眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

質問事項

2008-06-25 | 
想いが伝染する
 嬉しい気持ち
  哀しみの領域

   今日は眠れるだろうか?
    清潔なねむり
     浅い眠りの波打ち際で海の音を聞いている
      久しぶりに眺めたTVに出てくる出演者の
       名前と顔が全く憶えられない
        いつもの事だ
         今日はいったい何曜日だろう?

         ウイスキーを零したタンブラーグラスを片手に
          ぽつりぽつり落ちる雨の音を背景に
           愚らない例題を回答する
            質問。
          金曜日はあるのに
         どうして銀曜日は存在しないのだろう?
            質問。
         眠り姫はどうして起きてしまったのだろう?
            質問。
         どうして僕等は大人になるのだろう?

        電線から青の色が伝染した
       疎外された情報
      不規則な睡眠時間が体調の変化を促す
     誰かに手をひっぱられた
    消毒用アルコールの匂い
   鈴木さえこの「緑の法則」を聴きながら
  淡い水彩画の作成に熱中した時間
 そういえば
アン・マキャフリーはまだ元気なのだろうか?
 ジェーン・バーキンのファルセットヴォイス
  エルメスにバーキンの鞄があるんですよ
   お好み焼きやの婦人が教えてくれた
    憧れますよね、やっぱり。
     ファッションに疎い僕は
      豚玉を食べながらホッピーの焼酎割りを飲んだ
       頑丈な鞄ひとつもって旅に出たい
        そう想った

        感情が電線で伝染した
         携帯電話から零れる哀しみ

         僕は旅に出るはずだ





    
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背景

2008-06-21 | 
君の背景を誰に尋ねよう?
 昔馴染みの友人達か
  あるいは
   ジャグリングの得意なあの大道芸人に
    コンクリートの灰色の単色の風景で
     言葉を模索する
      彼が空中に投げる物は世界そのものだ
       呼吸する瞬間さえはばかれる 
        子供達が噴水の前に集まってきた
         まるで笛を奏でて子供達を連れ去った
          あの異国の伝説のように

          事象は壊れやすいガラス細工のように
         記憶の階層の積み重ね
        甘い苦手なミルフィーユのように
       食べるたびにぽろぽろとこぼれた
      食べ終わると
     食べ残した記憶の欠片が残った
    影も形も無い
   案外そんなものだろう
  記憶は曖昧だ
 あの学校の図書室の匂いだけを憶えている

    
          運動会
           修学旅行
            あの喧騒の学園祭
             グランドに伸びる夕映え
              図書室の窓から風景をデッサンした
               みんな遠い夢のようだ


レオナール・フジタの描く白い裸体像
 筆使いの繊細さときたら
  余りに繊細で
   僕は美術館の常設室で飽きもせず絵に見とれた
    きっかり1時間絵の前でたたずみ
     気に入りの珈琲屋で
      暖かな珈琲を飲んだ
       バッハしか流さない店の薄暗い照明で
        シャコンヌを聴いていた

         背景を失ったこの街で
          永遠に削除された風景を想う
           街並みは変わった

            昼間から酔いどれて

             昼寝したベンチも消えてなくなった

              僕の背景も消えてゆく

               背景の無い事象は
                なんだか不安定な卵の様だ

                コロンブスじゃない僕は永遠に卵を机の上に立てることが出来ない

            そうしていつものように煙草を咥えて
             この難題に四苦八苦するのだ

              背景の消失

             図書室の窓の風景もやがて





 
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酔い覚まし

2008-06-18 | 
君が何かを求めるなら
 まず酔い覚ましを飲む事だね
  彼はあきらかに呆れ果てていた
   僕は酔い覚ましを飲むべきだったのだろうか?
    まどろんだ深夜零時は夢の時間
     おとぎの国だった
      ワインを舐めながら飽きもせずロックンロールを聴いている
       
      頭痛がしたのでアスピリンを一緒に飲んだ
     変形した意識が困惑する
    電話をかけようとして止めた
   なにしろ時間が遅すぎる
  時間を止めようと悪あがきするのが僕で
 みんな明日の準備をして清潔な白いシーツに包まっている様な気がした
煙草に灯を点け
 部屋中の電気を落としロウソクに灯を点す
  ゆらゆらとゆらぐ自分の影の世界で
   ディストーションで歪んだ音に肩まで浸かる
    頭痛が止まない
     雨の夜
    
    雨の夜
     タクシーを止めようとしたが
      道端に座り込んだ酔っ払いを乗せてくれる
       気紛れなドライバーはいなかった
        電話をかけようとして止めた
         夜は遅かったし
          どうせ繋がりはしない事だって
           なんとかかんとか分かっている
            気紛れなタクシーが僕を拾ってくれた
             お客さん
              だいぶ酔っているようだね
               道がわかるなら乗せてくけど
              ドライバーが云った
             道?
            僕は一瞬その言葉が何処を指しているのか
           見当もつかなかった
          あるんでしょう、家。
         彼が呆れてそう尋ねた

