【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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『音楽パッケージ商品購入実態調査2007』 ② 「咀嚼欲」

2007年10月02日 | 音楽パッケージ商品購入実態調査2007
 こんにちわ!
 今日は北は寒く、南は暖かい一日のようですね。
 東京はちょうどいいんじゃないの? と私は思います。

 今回も『音楽パッケージ商品購入実態調査2007』のお話です。

 7月に書いた読書録で取り上げさせて頂いたんですけど、
 小寺信良さんの『メディア進化社会』という書籍があります。
 表紙の「眼」が怖いやつです(^_^;)。

  

 この本の中で、音楽パッケージ商品について私が以前から気になっていたことを、小寺さんが的確に表現されていることを見つけました。
 以下、引用させて頂きます(青字部分)

■パッケージングが生む、もう一つの欲望

(中略)音楽というコンテンツには、あまりにも膨大な情報が含まれている。
複数の音色、複数のリズム、複数の旋律、そして言葉。
これらが時間的に変化していくものを、人間の脳はまるごと全部は記憶できない。
だが反復して体験することで、次第にそのエッセンスを記憶していく。
旋律や言葉から来るイメージをリアルタイムで脳内に投影したり、あるいは演奏家の姿を思い描く作業などを行なった結果、そのコンテンツの細かいニュアンスまで把握していく。
 反復して体験するという機能を利用することによって、新たにコンテンツを把握するための欲、敢えてグロテスクな表現を用いるならば、そこには「咀嚼欲」とでも呼ぶべき感情が発生しているのではないだろうか。そして咀嚼することで、その作品の自分自身の精神的な充足や成長の糧として利用するわけである。(33ページより。太字は引用者)

 この文脈は、デジタル音楽のDRM等の「制限」が「咀嚼欲」を減退させるという流れになるんですけど、小寺さんが定義付けた「咀嚼欲」は、とても的確な表現だと思いました。

 「咀嚼欲」自体は小寺さんの表現なので、私は使いませんが、
 内容は私が以前から持っていた問題意識と同じだったので、
 今回の調査設問項目に入れてみました。

 「5.音楽パッケージ商品の受容度と購入意向」(5章)の、
 「音楽パッケージ商品を購入する理由」(64、65ページ)なんですが、

  「所有したCDやDVDをいつでも視聴できることにメリットを感じる」

 という項目を加えてみたのです(複数回答)。
 詳細な結果はここでは書けませんが、
 乱暴な言い方をしますと、

オッサン・オバハンでその傾向が強い

 ということです(^o^)。
 年齢層別で見ますと、特に「50歳以上」で高かった。
 若年層と異なり、「歌詞カードが欲しい」「好きなアーティストだけはCDを購入したい」よりも高ポイントでした。

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2 コメント

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咀嚼力・・・ (路傍の石)
2007-10-04 12:53:37
井上さんどうもです。

> 年齢層別で見ますと、特に「50歳以上」で高かった。

咀嚼欲を刺激するものが、いつでも深く接することができるパッケージ商品としての音楽であるならば、その必要性を感じない若年層の咀嚼欲は著しく減退しているということにはならないんでしょうかね。乱暴に言ってしまえば、配信されるデータだけを即物的に消費する世代に果たして咀嚼欲なんかあるのかと。いえいえ、若い人の間にも、アーティストが伝えんとしていることを歌詞を深く分析しながら聴いている人たちはいます。そんな人たちこそパッケージ商品の利点も理解してるんだと想像します。

とはいいながらも、高年層でも、単なるコレクションとしてパッケージを収集している蒐集家には本来持っていた咀嚼欲が落ちている人も多いのではという懸念もあって・・・こちらは大局的に見て少数派だと願いたいですけどね(笑)。
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若い人でも (井上秀二)
2007-10-04 15:10:31
>路傍の石さん

こんにちわ!
昔に比べて供給される音楽が多く、自分も沢山の音楽と出会いたいがために、若い人の場合、咀嚼欲が高まらないのかもしれません。
でも咀嚼欲が減退しているのではなく、歳月を重ねていき、「吸収欲」を「咀嚼欲」が上回っていくのではないか? という仮説も成り立つのではなかろうかと。

>高年層でも、単なるコレクションとしてパッケージを収集している蒐集家には本来持っていた咀嚼欲が落ちている人も多いのではという懸念もあって・・・こちらは大局的に見て少数派だと願いたいですけどね(笑)。

私も少数派だと思います。
咀嚼については「自分は十分咀嚼している」と思っているのではないでしょうか。
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