眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

野良犬

2014-09-21 | 
懺悔した告白で表層から乖離した
 優しい嘘
  清潔な独白
   木漏れ日の下
    琥珀の記憶を歎美し
     自堕落に舐めた昼下がり
      混沌とした意識が分解され
       やがて我々は結末を見るのだ
        願わくば
         幸せな結末を

         視力が落ちた叔母の為に
          マジックで大きな手紙を描いた
           ハワイの病院で叔母はその手紙を
            大切に大切に読んでくれたそうだ
             やがて白いカーテンから零れる
              一筋の陽光が叔母の視界を開かせてくれることを願った

              例え現世で会うことが叶わなくとも
               いつか柔らかな波動においてまたきっと巡り会える
                そんな気がした

                時代

                 大正ロマンの絵葉書を集めた
                  耽美な世界が僕を優しく包み込む
                   清潔な嘘
                    ベッドに横たわり
                     血管に流れ込む点滴の一滴を凝視した

                     ジョン・レノンの歌を聴いた

                      どうして世界はこんなにも儚いのだろう
                       壊れゆく精神の境界線上で旅を想った

                        清潔さとひんやりとした空調の温度は
                         微熱を帯びた身体に快適で
                          その冷たい空気は
                           何故か僕の孤独を落ち着かせるのだ

                            エアの音

                             呼吸音が木霊する
                              ピアノの音がするが
                               全体
                                何処で誰が演奏しているのかは
                                 いつまでたっても
                                  解決しない事柄だった

                                  消えてしまった友人
                                   想い出
                                    古い写真を眺めた
                                     君がいて僕がいた真夏の午後
                                      いつの間にか
                                       そっと永遠が訪れた

                                       手紙があって
                                        僕が父親の膨大な書籍と共に
                                         それらを処分した

                                         最近
                                          野良犬を見なくなった
                                           捕獲され処分され駆逐されたのだろうか
                                            お洒落な洋服を着た小型犬だけが
                                             自慢げに飼い主と共に
                                              街中のカフェにいる
                                               紐で繋がれ
                                                吠えることを放棄した余韻で

                                                 エアの音
                                                病院の一室で
                                              ジョン・レノンのアルバムを聴いた
                                             何度も繰り返し聴いた
                                            自動販売機でコーラを買った
                                           何本の煙草を吸った
                                          幾人かの見舞客が
                                         静かに誰かの病室を訪れ
                                        15分してから
                                        逃げるように立ち去った
                                       それを見ていた

                                      偽善と懺悔に気をつける様に

                                     医者はそう云い
                                    薬を調整するのだ
                                   幸せになれるはずの薬

                                 ジョン・レノンを聴いた

                                繰り返し何度も聴いた

                               そんな夏の日















コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

結末

2014-09-10 | 
消え去らない事象など無い
 永遠に失われ続ける記憶の階層
  僕等は永遠を失った代償に永遠に焦がれ続けるのだ
   かつての少年時代を
    あの炎天下の真夏の青さや
     凍え震えるかじかんだ手のひらの行方を
      君が笑うから
       僕も笑うんだ
        そうして
         そうして何もかもが失われた時
          僕は激しく泣き出すのだ
           お願い
            いなくならないで
             夢は機械仕掛けで僕の感情を鈍磨させてゆく
              失われた影を求めて
               僕は旅立ったのだ
                
               神様がいるのなら
              僕はあの時真剣に祈るべきだったのだ
             真剣に懺悔し許しを請うべきだったのだ
            緩やかな飛行の時間
           それが永遠ではない事に気付かない
          青い月夜の晩に
         訪れるはずの無いパレードを待ち続けたのだ
        緑色のソファーに寝転び
       天窓から差し込む月明かりの下で
      ポケットウイスキーを舐めて煙草に火を点けた

     君が君である事
    僕が僕で居られなかった哀しい結末を
   終焉のサイレンが鳴り響き
  明らかに僕は逃げ遅れたのだ
 舞台から役者達が消え去る
僕だけがぽつんと浮遊した
 皆が忘れ去ってしまった記憶の残渣を
  名残惜しそうに舐め続けた
   黒猫がやって来て
    しばらく僕の側に座り込んだ
     
     ねえ
      パレードは?