        「帰る場所があるんでしょう?」

        いつか云われた言葉だ
       「わたしには帰る場所が無いから」
      女性は少し寂しそうに呟いていた
     僕と彼女はおれんじ色の食堂で暖かな紅茶を飲んだ
 
    これからどうするんですか?
   あなたがどうするか、よ。
  彼女は柔らかに微笑んで僕の瞳を覗きこんだ
 あなたは大丈夫だから。それに、
  それにあなたの弾くギター好きよ。
   涙がでないくらい哀しかった
   
    電話をかけようとして止めた
     もう連絡のとれない大切な友達
      会いたくて会いたくて
       苦しいくらい会いたい
        僕は時間を止めようとする
         悪あがき
          野良猫が呆れたように僕を一瞥する
          
          お客さん。
         近くのビジネスホテルまで送るから。
        あんた何があったか知らないけどさ、
       死んじゃうよ。この寒さなら。
      車が動き出し夜道を走った

     運転手さん。
    誰か大切な友達を失った事ある?
   そんなのばかりさ、この歳になるとね。
  大切な友達なんだ
 今のあんたに必要なのは酔い覚ましだね。
運転手はバックミラーで僕を見て呟いた。

 繋がらない電話

やがて見るからに安っぽいホテルの部屋に辿り着き
 ベットの上に倒れ込む
  
  繋がらない電話を眺めながらぼんやり想う

   僕は酔い覚ましを飲むべきだったのだろうか?

    いまだにそれは謎だ

    しかし
     僕は夢の中の友達から連絡がくることを

      待っている

      繋がらない電話

       雨の夜




      
    
      
        
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ロックンロール

2008-06-05 | 
悔しさを握りしめる手のひらの
 爪が刺さった
  ガラス細工のこころがひび割れる瞬間の
   あの音を想った
    不完全さの甘美な和音を奏で
     できるなら
      ひび割れた暮らしのあの重い幕を
       開いて見たかったのだ
        世界の刻印を解放したかった

        汚れた世界
       地を這う存在がささやく
      熟れた果実
     遠くの方を眺めて僕は云った
    たぶんね
   風が強すぎて僕のささやきは聴こえなかった筈だ
  たぶんね
 長い前髪に気をとられ
君の耳はその瞬間閉ざされていた筈だ
 風が冷たくなる頃
  独りきりで海を眺めた
   人口的に作り上げられた海岸沿いで
    砂に塗れて意識を空に飛ばした
     いっそこの風の冷たさが
      全ての体温を奪い去ってくれればいい
       そう想った
        失う感触はいつだってそうだ
         ガラスがひび割れ
          赤い涙を零す一すじの線
           悔しさを握りしめた

            この回廊の取り留めのなさ
             世界を支える象の置物
             
            峻別されたこの基準値の範囲で
           何が一体幸せなのだろう?
          選別的な恣意は気紛れな誰かの戯言
         勘弁してくれ
        付き合うつもりは毛頭ない
       世界の
      この世界の不条理など
     下らない道化の僕には
    安っぽいワインと煙草と音楽さえあればそれでいい
   近くのスーパーで特売の1980円で買える
  僕の人生
 皮肉な笑いは嫌いだったけどね
想うんだ
 何に怯え何に従うのか?
  悔しさを握りしめ
   徘徊した路地の名は
    ひとしきり降り注ぐ雨脚の靴音
     履き潰した革靴の
      革靴の内側に悔しさが降りしきる
       心が一杯になる
        だから
         夜の海を眺め酒を飲み煙草に灯をつけた
          日々が流れ行く
           僕らの存在価値などかまいもせずに
            

            ただそれだけ


          古臭いロックンロールを聴く理由






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アメリアの遺言

2008-06-01 | 
飛行場まであと5分
 僕らは握り締めた手のひらを確かめた
  握り締めた手の内に
   何を握り締めていたのだろう?

  架空のキャンバスを開き
   架空のデッサンを描く
    空は曇りがちなのが切ないけれど
     空気が混乱している
      やがて雨が降りしきるのだろう

    デッサンの構図は
     バランスが微妙だが
      白黒のコントラストは素敵だ

   誕生日に
    少女が弾いてくれた
     「アメリアの遺言」

    曲想は表情を変え
     僕は酔いのまわる世界で
      不思議だ

     12時を回ると
    僕は新しい時に馴れなくてはならない

     厄介な話だ

    でも 歳月が流れることは悪くない
     悪くない

   「アメリアの遺言」

   流れる音色が僕を包む

   ありがとう



     
     
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