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于建:社会安定のベースラインを守るために(9)

2010-04-17 18:02:32 | 中国異論派選訳
 中国は改革が必要ですが、どのように改革すべきでしょう? 政権はどのように改革すべきか? これについて私は最近意見を述べました。大きな改革はできないから、中央には手をつけず、中央の政法委員会にも、最高人民法院にも手をつけず、末端から変えられないでしょうか? 直接民衆の利益に関わるのは主に末端の法院と中級法院です。この二つから手をつけることはできないだろうか。司法の独立と言わず、司法の抑制と均衡ならどうでしょう? 共産党に対する抑制と均衡とは言いません。そう言ったら共産党は面白くないでしょう。司法による地方政府の抑制と均衡ならどうでしょう? 共産党の統治を支持するのなら、垂直的な司法によって地方政府を抑制し均衡してもいいでしょう? なぜなら地方は直接民衆の利益と向き合っているのですから。

 私は最近何回かフォーラムを開催して、中央党学校の多くの人を招いてこの構想を実現できないか議論しました。しかし彼らは私を相手にしませんでした。この構想は認められないと上に報告を上げました。ですが、中国の問題は確かにそこにあるのです。ですから私は繰り返し、中国は多くの問題に直面しているのに一体どうするのかと言い続けています。あれこれ考えて、結局法律に頼るしかないと思い至りました。私たちは全てのイデオロギーから脱すべきです。毛沢東時代を懐かしむべきではないし、小平時代を懐かしむべきでもない。我々は中国の憲法を順守すべきです。中国社会には他に守るべきものはなにもありません。次から次へと敗退し、最後の一線は守れるでしょうか? 中国社会は動乱に陥るでしょうか? 将来一体どんな問題が起きるのでしょう? それは我々自身が最後の一線を守ることができるかどうかにかかっています。

 以前ある人がとても心配そうに私に聞きました。「今の中国の状況で、制度改革は可能でしょうか? 中国は良い方向に変われるでしょうか?」。私の答えは、「希望はあります。その希望とは社会の圧力に対する理性的な選択です!」

 矛盾が深まり、社会の圧力がますます大きくなって、だれもが逃げ道がないと感じた時、様々な社会勢力が共通のベースラインを探し始めます。もしそうしなければ、大きな動乱が起こり、社会秩序が徹底的に破壊されるでしょう。そのような状況に直面した時、二つの基本的な選択肢があります。一つ目は、そのような壊滅的な影響に対する懸念が、各利益集団の妥協を促し、理性的に誰もが受け入れられるベースラインを探す。二つ目は、そのような妥協がなされず根本的・革命的な動乱が発生する――現状を見ると、中国の大多数の人が社会の衝突がコントロールされることを望んでいます。つまり、大多数の人が中国に大きな動乱が起きることを望んでいないのです。問題は、中国社会の各階層、とりわけ利益衝突と政治衝突を起こしている階層間にいかにして社会構造の安定に有利な妥協をもたらすかということです。それは大体において社会構成員、とりわけ衝突当事者が互いに受け入れることのできるベースラインを見つけられるかどうかにかかっています!

 では、何が中国の今の社会の安定のためのベースラインでしょう? 私は、憲法を本当に実現するよう促し、憲法を中国社会安定の礎石にすることが全社会の共通認識になりうると思います!

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魏汝久:御来場の皆さん。私は北京市弁護士協会憲法専門委員会の魏汝久弁護士です。皆さんがこの寒い週末に、この講演を聞きにおいでくださったことに、お礼を申し上げます! このような講演は、弁護士の皆さんに直接的な利益はもたらしません。もし弁護士が集団示威事件や政治的に敏感な事件の弁護に関わることになったら、むしろ運が悪いと言うべきでしょう。たとえば私は以前そのような事件を受理したことで、ある有名な弁護士事務所を首になりました。その事務所はその後で、今後そのような事件を受理するものは直ちに解雇するという規則を定めました。私はその規則を写真にとって、将来「中国弁護士博物館」に展示しようと考えています。ですから、この場に参加しなかった弁護士のことに私は理解を表明します!またそうであればこそ、私は皆さんが憲法の実現に関心を寄せ、基本的人権に関心を寄せてくださることに、心からの敬意を表明します。

 もし私たちが社会の本当の現実を直視せず、憲政と法治の実現というベースラインを守らなければ、私たちは人から「金儲け」しか知らない、弁護士界に巣くう「三百代言」と言われるでしょう! 私たちは私たちの職業の将来がどうなるのか分からず、私たちの希望がどこにあるのか分かりません。ですから、私はみなさんが我が国の県政の実現と基本的人権の保障に関心を寄せ、私たちの憲法専門委員会の仕事に関心を寄せていただき、憲政実現と人権保障の事業に参加してこられるよう希望いたします!

 次に私たちは于先生との質疑に移りたいと思います。ご自由にどんな問題でも出してください。まず私から今日の講演について3点批判を述べたいと思います。私は于先生には3つの「重大な間違い」があると思います。

 第一に、于先生は一つの法的な間違いを犯しています。于先生は1週間「査問」されたと言われましたが、その言い方は誤りです。「査問」は中国共産党が「党章」に基づきその党員に対して人身の自由を制限する措置です。我が国の法律は、人身の自由の制限は全国人民代表大会で採択された基本法によって定めると明記していますが、「党章」という一党の文書が法を超越して、党が党員の人身の自由を制限できると定めています。私たちは于先生が共産党員でないことを知っています。あなたには「査問」される資格もないのに、何で査問されたんですか? これは法的に間違っています。

 二番目の間違いは観点の誤りです。于先生は憲法の権威を守り、憲法の司法化を実現しなければならないと言われましたが、これは間違いです。最高人民法院の院長は「憲法至上」、「共産党の利益至上」、「人民の利益至上」と公開の場で語っています。しかし最高法院は内部通知で、「憲法司法化」の問題について、「裁判官の判決は憲法を適用してはならない。裁判官が憲法司法化のセミナーに参加することも認めない。裁判官が憲法司法化についての文章を発表することも認めない」と通知しています。「憲法司法化」は単なるスローガンでしかないのです。みなさんこれで「憲法至上」と言えますか? これは「飾り物至上」でしかありません。

 第三は政治的な間違いです。どんな間違いだったかはちょっと忘れました。

 私たち憲法専門委員会は、断固として共産党中央の周囲に団結します。司法部呉愛英部長の「弁護士は政治を考慮しなければならない」という指示を真剣に学習します。重慶市司法局の弁護士は大局に留意しなければならないという演説を真剣に学習します。この局長の前任者は碌でなしです。現職の司法局長が一体どんな人なのか私は知りません。

 皆さん于先生にご質問を出してください。ありがとうございます。
 
于建:汝久は私が法的な間違いを犯したと言いましたが、それは彼自身の間違いです。例の党の規定は法律ではありません。ですから法的な間違いは犯せません。むしろ魏汝久弁護士は法律でないものを法律扱いするという法的な間違いを犯したわけです。 

出典:http://www.chinaelections.org/newsinfo.asp?newsid=169507

(転載自由、要出典明記)

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