★2005年11月23日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
タイトルは
『著作権とは何か―文化と創造のゆくえ』***************************************************************************
著作権って何だか難しそうですよね。
しかし、あなたの小さな子供さんが描いたイタズラ書きにも立派な「著作権」があります。
幼稚園で歌えば、子供さんは「著作隣接権者」なんです。「プロ」も「アマ」も、「玄人」も「素人」も関係はないのです。
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著作権には興味のない方でも、文芸や映画、音楽に少なからぬ興味をお持ちの方ならば、面白く読めるのが本書です。
◆スイカ写真事件
◆「どこまでも行こう」事件
◆ジョージ・ハリソン事件
◆「ウエストサイド物語」と「ロミオとジュリエット」
◆ディズニー「ライオン・キング」と「ジャングル大帝」
◆パロディモンタージュ写真事件
◆ロジャース対クーンズ事件
◆「プリティ・ウーマン」事件
◆「脱ゴーマニズム宣言」事件
これらの事例の経緯を読むうちに、「著作権」というものが確固とした法概念ではなく、著者のタームを使わせて頂ければ今だ「仮説」の域を出ていない、
「全世界規模の壮大な実験である」
ということが何となくでもわかってきます。
1.著作者の「インセンティブ」「創作のエネルギー」のためには、「財産権」としての「著作権」は必要だ(著作権は、大きくは「人格権」と「財産権」という権利によって成り立っています)。
2.しかし、「著作権」という「規制」によって芸術・文化が細ってしまった。つまらない作品ばかりになってしまった、ということになれば、根本から見直すか、変革の必要がある。
ということです。
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弁護士である著者のスタンスは、あとがき(209ページ)で述べられています。
「豊かで多様な文化の創造と、人々のそれへのアクセスをどう守るか」という視点です。
つまり、「守られるべき権利」と「許されるべき利用」のバランスであり、行き着くところは、「文化の創造とアクセス」。これなんですね。
既成の既得権益団体の皆様が、自己の権益の隠れ蓑としてお使いになられる「きれいごと」スローガンとは、似て非なる言葉なんですね。
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最後に、印象に残ったことを・・・。
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」には「種本」がありました。
30年ほど前に世に出た「ロミアスとジュリエットの悲劇物語」(アーサー・ブルック作)です。
詩と戯曲で形式は違うものの、ストーリーはほとんど一緒です。
現行の法律でしたら、完全に「著作権法違反」、つまりパクリです。
しかし、ブルックの作品の主題(テーマ)は、「軽率な若いふたりの行為に対するピューリタン的警告」であり、一方、シェークスピアの作品の主題は、「愛する者たちの犠牲による共同体(=世界)の救済」ということ。それは「最後のワンタッチによる独創性」であろう。
わずかな違いのなかに、決定的なオリジナルな工夫が隠されている、という例でしょう。
著者は述べています。
・現代は、たしかに何がオリジナルであるか見えにくい時代ではあります。
・それら(独創性)は作家の才能と心血を注いだ努力の結晶であり、限られた人生を生きる私たちを
永遠の時間へと結びつける糧となり、ときには世界を変革する可能性すら秘めています。
・そして、そのオリジナルな表現を守ることが、新しい芸術文化が生まれつづけるために有益なのだ、
ということが著作権という壮大な社会実験の根本理念です。(207ページより)
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