眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

不安定要素

2012-09-27 | 
壊れた玩具の意識調査
 関節可動域を把握し再生の可能性を
  模索してみたが
   もうそれほど肩は上がらない
    路上の界隈で投げ捨てられた孤独
     バンドネオンでピアソラを引き始めた少年
      嗚咽する嘔吐と孤独は
       やがてブエノスアイレスの夏に紛れ込む
        温和だった記憶の玩具に於ける遊戯は
         いつしか生活の糧となった

         もう 見えないよ

         煙草に火をつけ
        星を眺めようとした少年は絶望の面持ちで
       街のネオンが明るすぎるんだ
      ねえ 森に行こう
     トマトジュースにビールを混ぜて
    困惑した表情で怯えて飲み干す
   街角は何時の季節にも別れを告げるのだ
  青い街灯の下
 たむろした仲間との合図
以降
 寸断された記憶はやがて白昼夢へと意識を変容させ
  風邪の匂いが変わる
   空気の密度が変化した
    街の明かり
     空気
      星
       青い月
        バンドネオンのため息
         君の呼吸にすがりたくなる
          石畳の坂道の頃合
           断食した三日目に
            水分を取った

             路上の界隈で投げ捨てられた時間
              不意に
               予期せぬ郷愁にこころが痛くなる
                痛みにうずくまり
                 頭痛の余韻を
                  アスピリンで緩和させる
                   怯えなくていいよ
        
                    三日月の夜
                   君の長いため息
                  生き急いだ存在のため息
                 僕らは森に身を潜める
                桑の実のジャムをクラッカーにのせて舐める
               少年の唇が赤く染まった
              
              朝だ
             うずくまる陽光
            少しだけ暖かくなって
           僕らは誰かを大切に想う
          投げ捨てられた孤独は
         何時だって
        壊れた蓄音機のレコードの如く
       同じメロディーを奏でるのだ
      大切な記憶
     玩具で遊戯した郷愁
    大切なもの
   大切な時間
  存在の幾ばくかの不安は
 暖かな陽光と君の笑顔で咀嚼され嚥下する

路上に投げ捨てられた孤独

 ね

  お願い



   独りぼっち



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雨だれ

2012-09-23 | 
止まない雨は
 虚脱した深夜零時に降り注ぐ
  懺悔した昨日と祝福された記憶
   君が君であった瞬間はそれほど遠くない
    24色のクレヨン
     青だけがいつもいびつに磨り減っている
      青い月夜は重い空に垂れ込めた雨雲に
       予期せぬ不安を与えるのだ
        どうせ月光はあの灰色の雲にかき消される
         雨が降り注ぐ
          どうかあの日のように

          君が街を離れてから一年
           僕の部屋には
            あの時のままで
             レノンとガンジーのポスターが貼られている
              他に張りたいポスターなど無かったし
               ポスターを剥がす行為は
                なんだか荘厳な儀式の様に想えて
                 あれから気の遠くなる時間が磨耗された

                 行き先不明の乗車リスト
                  もちろん僕や君の名前は記されてはいない
                   この世界では
                    僕等はいつでも密航者なのだ

                    止まない雨は
                     何時かの港の様に
                      汽笛が流れ
                       君がこの国を離れた


                      灰色の密航者
                     世界が僕等を捜索する
                    逃げ惑う僕等は
                   ついに最果ての国に辿り着くのだ
                  零が始まりで終わりの言葉
                 
                 ね
                寒いのかい?

               僕が尋ねると
              君は毛布に包まり
             面倒くさそうに煙草に火をつけた

            もう描けないんだ

           そう云って
          白いキャンバスに君は青い絵の具を塗りたくる
         僕は信じられないくらい神様に祈った
        どうか君の青が色あせない様に

       雨が止まない

      苦おおしい瞬間の羅列

     それを僕等は記憶と名付けた

    哀しみの成分は

   いつか僕等を離れ離れにしてしまった

  もう

 もう想い出せないよ

虚脱した深夜零時に戸惑うのだ

 微量の希望

  それをプレパラートに乗せ

   経過観察に余念の無い仕草

    雨が止まない

     僕は古めかしい小説を読んでいる

      愛してる

       愛してる

        愛してる


        雨が止まない深夜のお伽

         もう
        
          もう想い出せない記憶の国

           最果ての国

















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祝祭された日

2012-09-14 | 
ねえ、ハルシオン。
 どうして彼女はこんなにお酒をつくったのさ?