      とっくに行ってしまったよ。
       もしくは最初からパレードなんて存在しなかったんだよ
        君が待ち望んだ結末は
         最初から存在していなかったのさ。

         僕はスケッチブックに絵を描いた
          悪戯書きのノートを
           皆は嘲笑し解体し分析した
            僕の緑の草原を
             赤い林檎の絵にすり替えた
              永遠に続く事象などありはしない
  
              けれども
             僕が描いた螺旋や球体の世界は
            確かに此処に存在するのだ
           
           永遠を失った代わりに永遠を知ってしまったんだ。

          君の声がささやく

         小さなファルセットヴォイスで

        君は歌い始めた

       「空の話」

      あの時君を失ってから

     僕は歌い続けた

    あの永遠の


   空の話を















コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小旅行

2014-09-04 | 
存在の正しさを罰した街角で
 僕は羅列される荒唐無稽な詩を口ずさみ
  あの物語を想った
   消失される記憶と自我
    混在した空虚感で僕のお腹が鳴った
     朝からワイン以外何も口にしていなかった

      ふらりと立ち寄ったパン屋の前で
       気難しい店主が両切りのピースを吹かしていた

        パンはありますか?

         質問した僕に店主は苦々しく答えた

          此処はパン屋だ。
           パンがないパン屋なんてないだろう?

            僕はこじんまりとした店内で
             アンパンとデニッシュを買った
              サービスにラスクをくれた女将さんが
               美味しかったらまた来てね、と笑顔を見せた
       
                旅の途中で立ち寄ったパン屋に
                 二度と訪れることは無いけれど
                  僕も精いっぱいのひきつった笑みを作った

                   朝六時に誰もいない公園のベンチで
                    パンを齧りながらワインを飲んだ
                     公園の噴水には水が無かった
                      咀嚼するパンは
                       限りなく孤独に近い味だった
                        まるであの日食い縛った血の味の様に
                         孤独というのは
                          旅人にも土地に移住した者にも平等に訪れるのだ
                           海へと急いだ

                           海岸沿いの灯台の入館料は200円だった
                            コインを窓口で手渡して
                             階段を昇った
                              ちょうど77段目で灯台の上にたどり着いたのだ

                              俯瞰した景色の中で
                               困惑した意識が割れた
                                こんなにも遠くに来たのだと
                                 そう想った

                                 刹那の鼓動
                                  ぴんと伸ばした白線上で
                                   僕は君を想い
                                    君は僕を失くした
                                     戯画された新聞記事の様子で
                                      誰一人真実を語らなかった

                                      重く垂れ込めた空
                                       僕の口から詩が零れた
                                        誰にも届かない筈の祈りの趣で

                                        残暑の折
                                         届くはずの無い手紙をしたためて
                                          空になったジェリービーンズの瓶に入れ
                                           波止場から海へ流した
                                            ピアノの音が聴こえる
                                             僕は僕自身ではなかった


                                             あの夏の日
                                            僕らは酔いどれて
                                           天上から零れ落ちた一滴の涙だった
                                          灯台の上から世界を眺めた
                                         ぽつりぽつりと雨が降り始めた
                                        行こう
                                       此処も僕の場所では無かった
                                      黒猫が僕の足跡をワルツの拍子で踏んだ
                                     僕と黒猫は砂浜を歩いた
                                    誰も存在しえない地平線の果て
                                   孤独を描写したデッサンが
                                  奇妙に生温かった
        
                                 生きているのだ
                                それでも
                               地を這う幻影だったとしても
                              生きているのだ

                             微弱な電波を
                            遠い彼の地の灯台より打電する

                           元気ですか?

                          遠い街角に向けて

                         ぴぴぴ

                       ぴぴぴ

                     打電する
 
                    不条理な模索

                   壊れたこころ

                  たとえ判別されごみになっても

                 打電する

                誰も知らない

               街角の詩












コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする