿泊所が新疆籍の人、特に新疆少数民族の宿泊を拒否している。この手のやり方は共産党と国家の民族政策に違反し、民族団結を損ない、少数民族の正当な権利を侵害し、一部の少数民族の強烈な不満を引き起こしている。」と指摘し、同時に「諸君は(12)この通知を受け取ってから、管轄地区の各ホテル、旅館、簡易宿泊所の責任者と従業員に対しマルクス主義民族観、共産党と国家の民族政策、法令および民族団結の宣伝活動を行い、同時に効果的な措置をとり、ごく少数のホテル、旅館、簡易宿泊所の少数民族もしくは特定地区住民の宿泊拒否行為を着実に糺されたい。宿泊希望者が有効な身分証明書を所持し、規則を遵守する限り、全て一視同仁に扱い、温かく迎え、少数民族の慣習と信仰を尊重するよう注意し、可能な限り生活上の利便を提供しなければならず、民族や居住地域の違いによって差別待遇をしてはならない。」と指摘している。

2008年5月国務院弁公室発〔2008〕33号通達:『共産党と国家の民族政策関連問題を厳格に執行することに関する通知』は、「近時チベット人地区の安定と反テロ対策強化の過程で、少数の事業所で民族政策違反行為が発生しており、一部の空港では安全検査業務において民族を区分対象とし、一部のタクシー、ホテル、商店などでは乗車拒否、宿泊拒否、販売拒否など少数民族大衆の正当な権利を侵害する現象が出現している。この手のやり方は少数民族大衆の感情を傷つけ、少数民族大衆の不満を招いている。これらの問題は一部の地区と事業所だけでしか発生していないが、放置しておくと民族団結に重大な損害をもたらし、社会の安定に影響するだろうから、必ずや大いに重視し、断固正し、類似の事象の発生を根絶しなければならない。」と述べ、「各種ホテル、商店、飲食店などの事業所は少数民族の宿泊、購買、飲食を拒絶してはならない、各種交通機関経営者は少数民族の登場を拒否してはならない。」と指摘している。

以上の規定を見れば分かる通り、間貸し人や簡易宿泊所がウイグル人の宿泊を拒絶することは本質的に民族団結、民族平等の基本原則に違反するものであり、同時に国法に違反している。


三、周縁化とウイグル人移民の健康危機

北京のウイグル人コミュニティーにおいては、多くの人にまともな仕事がなく、固定収入源がない。彼らの一部は薬物使用者であり、薬物密売が自己使用薬物購入と生活費の収入源となっている。薬物使用は治安に対する非常に大きな脅威である。ウイグル人コミュニティーにおいては、エイズ感染率が比較的高い。エイズ、結核、肝炎がこのグループに一般的見られる疾病である。また、居住条件が劣悪であることから、インフルエンザなどの伝染性疾患もときおり集団発生している。

(一)エイズの脅威

1、コミュニティーの中のエイズ流行状況:ウイグル人移民の薬物中毒者の中のHIV感染者グループは、感染期間が長く、流動性が大きく、住居が不安定で、生活が極度に困窮していることから、大多数のHIV感染者が発病期にある。しかし、戸籍制限によりHIV感染者支援措置を受けられない。医療支援がないためにエイズ患者が路上で死亡するという事態がときおり発生している。

2、認知度が低い:多くの人がエイズが彼らの生命を脅かすことを知っており、エイズを治癒することのできる薬物が今はまだないことも知っている。しかし、感染ルート、予防法、抗ウイルス療法などの知識はほとんど知らない。一部の人はメタドン代替療法〔依存性薬物の治療方法〕や注射針の交換は知っているが、それに関連する知識は知らない。この面では、彼らはグループの中の誰かがメタドンを服用していて突然死んだり発狂したりしたと言っていて、多くの駐車薬物使用者はこの薬を服用したがらない。

3、政策要因とその治療アクセスへの影響:エイズ、結核などの患者が抗ウイルス剤や治療を受けることを制限されている。関連政策によれば、これらの患者は北京では薬物を得られず、原籍の衛生当局に申請しなければならない。だが、患者の大多数は、同時に薬物使用者であり、薬物密売によって生きており、疾病についての正確な知識も関連政策に関する知識もなく、経済状態は悪く病気になってもすぐに治療を受けられない。抗ウイルス剤を得るには戸籍制限の制約もある。

4、リスク低減措置はウイグル人グループに及んでいない:一方では、多くのコミュニティーメンバーに定まった住所がないため、北京市の暫定居住許可証を取得できず、その結果メタドン維持療法にもアクセスできない。もう一方で、ターゲットグループの宗教的文化的敏感さゆえに、エイズ、性感染症およびコンドームなどの内容は排斥されやすい。ターゲットグループへのコンドームの配布は不本意ながら従う形で配布されている。

5、エイズとその他の感染症の合併発症現象が広まっている:ウイグル人コミュニティーにおいては、エイズと結核の二重感染者が適時の治療を受けられず、街角で死亡するということがときおり発生している。また、適時に抗ウイルス療法を受けられないために、他の多くの疾病がエイズと合併発症するという現象もコミュニティーの中では一般的である。

(二)その他の疾病の脅威

1、その他の感染症の伝播:住宅難と居住環境の劣悪さがインフルエンザ、呼吸器疾患など感染症のウイグル人移民および居住するコミュニティー、インターネットカフェ、サウナなど公共の場所での感染を増加させている。愛知行研究所ウイグル人プロジェクト担当者の面談調査によると、冬季に大部分のウイグル人がインフルエンザに罹っており、またかなりの数のHIV感染者とエイズ患者、結核患者、高齢者や虚弱な人、そして10人以上の児童が深刻な健康問題に直面していた。ほとんどすべてのコミュニティーメンバーがインフルエンザなど様々な疾病に罹っていた。

2、文化の違い、宗教の影響などの原因により、エイズなどの性感染症予防のためのコンドームの普及には終始困難が伴っている。大多数の人がコンドームを使う習慣がなく、コンドームに対する科学的な認識もない。そのことがウイグル人コミュニティーの青年男女が性感染症に罹りやすくしている。

(三)少数民族政策における少数民族の医療に関する規定

『都市少数民族事務規則』(13)第二十一条は「少数民族人口が比較的多い都市の人民政府は、ニーズと条件に基づき、民族病院、民族医学研究機関を設立し、少数民族伝統医学を発展させなければならない。」と定めている。

2008年5月国務院弁公室発〔2008〕33号通達:『共産党と国家の民族政策関連問題を厳格に執行することに関する通知』は、「各種病院は少数民族患者を一視同仁し、差別してはならない。地方各級人民政府と政府各部門は各自の職責に基づき製造販売者とサービス提供者に対し民族平等政策実施状況を検査しなければならない。法令違反がある場合は、断固として糺し、法律通り厳しく処理し、悪質な場合は法律通り刑事責任を追及しなければならない。」と定める。


四、在北京ウイグル人移民が直面するその他の人権と法律問題

(一)言葉の壁

●法令規定

-『中華人民共和国憲法』第百三十四条は、「各民族の国民はすべて自民族の言語で訴訟を行う権利を有する。人民法院と人民検察院は現地通用の言語に通暁しない訴訟参加者に対して通訳しなければならない。少数民族が集住していたり、他民族が混住している地域では、現地通用の言語で審理を行わなければならない。起訴状、判決書、布告その他の書類は実際の必要に基づき現地通用の一種もしくは数種の言語を用いなければならない。」と定めている。

-『中華人民共和国人民法院組織法』第六条は「各民族の国民はすべて自民族の言語で訴訟を行う権利を有する。人民法院は現地通行の言語に通暁していない当事者に対して通訳しなければならない。少数民族が集住し、もしくは多民族が混住する地域では、人民法院は現地通用の言語で審理を行い、現地通用の言語で判決書、布告その他の書類を書かなければならない。」と定めている。

-『中華人民共和国刑事訴訟法』第九条は「各民族の国民はすべて自民族の言語を用いて訴訟を行う権利を有する。人民法院、人民検察院と公安機関は現地通用の言語に通暁していない訴訟参加者に対して通訳しなければならない。少数民族が集住し、もしくは多民族が混住する地域では、現地通用の言語で審理を行い、現地通用の言語で判決書、布告その他の文書を書かなければならない。」と定めている。

-『中華人民共和国行政訴訟法』第八条は、「各民族の国民はすべて自民族の言語を用いて行政訴訟を行う権利を有する。少数民族が集住し、もしくは多民族が混住する地域では、人民法院は現地通用の言語で審理を行い、現地通用の言語で判決書、布告その他の文書を書かなければならない。人民法院は現地通用の言語に通暁していない訴訟参加者に対して通訳を提供しなければならない。」と定めている。

-『中華人民共和国民事訴訟法』第十一条は、「各民族の国民はすべて自民族の言語を用いて民事訴訟を行う権利を有する。少数民族が集住し、もしくは多民族が混住する地域では、人民法院は現地通用の言語で審理を行い、現地通用の言語で判決書、布告その他の文書を書かなければならない。人民法院は現地通用の言語に通暁していない訴訟参加者に対して通訳を提供しなければならない。」と定めている。

-『都市民族工作規則』第二十条は「都市人民政府は少数民族が自民族の言語を使う権利を保障しなければならない。併せて需要と条件に基づき、国家の関係規定により少数民族言語の翻訳、出版、教育研究に注力する。

●実情

-治療を受けるとき:コミュニティーメンバーが北京の衛生当局、疾病予防管理センターなどで検査を受けたり抗ウイルス薬受領、メタドン切り替えをしようとすれば必ず言葉の壁にぶつかる。言葉の壁があるので、多くの人のフォローアップができない。例えば、コミュニティーメンバーの比較的集中しているいくつかのメタドン外来では、コミュニティーメンバーが戸籍制限問題をクリアーして医療サービスにつなげられても、言語コミュニケーションが難しいためにフォローアップや、普段の対応、知識の獲得ができず、サービスが中断してしまう。

-児童の教育:ウイグル住民が比較的多く住む地域にウイグル語で教える学校はなく、全て漢語を使うので学習の障害となっている。


(二)パスポート・暫定居住許可証などの手続きの際の問題

●法令規定

2008年5月国務院弁公室発〔2008〕33号通達:『共産党と国家の民族政策関連問題を厳格に執行することに関する通知』は「許可証発行、法令検査実施、行政処罰実施、強制措置の実施の際は、とりわけ駅、空港、埠頭、イミグレーションなどの安全検査においては、少数民族を差別してはならず、民族関係に影響する言行をしてはならない。違法行為を発見したら、直ちに糺し、厳しく処分しなければならない。」と定めている。

●実情

ほとんどすべてのウイグル人コミュニティーの人が暫定居住許可証を取得できない。彼らが拒否された理由は、新疆人には暫定居住許可証を発行しないということだった。しかも、ある人は北京で自動車や商品の取引をしているが暫定居住許可証がないために、契約手続きや証明書に重大な支障が生じている。『中華人民共和国戸籍登録規則』、『北京市就労外地人管理規則』、『北京市外地人戸籍管理規定』、『北京市外地人住宅賃貸借治安管理規定』などの法律、命令、規則、規範的文書は、もし暫定居住許可証がなければ移民は部屋を借りることができず、就学ことができないと定めている。さらに、罰金を科せられたり、身分証明書を没収されたりするかもしれない。(14)また、ウルムチ騒乱事件後多くの新疆籍国民のパスポート申請、商工業営業許可証申請が制限を受けている。


(三)宗教行事

●法令規定

『都市民族工作規則』第二十四条は「都市人民政府は少数民族が自民族の習慣を保持したり改めたりする自由を保障する。」、第二十六条は「少数民族の職員、労働者が自民族の重要な祝祭に参加するときは、国の関連規則に基づき有給休暇を取得することができる。

●実情

ウイグル人コミュニティーの人の紹介によると、労働矯正所〔司法手続きを経ない行政罰としての懲役施設〕、強制薬物依存者更生施設などでは、ムスリムの食事に配慮すべきである。具体的には、ハラール食品の基準は豚肉がないというだけでなく、専門のムスリム食堂を設けるべきである。収容施設では、少数民族の礼拝を尊重し、基本条件を提供すべきである。


(四)就業

●法令規定

『中華人民共和国労働法』第十二条は「労働者の就業は、民族、種族、性別、宗教の違いによって差別されない。」と定める。

『中華人民共和国就業促進法』第三条は「労働者は法に基づき平等な就業と自主的な職業選択の権利を有する。労働者の就業は、民族、種族、性別、宗教などの違いによって差別されない。」と定める。第二十八条は「各民族の労働者は平等な労働の権利を有する。雇用者が人員を募集するときは、法に基づき少数民族の労働者たいし適切な配慮をしなければならない。」と定める。

2008年5月国務院弁公室発〔2008〕33号通達:『共産党と国家の民族政策関連問題を厳格に執行することに関する通知』は「製造販売者とサービス提供者は必ず厳格に法令の民族平等保障規定を遵守し、人員募集の時に少数民族を差別してはならない」と定める。

●実情

-大多数のウイグル人が都市で仕事を探そうとすると拒絶される。

-多くの個人商業経営に従事する移民が所在地の都市管理局や警察から「ここで売買をするな」、「よそへ行って売れ」などと要求されている。


(五)子供の教育問題

●法令規定

『中華人民共和国義務教育法』第四条は「すべて中華人民共和国国籍を有する適齢期の児童、少年は、性別、民族、種族、家庭の財産状況、宗教などに関わらず、法に基づき平等に義務教育を受ける権利を有し、義務教育を受ける義務を有する。」と定める。第十八条は「国務院教育行政部門と省、自治区、直轄市人民政府は必要に応じ、経済の発達した地区に少数民族的例児童、生徒を受け入れる学校(クラス)を設ける。」と定める。

●実情

北京市郊外の某ウイグル人コミュニティーでは、十数人の年少児童がおり、その一部は入学年齢に達している。しかし、入学条件が厳しかったり、保護者が高額の費用を払えなかったり、また一部の児童は「新疆人」の身分ゆえに小学校に入学することができず、教育を受ける権利を奪われている。


(六)「重大行事」の前にしばしば排斥される

1、2008年北京オリンピックの前には、多くのウイグル人が私服警官に監視された。

2、「重大行事」の前にウイグル人が飛行機に乗ろうとすると、彼らに対する安全検査が他の民族より複雑になる。

3、「重大行事」の前になると、ボランティアがコミュニティーに入ることが制限される。

4、ウイグル人の健康について活動を展開している団体の活動場所に「重大行事」の前になると頻繁に政府職員が来て訊問する。

5、ウイグル人コミュニティーの人の話では、上海万博が間もなく開催されるので、上海のウイグル人は上海から出て行くよう要求されている。


五、政策提言

(一)ウイグル人に対する偏見と政治的恐怖感の払拭

ウイグル人大衆に対する偏見と差別は民族間の調和と社会の安定にとって無益である。しかし、多くの偏見と差別が不良社会世論に発するだけでなく、むしろ公共部門がウイグル人を「特殊化した取扱」をしていることに発していることをはっきりと見た。例えば、上にのべた間接的な居住禁止、就業排斥および「重大行事」の前の排斥行動である。したがって、偏見の除去はまず公共部門から始めなければならない。公共部門から民族平等の業務スタイルと社会風潮を築かなければならない。そうしてはじめてウイグル人に対する政治的恐怖感を除き、移民は社会発展の必然であり、ウイグル人の都市での生活と発展は多元的で調和的な社会の真実の姿であることを再認識することができる。

同時に、関係当局は少数民族の民間組織の発展を支援し、少数民族大衆が自民族コミュニティーの中で活動を行うのに便宜と条件を提供すべきである。

(二)ウイグル人の平等権の保障

民族平等とは、各民族が人口の多寡、発展程度の高低、慣習や宗教の違いに関わらず、すべて中華民族の一部であり、同等の地位を有し、国家と社会生活のすべての面において、法に基づき同等の権利を有し、同等の義務を負い、あらゆる形の民族抑圧と民族差別に反対することである。『中華人民共和国憲法』は「中華人民共和国の各民族は一律に平等である。国家は各少数民族の合法的権利と利益を保障し、各民族の平等、団結、互助の関係を維持し発展させる。いかなる民族に対しても差別と抑圧を禁止する。」と定める。中国の各民族国民は憲法と法律が賦与する国民の平等権を広く享有する。たとえば、各民族国民は民族、種族、宗教に関わらず、全て同等に選挙権と被選挙権を享有する。各民族国民の人身の自由と人格の尊厳は侵犯されない。各民族国民はすべて信仰の自由権を有する。各民族国民はすべて教育を受ける権利を有する。各民族国民はすべて自民族言語を使用し発展させる権利を有する。各民族国民はすべて言論、出版、集会、結社、デモ行進、示威行動の自由を有する。各民族国民はすべて科学研究、文学芸術創作その他の文化活動に従事する権利を有する。各民族国民はすべて労働、休息および労働能力を喪失したときに国家と夜会から物的支援を受ける権利を有する。各民族国民はすべて国家機関と国家公務員に対して批判と提案を提出する権利を有する。各民族国民はすべて自己の慣習を維持もしくは改める自由を有するなどなど。(15)

ウイグル民衆が著しく周縁化されている現実を前にして、実質的平等の保障をすべてのウイグル同胞に及ぼすには、政策と制度の上で少数民族に対する支援政策を保障し、本当に国家の民族平等と民族団結の方針政策を実行しなければならない。そのためには、国家各級の民族事務の処理機関に対して必要な事業評価を行い、関連メカニズムを構築して各級機関が積極的に国家の民族政策を実行するよう促さなければならない。

(三)メディア改善の促進

メディアの客観的で公正な報道を効果的に促進し、メディアを通じて世論の中のウイグル人に対する偏見と差別を除去するために、上から下に向けてメディアのこの分野を改善しなければならない。台湾人権促進会はメディア改善問題について、「新聞報道は客観、中立、プロフェッショナルの原則を堅持しなければならない。裏付けの取れないニュースを報道してはならない。差別的ないし感情的な語句を使わない。報道は商業化、広告化すべきではない。政治家もしくは政党の代弁者となってはならない」と述べている。(16)

ウイグル人に関する報道においてこれらの目標を実現するには、独立したメディアの観察とメディア評価事業を強化する必要がある。政府は学界のメディアに対する観察研究を支持し、メディアによる差別除去の対策を提示すべきである。少数民族むけ大学、研究機関において少数民族グループニュース研究プロジェクトを立ち上げるべきである。メディア研修マニュアルを作るべきである。
 


原文出典:http://docs.google.com/View?id=dfwrv29m_9hf5vh5c9

(転載自由、要出典明記)

北京愛知行研究所:ウイグル人移民の人権状況報告(1)

2010-04-28 15:52:27 | 中国異論派選訳
ウイグル人移民の中国内地都市における健康、居住およびその他の人権状況報告
――北京市のウイグル人移民の事例

北京愛知行研究所

2010年4月

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目次
まえがき
一、北京市ウイグル人移民グループの基本状況
(一)文化的適応の問題
(二)教育水準が低い
(三)居住条件が悪い
(四)人の流動性が高い
(五)憂慮すべき健康状態
(六)児童と青少年の成長問題が深刻

二、居住問題上の困難
(一)居住条件の劣悪さとその治安と集団の健康への影響
(二)ウイグル人の実際の困難 1、部屋を借りられない
(三)ウイグル人の実際の困難 2、北京では旅館に泊まれない
(四)居住面での差別と排斥問題の法的分析

三、周縁化とウイグル人移民の健康危機
(一)エイズの脅威
(二)その他の疾病の脅威
(三)少数民族政策における少数民族医療に関する規定

四、在北京ウイグル人移民が直面するその他の人権と法律問題
(一)言葉の壁
(二)パスポート・暫定居住許可証などの手続きの際の問題
(三)宗教行事
(四)就業
(五)子供の教育問題
(六)「重大行事」の前にしばしば排斥される

五、政策提言
(一)ウイグル人に対する偏見と政治的恐怖感の払拭
(二)ウイグル人の平等権の保障
(三)メディア改善の促進

別添1 北京愛知行研究所ウイグル移民健康教育プロジェクト紹介
別添2 新聞記事 北京愛知行研究所のウイグルプロジェクトが雑誌『南風窓』の公益賞の2009年組織賞を受賞。
別添3 北京市公安局長への手紙:新疆籍ウイグル人の北京居住、生活および保健衛生問題






まえがき

中国は統一された多民族国家であり、憲法は「中華人民共和国の各民族は一律に平等である。国家は各少数民族の合法的権利と利益を保障し、各民族の平等・団結・互助関係を維持し発展させる。いかなる民族的差別や圧迫も禁止し、民族の団結破壊と民族分裂をもたらす行為を禁止する。国家は各少数民族の特徴と需要に基づき、各少数民族地区の経済と文化の発展促進を助ける。」(1)と定めている。しかし、憲法の規定は原則的、宣言的なもので、憲法が備えるべき、人の生存権・自由権・尊厳・訴権などの権利(2)に関する具体的な保障規定は置かれていない。憲法の他に、中国には少数民族問題について「民族区域自治法」やその他多くの法令が規定を置いている。しかし、法律の良い規定が実際の少数民族問題の解決に好ましい制度的保障を提供しておらず、一連の民族衝突と民族矛盾が我々に既存の民族政策の見直しを迫っている。

それと同時に、都市と農村の二元的分割と所得格差の拡大は、多くの少数民族地域を周縁化し、少数民族大衆の生存と発展はますます深刻な問題になっている。我々はまた、多くの辺境少数民族大衆が都市に来ていることも知っている。文化・言語・信仰などの原因により、彼らの多くは集住して都市の中で中小の集落を形成している。北京のウイグル人集落は一つの典型例である。これら小さな集落とそれが都市に及ぼすであろう影響について、以下の各分野がこの報告において我々が明らかにすべきことである。

Q 彼らはなぜ故郷にいないで、都市に出てくるんですか?

A この問いはそれ自体が擬命題のようです。なぜなら社会の発展にともない、人の流動はすでに変えることのできない事実になっていからです。普通の人は、街を歩く人を見て外地人かどうか、なぜ都市に来たのかなど気にはしません。誰もがその人なりの都市に来る理由があります。その上、都市に来る理由が生存のためであるとき、我々はなおのこと発した問いが彼らに与える影響を反省すべきです。

Q 彼らは犯罪に手を染めるんじゃないですか?

A 北京の新疆集落を例にメディアの報道を見ると、確かに窃盗・薬物乱用さらには薬物密売の事案が発生しています。(3)犯罪活動は、全ての国民が法的制裁を受けるべきです。しかし少数の者の犯罪事実は全ての人の状況を説明するものではありません。また個別の事案を理由に集落と民族全体に汚名を着せることはできません。ましてや、多くの窃盗や薬物密売に従事する青少年が誘拐されたり脅迫されて都市に来ているのです。しかも、今日の社会学研究の成果が、犯罪の発生は大体において社会変動・社会発展の断裂・人々の生活の変動と非常に大きな関係があり、決して特定の人が先天的に犯罪の遺伝子を持っているのではないことを証明しています。(4)

Q なぜ彼らの権利に配慮しなければならないんですか? なぜ彼らに保障を提供しなければならないんですか?

