眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

エラー

2012-01-13 | 
少年は観念でしかない
 観念は想いでしかない
  空気に発せられる溜息は
   何時しか
    あの工場の煙突の様に
     
    古びたバーボンを樽から引き出す作業
     自尊心の困惑した憂鬱
      溜息の数だけ君を想う
       溜息の分だけ君を失う
        残された残像に
         微笑をたたえ
          君の帰りを待っている
           幾千光年待っている

           言葉は偽触だ
            語られるほど
             君の存在を踏みにじる
              あの公園の
               雫をたたえた朝露のように
                永遠に涙している

                混沌と不安
               意識化された言葉は
              ある種の資本的価値を見出すだろう
             僕は安酒を煽り
            くだらない歌詞にメロディーを咥えて
           君に贈るよ
          不遜な態度は得意げだからさ
         ワイン一杯分の幸せを抱きしめられる

        全体、君は今何処の街に暮らすのだろう

       明らかに足りない情報の渦中から
      混沌とした君の存在を慈しむ
     部屋の明かりを消し
    沈黙の向こう側に君を想う
   いなくならないで
  もう
 何も要らない
マルクスもエンゲルスも
 孔子や菩提樹の下の仏陀も
  色褪せたセピアの壁の教会も
   何も要らない
    お願い
     君だけが側にいて
      
      震える緩衝
       赤裸々な道化は
        まるで熟れ過ぎたざくろの甘さで
         可笑しくなるね
          封印だよ
           君と僕が見た海の情景は
            まるで接続した回路のように

            何時か君に届くといい
             
             星の向こう

             僕らが永遠に失う


              破片


             唯清らかに


            ぴぴぴ


           今日は元気ですか?

          君に問いかける

         刹那の劇場

       僕等は

      ただ舞台に立ち尽くしている

     君に会いたい

    お願い


   モールス信号で送る精神の均衡は

  破られた

 許して

懺悔の合間に

 呼吸して


  はっか煙草に灯を付けるのだ


   ぴぴぴ


    悪質な電波は甘美だ

     何も考えず

      何者をも持たない

       苦笑するよ

        君に会いたいだなんて

         くすくす


         おこがましいよね



         くすくす











             
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フィルム

2012-01-01 | 
フィルムがある
 机の上に置かれた林檎が
  時間の流れと共に少しずつ腐ってゆく映像
   古めかしい映写機がじ・じ・じ
    と音を立てている
     隣の席の君がそっと呟いた
      まるで人間の類だね
       ジ・ジ・ジ
        前列の誰かが劇場内で煙草に灯をつける
         暗闇に紅い灯が
          まるで蛍の様に見えて
           煙草の慣れ親しんだ香りが漂った

           小劇場を出ると外気が僕等の熱を奪い去った
            公園のベンチに僕等は座り込み
             鳩にパン屑をやる初老の男性を
              ただ黙って見ていた

              あのフィルムさ。
               悪意と優しさの成分で出来ているんだ。

               君が語り始めた
                僕は黙ってぼんやりと話に耳を傾ける
    
                万物は流転しやがて熟れて腐ってゆくんだ。
                 建物も果物も人も例外なくね。
                  ただ其れを直面化することに
                   どれだけの意味があるのかな?

                   やがてあのフィルムも劣化し磨耗され
                    いずれ消え去るのさ。
                     それが時間なんだ。
                      ね、
                       君はどう想う?

                      僕はホットドックを齧りながら
                       コーラを飲んで
                        ぼんやりと意思を空に投げた

                        青い空

                       空気の透明度が増し

                      空の青さに泣きたくなった

                 ごめん。君を困らせるつもりじゃなかったんだ。
     
               君はそれから僕と同じ様にホットドックを齧った
              多めのケチャップが君の口を紅く染めた
             僕等は並んでただホットドックを齧った
            食べ咀嚼し嚥下する
           ただその一連の操作だけが
          生きている実態そのものだった

         僕等は果たして天上のどの階層に存在しているのだろう?

        ただ磨耗しこの世界から消え去るまで
       存在を猶予された
      あの時の僕等はきっとその事に気付いていたのだ
     世界の意味
    ホットドックのケチャップ
   腐ってゆく林檎

  墜落した飛行船
 惰眠したセルロイドの人形
  青い目の道化師が紅い舌を出す
   肥大した空虚感
    
    孤独はね、こわいね。
     独りきりで腐ってゆくことには到底耐えられない。

      紅い風船が空気より軽い密度で高い空に消えてゆく

       全ては巧妙に仕組まれた悪戯なんだ。
        あのフィルムの映像の様に。
     
        ごらん。
         世界の失楽を。

          僕はそれから百年後に
           同じ光景を視界の範疇に入れる
            それが君との約束だったからだ

            緑の草原にたたずんだ僕は

            ただ愚かしいほど立ち尽くし

             世界を眺める

            あの時見たフィルムの映像を見たように


           心臓の心拍数が乱れ

          体内酸素飽和度の値が低すぎる

         やがて微熱と共に

        何時かの光景は

       途切れがちな意識に鎮座する


      フィルムは何処だい?


    くすくすと君の笑い声が耳朶を舐める

  
   消えてしまったよ


  膨大な記憶と共に


 腐りかけた林檎の様に











コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする