眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

黒猫

2007-10-29 | 音楽
ボンネットに雪が降りしきる頃
 黒猫が車に寄り添う
  近ずいても逃げないそぶりは
   たぶん人馴れている証拠だろうか?
    彼の方が僕より世渡り上手だ
     黒猫が皮肉な目つきで僕を一瞥した

    小僧 お前においらの背負っているものが
     何か解るか?

   僕は黒猫に一礼して
  フィッシュフライを半分献上した
 匂いを嗅ぎ一口舐め
彼はそっぽを向く
 僕の昼ご飯は気に入らなかったらしい  


  猫は高貴な存在なのだ

   美術館の冬の景色には
    何故か
   ロストロボーヴィッチのチェロが聴きたくなる
    「無伴奏チェロ組曲」
   バッハなんて良く知らないのにね
  すごく美しい音楽だ
ナイジェル・ノースのリュートも
 こころの何処かを優しく揺らす
  此処ではない何処かに近ずける
   そんな気がする

    コントラバスを指弾きした
     わずか5分で血豆が出来る
      絆創膏をはって弾き続けた夕暮れ
       
       スラップしろよ
        
     ロカビリー好きの先輩が声を出す
    無茶云うなよな
   そんな気持ちで黙々と開放弦を悪戯した
  そんな
 リー・ロッカーじゃあるまいし
絆創膏がはがれた

  屋上でブルースハープを吹く
   そんな音に包まれて
    ウィスキーのボトルを回しのみした
     いつも酔っぱらっていた気がする


  ブライアン・セッツアーがオーケストラを従えた
   初めての日本公演では
    バンドメンバーに支払うギャラが無くて
     急遽グレッチをオークションしたそうだ
      ブライアンは全てのパートの譜面を起こすらしい
       珍しいロックンローラーだね

      ロストロボーヴィッチ
      ナイジェルノース
      ブライアンセッツアー

     みんな高貴な黒猫のようだ

     誰にも媚びずに

     ただ音楽を愛している

     高層ビルの隙間で

     呼吸する




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疲れていた

2007-10-19 | 日記
疲れていた。
雨に濡れた犬のように、深く眠った。
いろいろと生き急いだけれど、結局眠るべき時に無理をしてみてもなぜか上手くいかない。

疲れたときに休む。
おなかがすいたときに食べる。
眠りたいときにねむる。

とても
当たり前のことなのだけれど、そんなことが上手にいかないときもあって・・・。

頑張っているひとに、もうこれ以上「頑張れ」
なんて云えない。
もっと走れなんて云えない。

ただ、もし誰かがつかれているのなら、ゆっくりやすんでいいんだよ、て云ってあげたい。

「あなたがここにいて欲しい」

ピンク・フロイドの曲が流れた。



忘れた何かにこころが震える。

 あなたがここにいてくれたのなら。

ねえ
   救ってはくれないの?
    深海の暗闇から
      光ざわめく水面を眺む

      僕だけが此処にのこされたのだ


      


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ユートピア

2007-10-05 | 
倦怠感に天使の白い羽が震える
 ひどく重たげな白い大理石の扉に
  柔らかな接吻を塗す
   部屋は昼間の喧騒を忘れさせ
    甘美な赤いワインのしじまに
     緩やかな飛行をざらつく舌で世界を舐め廻す
      醗酵した蒸留酒のすえて匂い
       天使の羽が風に舞い
        白濁した意識の華厳に草花の
         夕暮れ時の葉に注ぐ雫の一滴を想った

          ユートピア
           僕はワインを舐めながら
            地上の烙印をかみ締める
             ユートピア
              理想郷の中で
               トマス・モアは障害を持つ人々を 
                どの変に烙印したのだろうか?

                哀しい想いは生きてゆくための必要十分条件
               僕らは青い街灯の下
              雨の降りしきる夜に煙草に灯を点ける
             「幸せと不幸せはおんなじだってさ」
             友人が朝からビールの缶を空け
            酔いどれの軽躁状態に於いて
           泣き出しそうな記憶を笑い話に変換させた
          飲めよ 扉が開かれる
         あんたの実存は苦しみと安らぎのアンビィヴァレントの類さ
        ワインのボトルを一本空ける深夜
       僕らは限りなく自由だった
      落ちた筈の白い羽の幻視が宙空に舞い散った
     誰かが歌いだした
    懐かしい歌声が
   鳥だった記憶を映し出す
  深い井戸の底に鳥の化石が眠っている
 
   色彩が極度に磨耗した風景
    灰色に近い意識の香りは
     ようやく安定を図る
      水でシャワーを浴びてきりっと冷えたビールを飲み干す
       それでいいだろう?
        それで十分さ
         明日飲む酒の事だけ考えれば良い
          世界は空想の産物で
           僕らは夢と現実の界隈を徘徊したむろした

            白い羽を持った天使の記憶

             ワインの赤い痛みに凝固されても

              そんなに悪いことばかりじゃない

               抜け落ちた白い羽で手紙を書き

                大丈夫

                 堕天使の記憶に残る

                  白い羽の柔らかな感触

                   優しさのかけらは

                    得てしてそんなもんだろう

                     屋根裏部屋の少年

                      古い映画のユートピア




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郵便物

2007-10-04 | 
ろれつの回らない舌で
 厄介な鼻歌を口ずさんでいる
点と線が上手く繫がらず
 少しばかり途方に暮れている深夜

徘徊する 夢の名残は
 ただの電気信号
  まるで残像だ
  
  陽気な音楽がやたらと耳障りに感じる正午過ぎ
僕は携帯電話のアドレスに目をとうし
 うだるような暑さのなかで
  
 繫がらない
繫がらないんだ 
 
位置に錯誤している
 誤算だ 方程式の使い方に
  無頓着すぎた

優しさ
 
 赤い信号のこの曲は
デタラメさで出来ている
 構成される成分
「優しさと哀しみ」

僕が約束できない物事の多さといったら

  郵便受に手紙が届く

 いま

  家を離れている人への郵便物は

 哀しい事象



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静けさの効用

2007-10-03 | 
静かだ
 音もなく波紋が水面に浮遊す
  鳥たちが羽を休め
   魚の影が移ろう
    深夜の散歩の
    公園の池の淵

  街灯がぽつりと
   人影を揺らす
    ただひとつの影は僕本人に
     どうやら間違えはなかった

   どうして此処で立ち尽くしているのか
    理解しようにも
     テキストも無かった
      ダイイングメッセージも無ければ
       手掛かりさえない
        全ては薄明の霧の中
         薄れては消え
          不意に姿を垣間見せたのだ

    どうして此処にいる?

    意識の残像が不安をかき立て脅かし問い詰める
    肉薄した現実は明らかに許容範囲外
    僕にはいささかにが重過ぎる

    ただ
     静けさを
      祈りの言葉すら聞き取れない静寂を
       望み欲す

     やがて消えるだろう記憶
      百年後には
       あっさりと僕の存在は
        もちろんなかったも同然さ
         そんなことを思ってもみるのだ

      ため息は止まないけれど
       息を止めた瞬間
      呼吸のありがたみに気ずく
       そんなもんだろう

       ただ少し疲れたことはよくある事柄
       酒を止めて4日になる

       不安定な状況で
       ただ静けさが欲しい

       病院の夜間灯は
        忘れかけていた
         街灯の灯りに少しく似ているだろう

        全ての病める人々へ

        穏やかなる深遠な静けさを

        あとの事なんて雑事さ
        あとで考えればよい

        そうだろう?

          煙草は減らないな

           静かだ


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虚偽の雨

2007-10-02 | 
日々の暮らしは携帯された電話機の様に
 何処からでもかけられるのに
  何処にも繋がらない
   日が沈む夕暮れ
    密やかな寂しさが
     涸れ果てた古井戸にこだまする

    そうっと
     左手のお守りを外した
      封印は得てして夕暮れ時に訪れを告げる
       いつかの約束は果たされず
        マンホールで蓋をした路上の界隈で
         約束はいつだって約束で在り続けた
          この空虚さは
         いつだって耐え難い受難の告知
        ゲツセマネの園で手のひらを組み
       孤独を声に出せずに嗚咽する
      まるであの夏の陽射しの中
     約束は約束で在り続け
    孤独は止むことを知らない
   壊れた機械仕掛けの時計の様だ
  在りもしない時間
 在りもしない物語
事象の背景はいつだって孤独の情景
 同じだ
  同じ夢を見て誰かが笑った
   日付変更線を超えたあの瞬間に
    体内時計が逆流する
     ぎぎぎ 
      と擬音の様で
       時々在り得ない時間帯に言葉を繋いだ

       さびついた缶切りで桃の缶詰めを空ける
        フランス映画の何処にでもよくある光景
         空けたんだ
          もう中身は存在しないのに
           空き缶だけを並べる道化師の青と云ったら
            しよせん何処にも繋がらないのなら
             いっそ古新聞の忘れ去られる記憶の様に

      歩き続けたよ
       懐中電灯のわずかな光だけを頼りに
        おどけてみせた
         誰もいない線路の行方
          旅にでるには良い頃合さ
           友人は笑って背中を向け
            そうして今頃
             どうしているのだろう?
      
    虚空の空は虚偽の雨を降らす

     コールタールに似た黒い雨粒の重さに

      いつまでも鳴り止まない着信音と

       雨の継続的な助言

       繰り返される

     虚偽の雨は降り止まない



 
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