A 『世界人権宣言』には、「全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」(第1条)、「全て人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、門地その他の地位またはこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げる全ての権利と自由を享有することができる。」(第2条)と定められています。

『経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(5)第6条1項は、「この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するために適当な措置をとる。この権利には、全ての者が自由に選択しまたは承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む。」と定めています。第11条1項は、「この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての、並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。」と定めています。第13条1項は、「この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。」と定めています。

『人種差別撤廃条約』(6)第2条1項は、「締約国は、人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する。このため、(a)各締約国は、個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しないこと並びに国及び地方のすべての公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保することを約束する。(b)各締約国は、いかなる個人又は団体による人種差別も後援せず、擁護せず又は支持しないことを約束する。(c)各締約国は、政府(国及び地方)の政策を再検討し及び人種差別を生じさせ又は永続化させる効果を有するいかなる法令も改正し、廃止し又は無効にするために効果的な措置をとる。(d)各締約国は、すべての適当な方法(状況により必要とされるときは、立法を含む。)により、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる。(e)各締約国は、適当なときは、人種間の融和を目的とし、かつ、複数の人種で構成される団体及び運動を支援し並びに人種間の障壁を撤廃する他の方法を奨励すること並びに人種間の分断を強化するようないかなる動きも抑制することを約束する。」と定めています。
『中華人民共和国憲法』は、中華人民共和国の国民は法律の前で全て平等である。国家は人権を尊重し保障する。いかなる国民も憲法と法律が定めた権利を享有し、また憲法と法律が定めた義務を履行しなければならない。不法な拘禁とその他の方法による国民の人身の自由の不法な剥奪もしくは制限を禁止し、国民の身体を不法に捜査することを禁止する。中華人民共和国国民の人格の尊厳は侵害されない。いかなる方法によっても国民を侮辱、誹謗もしくは誣告してはならない。人民の健康を保護する。」と定めています。

その境遇を見ると、いま北京にいる多くのウイグル人大衆は言葉の壁があり、部屋を借りられず、就職では冷遇され、集団の健康が大きな脅威にさらされたグループです。もし、必要な権利救済と保障が得られなければ、彼らはさらに生存条件・不法行為・健康被害および被排斥などの要因が相まって作られた悪循環から抜け出せないでしょう。それは民族間の友好的な往来にも不利だし、全社会の調和と安定にも不利です。



一、北京市ウイグル人移民グループの基本状況

全ウイグル族人口のうち、都市人口が163.31万人、総人口の19.44%、農村人口が676.63万人、総人口の80.5%である。(7)加えて多くの地方の自然条件の劣悪さと経済発展水準の低さが、農村剰余労働力の大幅な増加をもたらし、貧困は悪化の一途をたどっている。改革開放の深まりにともない、ますます多くのウイグル人が北京、上海およびその他の内地都市に来ている。ウイグル人が内地に来て最初に営むのは主に飲食業であり、内地の多くの省市で多くのウイグル承認経営のレストラン、ケバブ屋台が登場した。内地の省市で果物・布地・毛皮・綿花商いを営むウイグル商人も少なくない。いま内地で商売したり、自分の会社を立ち上げたり(主に飲食、新疆特産品、毛皮、国際国内貿易などを取り扱う)するウイグル人はますます多くなっている。聞くところでは、北京市のウイグル人経営のレストランは50軒以上ある。(8)また、一部の人は窃盗や小規模な薬物密売などの不法活動に従事している。

文化・言語・信仰などの要因により、ウイグル人は北京では主に同じ民族で集まって住んでいる。以前は主に魏公村一帯に住んでいたが、その後一連の大イベント(オリンピックの北京開催など)の際に、政府の干渉により甘家口・西駅・大興に移り、居住地も分散化の傾向にある。

全体として、北京在住のウイグル人には以下の特徴がある。

(一)文化適応の問題

1、ウイグル人居住区から漢人居住区に行くと、帰属意識の違いから交流に隔たりと心理的圧力を感じる。(9)

2、漢人コミュニティーでは、イスラム教の信仰と密接な関係のある生活習慣を続けるのに大きな障害がある。とりわけ礼拝と仕事時間の抵触や場所が確保できないときはなおさらである。

3、ウイグル人と漢人の間にコミュニケーションや交流が欠如し、また一定の誤解と差別がある。ウイグル人と漢人は同じ都市で暮らしながら、それぞれ自分達の圏内で生きており、食堂でもほとんど漢人の姿は見ない。何人かのタクシー運転手とのやりとりのなかで、我々は一部の地元人のウイグル人に対する見方を知った。多くの人がウイグル人を好かないか嫌っており、ウイグル人と泥棒を等号で結び、彼らを野蛮で理不尽だと思っている。そして、このような否定的な評価をした人のうち、誰一人としてウイグル人と交流したことがなかった。また一方で、ウイグル人も主流社会のこのような見方、とりわけ漢人の間に広く存在する差別に大いに不満を持っていた。

(二)教育水準が低い

教育水準が低いことはウイグル人グループの共通の特徴である。この特徴はこのグループの生活を制約している。コミュニティーの中に学校に通ったことがない人が大勢いる。大部分の人が小学校を卒業しておらず、少数の人しか小学校を卒業しておらず、ごく少数の人しか中等教育を修了していない。多くの人が漢語を話したり、聞き取ったりできず、大部分の人がウイグル語の読み書きもできない。

(三)居住条件が悪い

最近北京市街地ではウイグル人人口が著しく減少した。かれらは北京市周辺地区に分散して住んでおり、各集住地は二、三十人から六、七十人である。辺鄙な場所を選んで住むのは、一つ目は家賃が市内より安いこと、二つ目は新疆人が部屋を借りるのが難しいからである。これら辺鄙なところでは、そのむずかしさが多少緩和される。住んでいるのは中廊下式低層アパート(トイレ、台所、シャワー共用)や平屋住宅で、ほとんどがボロボロで、部屋はせまい。ほとんどの人に収入源がなく、また部屋を借りるのが難しいので、近しい友人同士や、親戚が一緒に同じ部屋に住んでいる。

(四)人の流動性が大きい

2008年のオリンピック前、北京は移民に対する管理を強化し、ホテルと旅館は「新疆人」の宿泊を制限し、以前部屋を貸していた家主はウイグル人が引き続き部屋を借りるのを拒否し、加えて警察の薬物中毒者と密売人の取り締まり強化したことにより、繁華なエリアではウイグル人の集住地は見られなくなった。彼らの大部分は中国内地の他の大都市に生計の道を求め、残った人々は市内から離れ、郊外の辺鄙な地区に引っ越した。

(五)憂慮すべき健康状態

多くのウイグル人移民はまともな仕事がなく、安定した収入源がない。彼らの一部は薬物使用者で、薬物を販売することで薬物購入と生活の資金を得ている。別の人々は、自分では薬物を使用しないが家族の中に中毒者が要るため、やむを得ず薬物を販売することで薬物購入費と家族を養う金を得ている。そういう人には女性が多く、また未成年者もいる。薬物使用は治安に大きな脅威となっている。ウイグル人コミュニティーの中では、エイズ感染率が高い。エイズ、結核、肝炎がこのグループによく見られる疾病となっている。

(六)児童と青少年の成長問題が深刻

数年前、内地に多くの新疆ウイグル人の青少年と児童が現れ、街中でスリを働いた。この児童と青少年の多くは誘拐されて北京などの都市に連れてこられ、その後窃盗などの違法行為を強制されていた。今では、当時の子供はすでに成人し、大体20歳前後になっている。彼らが若い薬物使用・密売人になっており、一部は今でも窃盗を働いている。


二、居住問題上の困難

大多数のウイグル人は言語、文化、宗教などの面での漢人との違いにより、上手く漢人と意思疎通できない。また、世論の偏見と差別が家主のウイグル人に対する固定観念と差別を促進している。それに加えて市内に残った村の大規模な再開発が続いていることで、多くのウイグル人住民が家を失い、またたとえ貸家があっても彼らは借りられない。同時に、多くの旅館とホテルがウイグル人の宿泊を拒絶していることが、旅館に泊まるウイグル人に影響している。よって、居住問題は2009年にウイグル人大衆が最も関心を寄せる問題の一つとなっている。

(一)居住条件の劣悪さとその治安と集団の健康への影響

米国の学者Kalkの研究によると、19世紀の80年代から20世紀の20年代の米国の「進歩時代」には、政府はホームレスに低価格の借家を提供したが、それでも居住の不安定によってもたらされる治安と衛生の問題を上手く解決できなかった。低価格借家内の劣悪な居住条件と衛生条件、そして過密が、低価格住宅街を治安や犯罪などの社会問題の集中エリアにした。いっぽう、スラムの劣悪な条件は疾病流行の温床となった。例えば、1899年のニューヨークではある街区に3,688人が住んでいたが、その内241人が肺結核をわずらい、四分の1の人が肺結核で死亡していた。疾病の流行はもちろん貧困地区に限られず、全市を脅かした。上流社会は疾病の流行を低価格住宅街に住む貧民の席に帰すると同時に、都市貧困グループの住宅問題に注目せざるを得なかった。(10)

これを教訓として、ウイグル人移民に対して一本調子の高圧的姿勢や政府の行為を通じた排斥(11)は多分治安の安定や公衆衛生問題の解決にとってむしろ逆効果になるだろう。

(二)ウイグル人の実際の困難 1、部屋を借りられない

ウイグル人は文化の面で漢人コミュニティーと大きな違いがあるので、漢人コミュニティーに溶け込むことは困難である。そのことも彼らが多くの場合小集団で集まって住むことの原因となっている。

しかし、多くの原因の存在が、彼らが部屋を借りることを非常に難しくしている。北京愛知行研究所のウイグル人プロジェクト担当者の面談記録によれば、少なくとも以下の原因がウイグル人が部屋を借りるのに影響している。

