眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

夢のあり方

2013-06-30 | 
この世界の朝に
 流れ行く景色を凝視し
  安穏とした日々の無作為の在りかを
   容赦なく閉じ込める

  最近夢を見なくなってね
   古い友人が笑う
  空を飛ぶ夢とかさ
 夢も売り切れるのかな
僕は電話越しに苦笑してみせる
 図書館の窓から
  眺めていた景色とかさ
   古い文庫本の匂いとか
    グランドの夕映えとかのことさ

   予約録画はどうだ?
    夢が売り切れる前にさ
     どうだろう?
      一片の浪漫も機械にはたやすい
       音楽だってお手の物さ
   
     僕はため息をつく

    ジョージ・マクドナルド
     「リリス」
     古い夢物語
    それは幼き日の原風景
   不思議と懐かしさに包まれる
  教えておくれ
 流したワインのボトルに詰めた
宝の在りかを記した地図
 その行く末を
  末路はそれこそ夢の中
  
   夢で会いましょう
    
    そういって
     ピエロは皮肉に微笑む
      長い回廊を抜けた
       円卓を囲む彼等の本日のメニュー
        惜しむらくは
         そのメニューに明日が記されていない事
   
      安易な受け売りの
     ファーストフードの店員に於ける
    未だかつて無い事務的処理も
   なかなかもって
  堂に入ったものだ
 見方によれば
それも一個の昔気質の職人の手だれ
 レジを打つ指先が
  極めて優美だね
   無駄が無いのさ
    友人が笑う

    おまえさ、
     いつも夜中にそんなこと考えてんの?

      友人の呆れ顔

      僕の最近の夢事情


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前髪

2013-06-20 | 
僕はいつか僕を繰り返すだろう
 動かないラジオで音楽と戯れ
  深夜2時に夢を見るのだ
   夢の中で
    君は君で
     僕は僕で
      音楽は甘美で優しかった
       まるで水面に降る霧雨の様に

       僕等は忘れてしまった


       いや


        僕だけが忘れてしまったのだ
         時間の流れが速すぎる
        あの一瞬が記憶になってゆく

       微熱が続いているようだね
      先生が聴診器をかたずけながら忠告する

     個室の部屋で白いシーツに包まり
    ただラジオを流した
   愚らないおしゃべりと
  食べ残しのショートケーキの様な音楽が垂れ流された
 紙袋から解熱剤を出して
隠して置いたワインで飲み干した

頭痛が止まない
 眠れない夜と戯れた
  浅い眠りの明け方に君は訪れる
   あの時のままだ
    憐れむ様な視線で僕を眺め
     長い前髪に隠れた表情は
      たぶん哀しげだった様に想う
       君の視線はいつも前髪に隠れて
        何を見つめていたのか分からなかった
         今の僕を見て
          君はどんな表情をするのだろ
       
          ね

         ごめんね

        君はどうして此処にいないの

       君の不在が君の存在を優しく包み込む

      頭痛が止まない
     氷を齧った
    長すぎる前髪
   僕は僕を繰り返す
  君を探し続ける
 緑の草原をただ歩き続ける

  行こう
   
   黒猫のハルシオンが呟く

    全ては
     全ての事象は
      ひと時であり久遠なんだ
       その一瞬を忘れないで
      永遠の概念に惑わされないで

         行こう
        旅を続けるんだ

         だから僕は眠る
          消え去ってしまった
           君と僕の記憶の断片をプレパラートに乗せ
            理科室の顕微鏡で観察し続ける夏休み 
             永遠の夏休み
              セミの鳴き声が止まない

              たくさん汗をかいて
             飛び起きて
            やっぱり僕は泣いていた
           お日さまの下で眠る僕
          遮光したカーテンの向こう側で
         世界が今日を厳かに始める
        地球が自転し公転する
        
      チャールズ・ラトゥジ・ドジソンが
     池の真中のボートの中で
    アリス・リデルにお話を聴かせる
   チャシャ猫が微笑み光の加減で
  水面が鏡のように現存在を写し出す

 切り取られた君の写真 

  長すぎる前髪

   記憶の残渣


    永遠の夏休み


     前髪の記憶




















       

          
コメント (4)
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