眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

台風

2007-07-13 | 
ピカピカに磨き上げられた球体
 手首のお守りを外してみせる
  ジャニス・ジョップリンが歌った
   台風の夜
    蛍光灯は赤色でワインを胃袋に
     流し込む

     運転手のいるメルセデス・ベンツ
      ビールの空き缶のキャデラック
       親友はスカイラインを愛した
        煙草を吹かす深夜
         雨風で部屋に煙がこもる
          パープル・ヘイズ

           六本の空き缶を作り
            ワインのコルクを抜く深夜
             見たい映画なんて何も無い
              ただこのままが
               静けさの酔いどれが
                素敵さ
                 メキシコで飲むぬるかったビール

                hey baby

               このままが
              ただ
             このままが

           風に灰皿が飛ぶ
          撒きちららかされたフィルターと灰
         いつか僕の灰もこんな風に
        風が強くなる
       明日が休みで二本目のワインに手が届く
      とどこうりない休日
     友人は明日 サンフランシスコを旅立つ予定だったのに
    このままが
   ワインを注ぎ
  懺悔する日常の余韻は
 後腐れの無いピッチカート
肝臓の数値は決して悪くない検査の午後
 奇妙に嬉しくってワインのラベルに興味深々なお昼
  パスタを貪り食い
   瓶目のオリーブを齧り
    気がつけば飛ばされた記憶たち
     台風とはそんな空間
      暑ければ暑いなりに
       風が強くなる
        風で流された彼の愛車のテールランプ
         白黒フィルムの筈だのに
          パセリをつまんだ不快指数の高い湿度

           そんなもんさ
            台風の夜

            君の連絡がただ
 
             やたらと嬉しかったりするのさ

              一人じゃないってさ


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愛情

2007-07-08 | 
世界の暑さは
 酔いどれのワインの向こう側
  回らない頭で
   君を想う

    僕らは
     安っぽい店で飲み続ける
      最後に
       気を使ってくれた仲間が
        梅昆布茶を注文する

         ねえ
          愛しているよ
           君を
            大切に想うよ


             バリウムの口直しに
              スペイン産のワインを選んでもらった
               労働者階級の汗の味
                愛してる
                 君を

               残されている時間の中で
              一体何が出来るのか?
             不安だらけだけれど
            君のことだけを想う
           大切ななにか
          酔いどれの意識の優先順位で
         いちばんたいせつな君
        愛しているよ
       心が壊れるくらい

      誰かが馬鹿と呼ぶ
     向こう側の夕焼けの下
    かまわない
   君を愛してる

  夕暮れ時の月の影
 そのくらい
君を愛してる


  暮らしは流れるからさ

   そんな中で

    安酒をあおる七夕の三ヵ月

     夢の中で

      密やかに話そう


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焚き火

2007-07-04 | 日記
人気のない秘密の浜辺で、気の合う仲間と焚き火をした。
ビールやらワインをたらふく飲んで、炭火で焼いた肉や魚や野菜を食べた。
いつから眠っていたのだろう?
気がつくと、僕は砂の上にワインの空瓶を抱きしめ、天体観測をする。
ふと空の雲が流れる光景や、その影に見えたり隠れたりする星たちを眺めた。
日々の暮らしにはどうしてもストレスがつきまとう。
でもその夜、お酒の魔法もあって、僕は自由だった。
日々の嫌なことをどうでもいいと、思った。日常に埋没した優しさを取り戻そうとした。
火が少しずつ燃え出した。
僕はねころがったまま、「このときがずうっと続けばいいのに。」と夢を見た。
火はまじかで眺めるほどその美しさを増す。
僕は、僕の苦しみや煩悩が浄化されることを願った。
どこか知らない世界に祈る。
祈りの言葉は忘れてしまった。
僕は、いいこといっぱいあるように、みんながしあわせでありますように、と願う。
火が燃えている。
夢の終わりは来るけれど、いつだってこの時を大切に思う。

波の音がきこえた。

明日はいい日だろうか?
今日も事件の多い日だった。

それでも。

   ねえ、世界はわりと美しいよ。


     星たちがささやく

      真夏の夜

                 
  
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言葉

2007-07-02 | 日記
         

       世界は悪意に満ちているのだろうか?


80年代、偏差値主義の学校教育の波のなかで僕らは激しくもがいた。
競争原理が横行し、いわれのない暴力が罪のない少年達をあざ笑った。テレビのブラウン管の向こう側で、知らない国の知らない暴力が語られる。ごはんを食べるまも惜しんでなぜか自慢の英単語集を憶えるのに時間を費やし、大切ななにかを無駄にしてきたのかも知れない。
もちろんそんなことは明らかに間違えているし、だいいちちっともたのしくない。
でも、「NO」とはいえなかった。
そして思った。

       世界は悪意に満ちているのだろうか?

僕は授業時間にこっそり隠れて物語や詩を読んだ。
物語に映し出された世界は、とてもたいせつな優しい世界だった、僕はでもそれが現実からの逃避のように思えて、いつだって後ろめたい気持ちを持ちつずけた。
今、思う。
世界は単一ではないし、いろんな見方ができる多面体のようなものだ、と。

    「一粒の砂に世界を観る
     一輪の野花に天界を眺める
     汝のてに無限を握れ
     そして一刻のなかに久遠を」

W・ブレイクの詩の一節。
あるとき、その言葉を目にして僕は救われたように思う。
最近、よく酒を飲む。
嫌なことから目をそらせたいのだ。昔とおなじように。でもこの言葉をふいに思い出す。そして世界がつらく思えるのは自分の見方が偏りすぎている、そんな風に思う。

    「あんまり考えてばかりじゃだめだよ。」

そのとうりだ。
言葉ひとつで救われるときもある。
たのしいことをしていこう、こころが喜ぶこと。呼吸と空の青さに感謝しよう。
考えてばかりじゃだめだね。


みんながしあわせでありますように。






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