  ① 文化の違い:コミュニティーのある人は、彼らは部屋をウイグル人に貸したくないのではなく、騒がしい人がいて夜の休息を妨げたり、言葉の障壁で意思疎通が難しかったり、生活習慣が違うからだと言っていた。

――実際には、これはほとんどの場合口実である。なぜならウイグル人が比較的集まっている大興区のコミュニティーについてみると、大多数が郊外の屋根の低い平屋住宅地区で、ほとんど漢人の家主はそこに住んでいない。住んでいるのはウイグル人以外もほとんどみな外地人である。

  ② 固定観念:一部のウイグル人は違法行為を行ったことがあり、警察の取り締まり対象なので、警察がしばしばやってきてコミュニティーの治安状況を監督し、またつねづねウイグル人に対して身分確認を行っている。そのためコミュニティーの他の住民の間に「ウイグル人は悪人」という固定観念が生じている。

――前の論述とも関わるが、ウイグル人コミュニティーには確かに一部犯罪行為を行った者もいるが、それは全ての人が「悪人」であることを意味しない。

  ④ 政府(警察)の「声かけ」:ウルムチ暴動などの発生により、各地の警察機関はウイグル人を治安維持の重点対象としている。そのため、多くの地方レベルの警察機関はウイグル人が管轄地、管轄コミュニティーに入ってくることを極めて「歓迎しない」という態度をとっている。そして、彼らは家主に対し、部屋をウイグル人に貸さないよう指示している。愛知行研究所ウイグル人プロジェクト担当者の面談記録によると、多くの家主が警察に「指示」されたことがあり、そのためウイグル人に部屋を貸すことをためらっていた。

――治安維持を理由とし、政府の行為により直接ウイグル人大衆を違法に排除したり拒絶したりしている。取引の自由は契約法の基本原則であり、政府が民間の正常な契約関係に対し不法な介入を行うことは職権踰越であるだけでなく、重大な民族差別の烙印が押されている。

愛知行研究所のプロジェクト担当者の調査によれば、大興区のウイグル人移民は現在100人余りいるが、60%以上が部屋を借りられていない。固定した住所がないため、一部はネットカフェ、サウナ、ホテルなど高価な場所に住んでいる。

(三)ウイグル人の実際の困難 2、北京では旅館に泊まれない

北京愛知行研究所は北京市海淀区、石景山区、豊台区、宣武区の20か所のホテルとゲストハウスの調査を行った。これらのホテルの中で、わずか8か所のホテルがウイグル人の宿泊を受け入れると回答した。つまり、宿泊拒否比率は60%に達している。しかも受け入れると回答したホテルのうち、ただひとつ五つ星のホテルだけが全く躊躇なく我々の質問に答えたが、他はすべて検討した後での回答だった。また、ある重要な情報によると宿泊かと答えた多くのホテルがウイグル人に対し検査されることを覚悟しておくようにと要求しているということだった。宿泊拒否の理由の多くは「上級機関の指示」だった。

北京のホテル・旅館のウイグル人宿泊に対する態度調査表
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番号  宿泊の可否   理由
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1      否    理由:新疆人だから泊まれない。以前「上級機関」から 
           泊めてはならないと言われたから。
           態度は比較的良い。漢人の身分証を示せば泊まれると
           言っていた。
2     否     理由」説明せず。
           ここは非常に安い旅館で、ベッド一つ15元だった。
           態度は硬かった。
3    可
4    否     理由:「上級機関」が決めている。態度:非常に良い。
5    否      宿泊可。ただし派出所に行って登録しなければならない。   
          「国営で、決まりがある。」
6    可
7    可
8    否     態度は良いが、宿泊は拒否。理由:派出所の通知。
9    否     「最近検査が厳しいから、受け入れられない。受け入れた
           ら、閉鎖される危険がある。」
10    否      「いまは毎日報告を警察に上げなければならず、検査は厳
           しい。新疆の漢人なら泊められる。」
11    否     「スキャナーがない。新疆人はかならず指定のホテルに宿
           泊しなければならない。」
12    否     「泊めたら警察に調べられてすごく面倒だ。」
13    可     「警察が検査に来た時問題なければ可。泊めると面倒が多
           い。」
14    否     「部屋がない。」注目すべきことに、ここは回族〔漢族系
           イスラム教徒〕のホテルである。
15    否     「受け入れられない。カシュガル事務所か新疆事務所に行
           くといい。」この店も回族ホテル。
16    可     だがはっきりと、「警察が必ず調べに来る!」と言った。
17    可
18    否     「最近検査が厳しいから、泊められない!」
19    可     一泊1,500元……
20    可
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原文出典:http://docs.google.com/View?id=dfwrv29m_9hf5vh5c9

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