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祝日だが、朝から電話。ある新聞社の記者からだった。
10月21日にJICA地球ひろばで予定している坂口篤史さんの講演に関しての問い合わせだった。講師の坂口さんは、埼玉県の生まれ。埼玉県の岩槻にある慈恩寺には、玄奘三蔵の遺骨が納められている。このことを話すのを失念した。玄奘三蔵と埼玉県は、深い関係があるのだ。
朝日新聞の記事
講演会で講師を務める坂口篤史さんは、「モーリー」という東京都内の神楽坂にあるお店の店主だ。坂口さんは埼玉県に生まれ育ち。高校は、埼玉県内にある県立高校。その為に、新聞のさいたま市局からの問い合わせが何件かあったのだった。
講演に参加を希望する方は、講演のチラシをクリックしてください。会場などがわかります。
20年以上も前に、坂口さんから相談があった。当時坂口さんは法政大学探検部の学生だった。わたしは、仲間と一緒に西安から敦煌まで自転車で走り、新聞やテレビでも紹介されていた。シルクロードへ行きたいという学生や定年後の人たちから相談が何件か相談を受けていた。その一人が坂口さんだった。
「自転車やロバ車で、玄奘三蔵の足跡を踏破したい。ついては、玄奘三蔵が旅した時代のように、人力、ラクダや馬、ロバなどの自然の力や出会いを」と言うことだった。20年以上前の坂口さんとの出会いを、記者に話した。
新聞記者の電話の目的は、わたしの年齢の確認だったのだが‥‥。ライターだから取材を受ける側になった時、ついついサービスで話が長くなる。書きやすいようにと考えての事なのだが。
シルクロードを旅する魅力は、その地域の生活と宗教の様子を体験して理解できる点にもある。敦煌にも古いイスラム教寺院がある。寺院の周辺には、回教徒が暮らしている。また、中国の道教や仏教、中央アジアや中東のイスラム教。トルコを越えるとキリスト教だが、旧ユーゴ(セルビア、クロアチア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナなど)ではイスラム教もキリスト教も共存している。様々な宗教の共存、異文化の共存。そのことを体験を通して知ってほしい、とも話した。シルクロードは、宗教、民族、言語を越えた異文化交流が魅力なのだ。
イランと言えば、イスラム教を思い浮かべるだろうが、首都のテヘランには、キリスト教の教会もゾロアスタ教の寺院もある。10年ほど前に自転車でイランへ行ったことがある。テヘランにあるゾロアスター教の寺院では、若いカップルが結婚の誓いをしていた。親族と思われる人たちが二人を見守っていた。道路を隔てて向かいにあるキリスト教の教会では、イラン人の若い女性がスカーフをかぶって教会に入り日曜礼拝に加わっていた。様々な宗教が今も生活の中で生きている。イランも、今日の日本と同じく宗教的には一色ではないのだ。そんな現実を見てほしいとお思っている。
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埼玉県の慈恩寺に、どうして玄奘三蔵の遺骨が納められているのか。はじまりは、第2次世界大戦にさかのぼる。「玄奘三蔵 大唐大慈恩寺三蔵法師伝」(長澤和俊訳、光風社出版社)より抜粋する。(本はAmazonで購入できます。書名をクリックしてください。800円くらいから。)
第2次世界大戦中、南京で玄奘三蔵の遺骨が発見された。中国軍の兵舎内に兵器廟を建設しようと整地を始めた日本軍は、土の中から石棺を見付けた。日中両国の専門家に委嘱して調べると、玄奘三蔵の頂骨が納められていた。遺骨と副葬品は、中国側に返還された。
中国側は、三蔵法師の頂骨の一部を日本仏教会に贈り、
「法師は、仏教東漸史上の一大恩人あるをもって、日中両国の仏教徒は一意同心あいともにこれを祭り、永遠に法師の遺徳を鑚仰せんとするものなり」と宣言したのだった。
詳しくは、慈恩寺が頒布している資料をお読みください。慈恩寺。
慈恩寺に関するシルクロード雑学大学の以前のレポート
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左側の「玄奘三蔵」(長澤和俊訳、講談社学術文庫)は、アマゾンで購入することができる。400円くらいより。右側の写真はキルギス側から見た天山山脈のベデル峠。降雪のために下山した。下山してからGPSで確認したところ、約300mでベデル峠だった。写真の標高は約4200メートル地点。
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