 テーブルの中央の大き目の金魚鉢の様な入れ物に
  マルガリータが表面張力でかろうじて零れないぎりぎりの緊張感をたたえていた    黒猫は呆れたように金魚鉢を見て
    それからあくびをしながら眠りについた
     まるで自分には関係の無いように
      試しに一杯飲んでみる
       すごくたっぷりとラムが入っている
        
        美味しいでしょう?
         普通のレシピの三倍のラムをいれたの。
          
       少女が緑のビール瓶を飲み干しながら嬉しそうに云った
      僕はグラスの淵の塩を舐めながらごくごくと金魚鉢から
     マルガリータを飲み続けた
    確かにひどい暑さだったし砕いた氷で冷えたマルガリータは美味しかった
   けれどもいくら飲んでも金魚鉢からお酒が減らない
  まるで魔法だ
 いつまでも無くならないお酒
7杯目からもうどうでもよくなった
 それから庭の草花を眺めて軽く酔っ払っていると
  奇妙な光景を見つけた
   やっと半分になった筈の金魚鉢のお酒が
    いつのまにかいっぱいに満たされている
     
     君の仕業だろう?

     少女は楽しげにグラスを空けながら微笑み云った

  だって時間がたつとせっかくのマルガリータが薄くなって温くなるじゃない。
 
 さっきよりずいぶんラムが効いているけど?

僕の言葉を一蹴して少女はラムの空の瓶を笑いながら揺らした

 また作るより効率的にしただけよ。

  まさかラム酒1本使ったのかい?

   そのまさかよ。う~ん、ラムが程よく効いていて美味しい。

    少女はかなりのハイペースでグラスを空けた
     僕も彼女の乾杯のたびにグラスを空けた
      いい加減ふたりとも酔っ払っている
       黒猫のハルシオンが憐れむような目で僕らを眺めている

       今日はお天気よ。風が涼しく気持ちのいいお天気。
        こんな日には庭でお酒をいっぱい飲むべきよ。
         それだけの価値がある青空なんだから。
          嫌なことや心配事なんて全部忘れるべきよ。
           たまにそんな日があっても
           きっと神様も許してくれるはずよ。
             神様、かんぱ~い。

           少女の云う事にもなんだか奇妙に納得して
          僕も神様に乾杯した
         僕は秘蔵の葉巻を取り出し
        吸い口を切り落としてからゆっくり煙を燻らせた
       吐き出した紫の煙が風に流されてゆく
      少女が楽器を2本取り出した
     それから僕に楽器を手渡し
    なにか弾いて、と命令した
   フェルナンド・ソルの練習曲を弾きかけると彼女は演奏を止めた
  
  ねえ、空はこんなにも青いのよ。そんな暗い曲、似合わないわよ。

 君ならどう弾くのさ?

こんな感じ。

 少女は簡単な3コードのブルースを弾き始めた
  僕は彼女の伴奏に乗せて適当に音を紡いだ
   いい感じ。
    彼女は嬉しそうに微笑んで次のターンでソロをとった
     タッピングも早弾きもなんにもない素朴で単純な音
      僕らは弾き合いっこし合間にマルガリータを飲んだ
       まるで永遠に近い時間
        僕らはお酒を飲みギターを弾き続けた

        嬉しいことがあった時には
         美味しいお酒を飲むべきよ。

        哀しい事があったら?

       僕が尋ねると少女は微笑みながら云った

      哀しい事があった時にはお腹いっぱい美味しいものを食べるのよ。

  

       空が青い



    ね、

    今日はなにか嬉しいことがあったの?

  試しに少女に聴いてみた

世界がね、今日はとても綺麗に見えるの。

 空が青いお天気の祝祭の日なのよ。

  

   そういう日はとても嬉しいの。



    少女が満足そうにそう云った

     全く同感だった





    嬉しいことがあった時には
         美味しいお酒を飲むべきよ
 
     哀しい事があった時にはお腹いっぱい
          美味しいものを食べるのよ。







        少女の言葉には全く同感だ







         祝祭された日






















    
      
           
 
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熱病

2012-09-11 | 


赤いワインと
      
       月の青


       僕らは

      見えない世界を愛した


    世界の中心点

  そこで全てが繋がるように


 元気ですか?


つーつーつー


 遮断された連絡網

  
  僕たちの世界

   
   そこで駱駝が口笛を吹き

    やがて鳥たちが羽根をひろげるのだ

     そこで全てが繋がるように

      38度の高熱の中

       ただそう祈った

        貴女が幸せでありますように

         タミフルを内服して

          煙草を一本だけ吸い

           やがて眠れぬ夜に

            失われた世界を想うのだ

             可笑しいね

              くすくす

              誰かが微笑し


              僕は氷枕の冷たさに

               瞬間 熱を忘れた

               忘却の彼方

               黄昏た夕焼け

               

              赤いワインと

              月の青



            熱に浮かされた白昼夢


           熱病



    
  


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